第2話 グループデート
それから一ヶ月過ぎたある日の事。
「あっ!こらっ!ライっ!待っ…」
と、男の子の姿。
「ワウワウ」
偶然に砂浜にいた私の姿を犬が見付け吠えながら駆け寄る。
「ワウワウ」
「えっ?」
犬の声がし振り向いたのと同時に私に飛び付いた。
「きゃあっ!」
ドサッ
倒れる私。
「すみませーん…あのー、大丈夫ですかぁー?」
犬の後を追って来る人影。
男の子だ。
「…はい…大丈夫です。家の犬も良く飛び付くので……」
「あっ!」
二人の同時の声。
そこには以前会った事のある男の子だった。
「今日は、一人なんですか?」
「あ、はい」
私達は、自己紹介をしあう。
彼の名前は
天堂 夕哉(てんどう ゆうや)君。16歳。
私と同級生だという事が明らかになった。
「ごめんな。コイツ、雄犬だからさ女の子大好きなんだけど、人間の女の子も大好きで、形振り(なりふり)構わず抱き付いて大変なんだ。春と秋は最悪なんだよ」
「そうだよね」
「君の飼っている犬は?雄?雌?」
「雌犬だよ」
「じゃあ時期が来ると大変なんじゃない?」
「まーね。今は貰い手がいるから良いけど……」
「そうなんだ」
「うん」
私達は色々話をしていた。
「魅憂」
親友の・邑久 夕季(おく ゆうき)
「今度、友達の紹介でグループデートするんだけど気分転換に出掛けない?」
「えっ?あっ…ううん…私は良い…辞めとく」
「別に付き合うとか、そんなの抜きで出掛ける位は良いんじゃない?」
「…でも…相手に悪いし…私…まだ前彼が心残りだし…」
「ダーメ!行くよ!」
「…………」
気が進まないまま、強制参加。
当日 ―――
「ごめん、お待たせ」
「あっ!来た来た。じゃあ自己紹介。有岐 魅憂ちゃんと、邑久 夕季ちゃん」
夕季の友達が私達を紹介する。
「魅憂ちゃんと夕季ちゃん。じゃあ、男の子紹介する。天堂 夕哉と暁坂 政貴(あかさか まさき)」
≪天堂 夕哉?≫
私は聞き覚えのある名前に目を向けると
「……あっ!」
二人同時の声。
「何?夕、知り合い?」と、政貴君。
「えっ!?ああ…まあ…」
「そうか。つーか、お前の性格上じゃ女友達多いもんな」
「まーな」
「ねぇ、魅憂、彼がもしかして例の?」
「えっ?あっ…うん…」
「イケメンじゃん!」
夕季が尋ねては言った。
私達はコソコソ話す。
夕季には、夕哉君の事を少し話をしている為、気になって尋ねてきたのだろう。
「もう一人の子も悪くないけどさ、私、彼、夕哉君に決めた。という訳で、もう一人の子は宜しくね」
「あ、うん…」
私達6人は遊園地に行く。
夕季の友達の
仁科 蓮夏(にしな れんか)ちゃん。16歳。
そして、
彼氏の吉乃 準次(よしの じゅんじ)君。16歳。
二人のナイスなカップルに笑顔が絶えない中、私の心は何処か複雑だった。
多分、礼二の事がまだ心残りだったのもあるからだろうと思う。
「ねぇねぇ、魅憂ちゃんって可愛い系じゃん?マジで彼氏いたりしないの?」
と、政貴君が尋ねてきた。
「あっ…うん…」
「何か意外!」
「えっ?」
「だってさ、君みたいな可愛い子、男の子は放っておかないでしょう?」
「…どう…かな…?」
「ねえ、俺と付き合わない?」
「えっ!?」
≪今日会ったばかりなに交際申し込み?って早すぎない?≫
「ゆっくりで良いんだ」
「…ごめん……私……しばらくは恋愛出来ないかも……」
「えっ?」
「前彼……他界しちゃって……」
「えっ!?嘘!?マジで!?……ごめん……それは……難しいかもな……」
「ごめんね……気持ちは嬉しいんだけど…」
「…そっか…」
一方 ―――
「ねぇ、夕哉君。本当に彼女いないの?」
「えっ?」
「だってカッコイイし…何かいないのは意外だなぁ~って思って…ねぇ…私と付き合わない?ゆっくりで良いからさ」
「…ごめん……気持ちは嬉しいけど…彼女はいらないかなぁ~。ちょっと色々あって男友達と遊ぶ方が優先だから」
「そうか…分かった」
私達は一日を楽しんだ。
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