あなたの瞳で・・・
ハル
第1話 君の隣で・・・~ 出逢い ~
「礼二」
「魅憂」
「お前も毎日あきねーな」
「恋人同士なのに、見舞いに来ない彼女はいないよ~。居たら会ってみたいよ」
「まあ、確かにいないかもな?」
私、有岐 魅憂(ゆうき みう) 16歳。
2つ上の先輩・加山 礼二(かやま れいじ)と付き合っている。
だけど、数か月前に持病の心臓病が患い入院をした。
ドナーが見つからず日に日に弱っていく礼二。
私は元気付けようといつもいつも顔を出す。
そんなある日。
「魅憂、俺、お前と出逢えて良かったよ」
「礼二…や、やだなぁ~何?改まって」
「別に。いつ死ぬかもしれない俺だからさ」
「辞めてよ!そんな事言うの!」
「魅憂…」
「礼二は、退院して幸せになるんだよ!」
数日後 ―――
「礼二!やだ、何してんの?」
「外出許可貰ったから近くの海に行かないか?」
「えっ?外出…許可って…や、辞めた方が良いよ!心臓に負担かけれないよ」
「じゃあ、俺の我が儘だと思って付き合ってくれないか?魅憂」
「…………」
正直私は良い気はしなかった。
だけど私は礼二の願いを叶えるしかなくて二人で病院の近くにある数分先の海に行く。
「なぁ魅憂…俺さ最期はお前の隣が良いんだ」
「礼二、そういう事言わないで!」
クスクス笑う礼二。
「俺、入院して魅憂に怒られてばっかりだ」
「礼二が変な事ばっかり言うからだよ」
「なあ、1つだけ…約束してくれないか?」
「何?」
「…俺が…死んでも…恋はするって…約束してくれないか?」
トクン
胸の奥が哀しみで小さくノックする。
「礼二…またそうやって… 無理に決まってんじゃん!」
「魅憂…」
「私は礼二が退院するように願ってんだから、絶対!うんって言わないよ!」
「本当…相変わらずだな。死んでも死にきれないかも俺」
「死なせないから無理…」
キスをする礼二。
「約束だけはして欲しい…魅憂…」
「わ、分かった…分かったから。約束するから」
「良かった」
「礼二、そろそろ病室に戻ろうか」
「……」
「礼二?」
「もう寝たら…駄…目…」
「…………」
「礼…二…?」
「…………」
「礼二っ!……嘘でしょう……?…ねぇっ!…礼二っ!……でょ……何でよ……さっきまで……話してたんじゃん……っ……まだ……温かいのに……」
寒い冬空の下
礼二は私の隣で
深い眠りについた
外出の許可をもらい
大好きだった雪の舞う海で
私の隣で静かに……
私の耳には
波の音だけが
こだましていた……
冬空の海。
加山 礼二。18歳。
私…有岐 魅憂の隣で静かに永眠した。
大好きな礼二。
あなたは私の心に永遠に生き続ける。
「さあ、目を開けて下さい」
≪女の子…?…誰…?≫
「どうですか?」と、医師。
「夕哉(ゆうや)見える?」と、母親。
「夕哉…?」と、父親。
「…あの…この辺の近くに…海ありますか?」
「えっ?」
「いや…ちょっと…気になる事があったので…」
「海なら数分行った先にあるよ」と、医師
「そうですか…あっ、すみません…目は大丈夫です。良く見えます」
「そうですか。後は何も異常がない限り退院できます」
「良かったぁ~」と、母親。
「ありがとうございます」と、父親と母親。
医師は病室を後に出て行った。
≪女の子…海…雪?…一体…≫
そして退院した俺は、父親に送って貰う車の中
「なあ、ちょっと止まってくんない?」
「どうした?夕哉」
俺は車を降りた。
砂浜を犬を連れている女の子の姿が目に止まった。
私の手元からリードがスルリと離れる。
「あっ、ちょっと!キラ!」
私は砂浜に足をとらわれ転倒。
「ったぁ~」
キラが向かった先は男の子の所だ。
「ワウワウ」
飛び付くキラの姿。
「おっと」
≪キラが…礼二以外の男の子に?≫
「すみません…大丈夫ですか?キラ!」
キラは私の元に来る。
≪あれ…この子…≫
「あの…何か?」
「いや…犬、家も飼ってて。キラって名前なんですね」
「はい、滅多に人に飛び付く事なくて驚いていた所です」
「そうなんですね。それじゃ」
私達は別れた。
だけど……
この出逢いは始まりに過ぎなかった
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