進化が終わるまでのアラネアお母さんの奮闘記?
息子蜘蛛達が寝て数時間後、久しぶりに洞窟から出たら、息子達の進化が始まってしまっていた…しかも、娘蜘蛛が周辺の食べ物を食べ尽くさないように注意は多少していたけれども、いかんせん、まだ先だと思っていたので、食糧の備蓄はまだまだ少なく、しかも、安全なダンジョン跡の中ではなく、入口近くの外で進化を初めてしまっていた。
「悩んでいても仕方ない。やれることをしよう」
ひとまず、息子達を守る防衛のために硬質の糸を出して編み込みドーム状の繭の作成始め、次に粘着質の糸を出して危害を加えようとしたものを捕まえるように繭に重ねる。これを何回か繰り返し、かなり防御力の高い繭の完成である。しかし、所詮は蜘蛛の糸なので火には弱いという弱点があり、その弱点を軽減するために魔法で土壁を途中に2、3枚入れたりもした。まあ、上まで覆う事も出来たが、何かの拍子に崩れて落下したら大変なので側面だけにした。
「ふう。あ、中にご飯……捕ってきて後から入れれば良いか」
というわけで、今度は狩りの時間である。といっても、娘蜘蛛が結構周辺の獲物を狩っているので、ちょっと遠出をして狩りをしてこなくてはいけない。娘蜘蛛の進化が終われば、運び込んだ餌を平らげ、狩りに行って周辺の獲物を狩り尽くすと予想して動かねば後がまずい。息子蜘蛛が今回の進化で食べる量が増えるかも知れないし……近場の大物を狩るという手もあり?うん、そうしよう。
「と、いうわけで狩りに来た」
(いや、いきなり来てその発言はどうなんだ?蜘蛛)
「うるさい。大人しく私と子供達の糧になれ」
(はっ、蜘蛛風情に龍たる私が破れるとでも?)
「1回私に負けて、地中に追い出された身で言われても……説得力ないよ?」
(ほざけっ!あの時は貴様の背後に居た存在に譲ったのだ。蜘蛛風情に対してではないっ!)
息子蜘蛛達を産んだ洞窟の更に下で、息子蜘蛛達を産む前に地下に追いやった龍と久しぶりに会った。まぁ、ここまでの距離は狩りをせず、息子蜘蛛達の移動速度に合わせる必要もなければ全速力ですぐ来れる。相手は1回闘った事があるし、負けてない。硬いけど攻撃が通らないわけじゃないし、全方位からの攻撃に注意していれば、避けるのは簡単。
「で、そっちの攻撃は通らず、私の攻撃を受けているだけで打開策は思いついた?」
(ふんっ、ここは私の領域ぞ?舐めるでないわっ!!)
「……で?まさか終わりじゃないよね?」
(蜘蛛風情ではなく、化物であったか……)
「これで……終わりにしてあげる」
(まさか……首を断たれるとは、な……すまない、愛し子よ)
「愛し子?……ん~~~……はぁ。仕方ない、これで本当に貸し借り無しだから」
(……恩に着る)
「もしかして、まだ生きてる?」
(ふん、龍を舐めるな。脳に心臓、核があれば……再生に時間はかかるが、死にはしない)
「愛し子なんていなければ、その3つ私が食べたのに……」
(ハッハッハ!つまり私は自分の子に命を助けられたわけか)
「そうよ?感謝して大事に育ててね」
(ふん、言われなくともそうするわ。しかし、お前矛盾してないか?昔なら他の生物なり魔物は容赦なく狩っていただろう?龍だろうと)
「お気に入りには優しいのよ?私。気に入る、気に入らない以前に狩られる相手が多いけど」
(……あれだ。お前の背後に居る神に、お前が似てきただけか)
「とりあえず、頭の近くに心臓と核を置いとけば良い?」
(まぁ、それで構わぬ。しかし……ここからの再生では、再生しきる前に子が生まれる可能性があるな)
「人間が使う範囲回復魔法?って使えるけど、いる?」
(それは助かる。が、良いのか?)
「別にあなたの為じゃなくて、あなたの子の為よ……はい、一応効果が高いらしいのをやってみたけどどう?」
(なんだ?人間みたいに詠唱だの魔法名を言ったりはせぬのか?)
「別にしなくても出来るから、しない方が楽でしょ。何をするのかバレないし」
(一理あるな。まぁ、魔力や魔法の扱い方は種族別、個体ごとに違うという事はあるが……ふむ、ひとまず外殻は再生出来たな。中の肉は別に徐々にでも再生出来るだろう)
「……それ、普段のご飯とかどうするの?」
(空気中の魔力がメインだから問題はない。肉等はただの嗜好品のような時間潰しみたいなものだ。我位の龍にとってはな。下位の竜だのドラゴン等はそうでもないが)
「っと、長話し過ぎた。子供達が待ってるから行くわ」
(……行ったか。しかし、前回よりも話す言葉が人間種じみてきたな……いや、あの神の影響か)
それから無事に息子蜘蛛達の所に戻ったけれど、地龍の肉塊を運んでるからか肉食系等の獣や魔物が結構来て、進化後の餌にはあまり困らない位にはなったと思う……多分。
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