進化したら妹蜘蛛が……(いや君もだよ?)
ふぅ。外殻も固まったし、お腹空いたからご飯食べよう。まぁ、妹の事を考えると満腹まで食べない方が良いよね?進化してあの食欲がどうなるか分からないし、ちょっと怖い。あ、ちょうど妹の進化が終わったかな?さてさて、どうな……前より小さくなった?いやいや、油断は出来ない。進化前でも結構食べる子だったからね。とりあえず、外殻が固まるまでは待とう。
「キシュッ(まあ、このお肉を食べ終える頃には妹も食べ始めるでしょ)」
……ケプッ。前より食べる量増えたかな?まぁ、良いや。妹は……うん、食べ始めているけど前より小さくなったね。これなら食べる量も減るかな?いや、妹だけに油断は出来ないよね。先に繭から出て追加の食糧でも確保しておこう。
「キキュウ?チュウ(もういいかな?もういいや)」
「キシュッ!?(えっ!?まだ(予想していた食べる量より)半分もあるよ!?)」
「チュキュウ……(なんか最初はお腹空いてたけど、今は大丈夫。満腹って感じがしないし、余裕で全部食べれると思うけど、お腹が膨れた感じが全然しないの……)」
「カシュ!(お母さん呼んでくる!)」
それから、妹蜘蛛はアラネアお母さんに色々診てもらったけれど原因は分からずじまい。ただ、病気とか進化不全とかそういうのではないらしい。まぁ、具合が悪いというよりは変化に少し戸惑っているようで、アラネアお母さんから繭の中にあるご飯は全部食べて問題ないと言うので、妹蜘蛛と分けあって食べる事にした。いや、前の妹蜘蛛なら全部私の物!って食べてたんだけど、満腹感やお腹がいっぱいという感じがしないので分けて食べようって事になって一緒に食べた。
「ムチュ?(これからどうするの?)」
「ダンジョン……そこの洞窟に餌を生きたまま入れて繁殖させ、非常食の場にして暫くはここで暮らしましょう。オークがあれほどの群れになっていた事から人間等厄介な存在もなかなか来ないでしょう」
「キチュ?(人間?)」
「キシャ!(そういえば、進化する前に人間見たよ!)」
「それは本当?せっかくの良い場所だけどまた移動しないといけないかしら?」
「キチュ?(でも凄く弱かったよ?)」
「キシャ(それは僕が援護したからだけど、確かに強くはなかったね)」
「良い?前に出会った無害な人間も居るけど、だいたいは攻撃してくるわ。それに、厄介なのは強さじゃなくて数、更にたまに強いのが混じっているのでそれは要注意よ。それにあなた達が倒した人間が帰ってこないとなるとその周辺により多くの人間達がやってくるわ」
「キチュ?(それっておかわりし放題って事?)」
「キシャァ(そうだとしても、あまり美味しくないし騒がしいのは嫌だなぁ)」
「進化したばかりであなた達はまだまだ進化しますから、移動してほとぼりが冷めたら戻って来るのも手ですが……洞窟を急いで非常食のダンジョン化させるのも手ですね。あなた達はどっちが良いかしら?」
「ムチュ!(沢山食べれる方!)」
「キシャア(それだとここら辺のは結構狩ったし、非常食場もまだまだから新しい狩り場を探した方が良いと思う)」
「なるほどね。それじゃあ新しい狩り場を探しに行きましょうか。行きたい方角はある?」
「キュ!(北!)」
「……キシャ(……東にある山の向こうかな)」
「じゃあ北からちょっと山の方に行ってみましょうか」
というわけで、進化したばかりだけど豊富な餌を求めて移動する事になった。だけど、進化する度に移動って大変。次は移動もなくて餌が豊富だと嬉しいなぁ。まぁ、ここら辺の餌が少ないのは妹蜘蛛の食欲が少し異常なせいってのもあるけれど……アラネアお母さん的には人間に遭遇していたのが1番の原因っぽい。
そして、アラネア達が移動をしてから数週間後、アラネアの予想通りに大勢の人間達がアラネア達が作った非常食場……もとい初期の自然発生型のダンジョンを発見し、更に大量の骨と糸を発見したが、何名かはアラネア達が作ったトラップに引っ掛かって死傷者が出た。そのため、深くは調査せずに人間達は引き上げていった。
「ムグッ、モグッ、ムチュ?(んぐっ、もぐっ、どこまで行くの?)」
「もう少し奥に行きましょうか。少し山に登って周りを見たけど、煙が昇ってたり、人間が造った物らしいのが南側にちらほら見えたからね」
「キシュ……(満腹感が無いとか言ってたのに相変わらずよく食べるね……)」
「ムチュ!(それはそれ、これはこれ!)」
という感じで、楽しく狩りをしたり、お喋りをしながら移動を続けているけど、なかなか良い場所に巡り会わず、餌が豊富で人間の縄張りが近くに無いという好条件はなかなか難しいみたい。なんか手頃で良い立地の場所があると良いんだけど……例えばダンジョンとか奥行きが深い洞窟とかダンジョンとか。
アラクネお母さんと僕 双頭蛇 @soutouja
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