人間種達の話し合いとそれぞれの動き
邪神ちゃんの話を聞いた後、周りを見ると蜘蛛の魔物達の姿は見当たらなくなっていた。しかし、今までのは夢や幻ではないのは、十分承知であるが、未だに安全だと安心出来る状況ではない……1名を除いて。
「お姉ちゃん、どこに行く気かな?」
「へっ!?……いや、あの、もう遅いし寝ようかな?なんて」
「ふうん……どこで?」
「それは勿論、蜘蛛ちゃん達のとこ、ろ……だけど、ダメ?」
「ダメに決まってるでしょっ!」
「ま、まぁまぁ、落ち着いて。とりあえず、今後の行動について話さないか?君達と俺で此処から出て、別れるのは確実として」
そして、それぞれ?が元の場所に戻った後についての話し合いを始めた。まぁ、だいたいの行動は似たり寄ったりだ。
1、まず、無事に帰った報告やら、何があったのかの説明
2、次に助けてくれた蜘蛛の魔物の報告やら強さについての捕捉説明
3、最後に、自称邪神の邪神ちゃんという存在の報告と活動目的やら知り得た情報の報告と、それに伴っての裏付け作業。まぁ、これは俺たちがやることではなく、国のお偉いさんやらギルドとかが考える事だろう。
4、それらを終えた後の俺たちの行動やらなんやら。まぁ、ここには2度と来たくないが……多分、俺たちの個人の意見等は基本的に考慮されないだろう。絶対、事実確認とかでここの案内へと任命されるに決まっている。
まぁ、これ等を踏まえた上で、事実を報告するかしないかの判断は個人でしなくちゃいけないが……1名はここを離れる事自体を嫌がりそうだ。勘弁してほしいが、俺では何も説得等出来ないし、妹である彼女が頑張るしか無いだろう。
「もう!お姉ちゃんしっかりしてよ!」
「ヤダッ!帰りたくない~。ここで蜘蛛さん達のお世話する~」
「お世話って……お姉ちゃんのお世話が必要そうには見えないし、魔物なんだよ?第一、お世話って……」
「神獣様です!寝床を整えたり、お身体を綺麗にしたり、ご飯を狩るのだって……」
「……他の神獣様が聞いたら怒るかもだから、蜘蛛の魔物達を神獣と言うのは止めて。後、武器も無いのに魔法だけで蜘蛛の魔物達より大量にご飯を用意出来るわけ?一回帰って装備なり道具なり用意した方が良くない?(……まぁ、帰ってからここに来れる可能性は無いと思っ)」
「っ!?流石私の妹!ナイス判断よ!そうと決まれば今すぐにでもっ……」
「待ちなさい!とりあえず、今は寝て、体力が回復してからでしょ。もう、これじゃあどっちが姉か分からないじゃない」
「……ごめんなさい」
どうやら、姉妹の話し合いも終わったようだ。これで安心?して寝れる。とりあえず、移動は起きてからで問題無いだろう。
一方、アラネア達が居た洞窟や湖等を領地に持つ国、その国の王城ではアラネア達の痕跡(主に進化の痕)が見つかり、強い魔物が現れたと予想しての会議が始まり始め、更に、周辺の動植物や魔物の生態等の調査への準備を始めていた。また、周辺国に使者を早馬で送り、その存在の調査や警戒網を敷く準備等と大忙しに動いていた。
また、アラネア達がゴブリンとオークの巣を一掃したのを知らず、巣のあった洞窟に近い村から、近くの町のギルドに対して、目撃情報やら調査、討伐に向かった冒険者が帰って来ない事を伝え、町にあるギルドは、巣の大きさを予想し、多くの冒険者達に駆除依頼を発行したり、腕の立つ冒険者に偵察の依頼を斡旋しようと動き出した時でもあった。
更に同じ大陸だが、アラネア達が居る場所からかなり遠くの国。聖国と名乗る、邪神ちゃんが言った、人間が産み出した新しい神の女神が庇護し、女神を信仰する人々だけが住む国の中央教会。そこで、教皇と聖女に女神から信託が下った。
『古き邪神により、蜘蛛の魔物がこの大陸で猛威を振るうでしょう。国境の防壁と結界を強化し、防御を構え、災害に備えなさい』
と。あくまでも守りに徹し、手出ししないようにと釘を刺したのだ。何故に女神がこんな信仰を下したのか?それは……女神が昔、邪神ちゃんに酷い目に合い、その教訓として、邪神ちゃん関連の事には首を突っ込まないと決めたからだ。まぁ、それ以外にも理由は有るし、いち早く邪神ちゃん関連に気づけるのも、争った後、なんやかんやでお茶友達になり、仲良くなってしまったからだったりもする。
更に更に、神界やら魔界やらでも、大慌てする神々がちらほらと……まぁ、大抵は若い神。つまりは新しい神と呼ばれる連中だけであるが、中には邪神ちゃんからの宣戦布告かっ!?と勢い込んだり、緊張したり、戸惑ったりとまぁ、大変。しかし、古き神々やそれぞれの頂点に立つような新しい神々は余裕である。それは単純に、触らぬ神に祟りなし。楽しむ邪神ちゃんの邪魔をして、手痛いしっぺ返しを食らいたくはない。または、そんなに邪神ちゃんが楽しいのなら、一枚噛まして欲しい!という感じでもある。
そう、正義でも悪でも、光でも闇でもなく、原初の時代から居り、新しい神々が増える中、混沌の神々とはただの災害でしかない。まぁ、たまに世界に対して良い事も……あるかも?
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