良い拠点場所見つけました
あれから、何日経ったのかは知らない。ただ、餌を求めて気ままに狩りをしながら進み、一時の拠点に出来そうな場所を探す。ただ、一つ言える事は……
「ムシュッ!!(また僕のご飯を横取りしてっ!!)」
「ムキュ?(食べるのが遅いのがいけないと思うよ?)」
「はいはい、喧嘩しないで。まだご飯は有るから、ね?」
3匹の魔物が仲良くご飯を食べてるが、別にほのぼの風景なのは3匹の視点のみである。3匹の前には狩りまくった動物やら魔物やらが山になっており、辺りには虫の声や鳥の鳴き声、生き物や魔物の気配が3匹以外一つもない。
数日後、3匹は仮拠点に良さそうな洞窟を発見した。だが、そういう場所はある程度の餌が居る可能性が高く、現に餌(ゴブリン達)が拠点を構えていた。
「肉は少ないのに相変わらずアレは数が多いわね……逃がさないようにしてから狩りましょうか」
「ムシュ!(分かった!)」
「ムキュ?(むぅ、足りるかな?)」
「じゃあ、罠の設置と周辺の狩りを同時に進めましょう」
こうして、ゴブリンを狩る準備は整った。まぁ、ゴブリン達が拠点から狩りに出れば、周辺に張り巡らされた極細で強靭な蜘蛛糸に絡まれ、ゴブリン達の生活圏の餌はことごとく妹蜘蛛のお腹の中へと狩られていった。
そして準備が完了し、アラクネお母さん(息子達の認識)率いる3匹の蜘蛛の魔物によるゴブリン狩りが幕を開けた。が、一方でゴブリン達の本拠点にある一つの場所、食糧保管の場所にはゴブリンに連れさらわれた人達が居た。
「うっ……はぁ、俺も焼きが回ったな。こんな事になるなんて誰が予想出来るってんだ」
「目が覚めた?……お姉ちゃん、おじさんが起きたよ?」
「……」
「お姉ちゃん?」
「……スゥ」
「お姉ちゃん……」
「やけにのんびりしてやがるな。一応、此処はゴブリンの巣だろ?あと、俺はまだおじさんの年齢じゃねぇ」
「本当かな?ЛЙЁЖДИ……ライト」
「っ!?明かりの魔法か……嬢ちゃん達エルフだったのか。ちなみに回復魔法は?」
「やっぱり見た目おじさんだ。一応、かけたよ?生き残るためだもん。でも……他の人は……」
「それは……すまねぇ。で、こっちの嬢ちゃんはよくこんな状況で寝れるな」
「あー……ほら、お姉ちゃん起きてー」
「んぅ……はい、結界張り直したよ?じゃあ、おやすみなさ……不味いわ。ゴブリン達は死ぬけど……私達は生き残れるかしら?」
「え?」
「は?」
エルフの姉が感じたのはアラネア達の魔力であり、異変に気づいたのはゴブリン達の雄叫びや悲鳴が響きだし、それが徐々に小さくなっていくまで、そんなに時間はかからなかった。
「おいおい、何がどうなってやがる?」
「知らないわよ。お姉ちゃん、何か分かる?」
「……大きすぎる魔力が2つ、大きい魔力が1つ、それがゴブリン達を蹂躙……いえ、幾つかのこの反応は……ゴブリンは強者に襲われ、何体か食べられてるわ。つまり、軍やギルドの攻撃ではないって事よ」
「そんな……」
「一難去って、また一難ってか?……というか、此処にはゴブリンしか居ないのか?俺はオークに挟撃されてパーティーが壊滅したんだが」
「え?」
「オークどころか、奥にはゴブリンとオークの進化個体が居ますよ。群れのリーダーはオークの進化個体かしら?ほら、ゴブリンの悲鳴からオークの悲鳴と雄叫びに変わったわ」
「それってつまり?」
「襲撃者、まぁ襲撃モンスターか?それが、この巣の中に入って来たって事だろ」
「そうね。私達が見つかるのも時間の問題かしら?」
「そんなっ!?」
「こりゃ、息を潜めて気配を消すしかないな」
3人が状況を理解し、息を潜めて気配を消し始めてからの洞窟内。3匹の蜘蛛の魔物がピクニック気分というか新築の家屋を下見するかのように洞窟内を進みながらゴブリンやオーク達を捕獲して後ろに飛ばしたり、おやつ的に目に入った餌を食べにいったり、微笑みながら息子達の行動を見つめてたり、3匹が各々行動しながら奥に向かう。
「ムシュ?(広い所に出た?)」
「ムキュ!(餌溜めに良さそう!)」
「進化するのにも最適ねぇ」
「イキナリヤッテキテナニヲイウッ!ココワワレワレノスミカダ。オトナシクカエルナラミノガシテヤル」
「ムシュ?ムシュムシュ?ムシュ(なんて?お母さんより聞き取り辛いよ?人間の言葉)」
「ムキュムキュ?(というか餌だよね。食べていい?)」
「あらあら。それじゃあ、リーダーは私が倒しておくからあなた達は好きに狩りなさい」
「フッザケルナッ!!ココデヤラレルノハオマエタチッ……」
「あなた、煩いですよ?」
リーダーだったオークジェネラルは、アラネアが一瞬で距離を詰めて大鎌を振り、あっさりと首を狩られた。それを合図に最後の蹂躙劇が始まった。アラネアはオークジェネラルの死体を蜘蛛糸で包み、奥の方に持っていく。息子は蜘蛛毒を当てながら蜘蛛糸で拘束し、アラネアが向かった方に持っていく。娘はただただ、鋭い牙や足先の爪で貫いたり、切り裂いたりしながら食事を忘れない。
こうして、蜘蛛の魔物3匹はオークとゴブリン達から洞窟を拠点として奪いつつ、食糧をある程度確保したのだった。
「ムキュ!(足りないからちょっと確保してくる!)」
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