9月6日(土)12:30 レストラン

お昼は男の提案で高級焼き肉店に来ました。高級さと味の信頼を兼ね備えた選択肢です。二人は、これまでの人生で最も金銭的価値のある料理を黙々と食べ進めました。ある程度食が進むと、今後の予定についての話し合いが始まります。


「僕らの余命は後14時間前後といったところだね、何かやり残したことはあるかい。」


「うーん、人生最期の日を健康な状態で迎えられるとは思っていなかったからなあ。美味しいものは今食べているし。」


「確かにね。そしたら、健康な体に感謝してスポーツでもしようか?」


「私が今着ている服はワンピースだよ。およそ運動に適しているとは言えない。この服、今までの人生で一番気に入っているんだ。」


「じゃあ、その服に適しているのはどんな場所なんだろう?」


「そうだな…映画館とか?」


「映画館?真っ暗で服装も何もないじゃないか?」


「…? 映画を観にいくのに、めかしこむのは当然じゃないか?」


「…確かに。特別な場所だもんな。映画館って。」


 二人は見る映画を相談して決めると、また食事に戻りました。しばらくするとまた会話を交わし、高級な料理を少しずつ少しずつ咀嚼していきます。料理がなくなる頃、男は言いました。


「ここは僕に奢らせてくれないかい?一度やってみたかったんだ。それとも君はこんな願望を性差別というかい?」


「そんな無粋なことは言わないよ。でもこれはひとつ貸しだね。」



残金 男:64,120円(焼き肉代)女:62,600円

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