第2話 燃えるようなあなたになりたい
遅刻せずに自分の席についたススムは、隣のマモルに話しかけた。マモルの顔はそのままだが、足が魚のそれだった。
「なあ、マモル?お前足どうした?」
「え!?ついに凍ったか?って凍ってねえよ、なんだよ」
パタパタと人魚のようなヒレを揺らす。
「お、お前男なのに…昨日まで人間の足がついてただろ?」
「なにいってんだ?生まれつきこうだよ、ススムと一緒に風呂だって入ってただろ?近所の銭湯」
「入ってたけど」
人間の足だったぜ、たしかに。言わぬまま飲み込んだ。次の言葉に驚いたせいもある。
「なんだ俺も人間にしたいのか?キスしてくれなきゃな?」
「き、キス!?それで元に戻るのか?」
「いやいや冗談だけどな?てか元からこうだってば!」
「ススム君、さっきから聞いてたけどひどくない?」
「い、委員長」
「マモルくんの足のこと、そんな言い方ないんじゃない?」
「いいって、ススム顔色悪いしなんかあったんだろ?それよりいいんちょ、あっためてー、寒くってさ」
マモルの声に仕方なく委員長が手を出す。ふーっと息を吹きかけると温風が辺りを包んだ。他の生徒からもあったかーいと声が漏れる。
「ススム君、ちゃんと謝ってね」
「委員長まで。いや俺、ごめん、混乱してて」
委員長が熱血なのはいつもどおりだし、マモルが冗談言うのだっていつもどおり。ススムの様子に気付いた委員長が保健委員のノゾミを呼ぶ。
「ススム君を保健室に」
「大丈夫?」
ノゾミはススムを背中に乗せた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます