(四)-2(終)

 その後、メアリーと友人たちの四人はカフェを出た。これから帰宅するのだ。

 校舎の中を通って出口に向かっているとき、ゴミ箱のそばを通った。メアリーは私をその中に放り投げた。そしてそのまま立ち去ってしまったのだった。


 私はただの彫像に過ぎない。人によってその価値は様々だ。生まれたのも随分古い。だからメアリーみたいな二一世紀の若い人たちにはあまり興味をそそられる存在ではなかったのかもしれない。でも、私に価値を見出してくれる人もいた。個人的な思いを託してくれた人もいた。

 いつも高く評価されたわけではなかった。でも人にとって、喜ばれる存在であったこともあった。今はゴミ箱に投げ入れられてしまったけれども、でも、生まれてくることができて良かったと思う。私を生み出してくれたシュテファン・エルラーに、ありがとう。


(了)

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彫像のレゾンデートル 筑紫榛名@12/1文学フリマ東京え-36 @HarunaTsukushi

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