(二)-5

 それから一ヶ月経ったある日、イリーネの家に訪問者があった。イリーネが玄関を開けて応対した。ドアが閉まる音がした。続けてイリーネが大声で泣く声が聞こえた。

 イリーネと家族の会話を聞くところによると、ヘロルドは戦死したという。モルトケが修正したシュリーフェン計画に基づき侵攻してきたドイツ軍を、南のモンスの町で迎撃したときのことだそうだ。

 戦争が終わり再び平和が訪れた頃、イリーネは結婚した。相手はブリュッセルで事業をしている実業家であった。


(続く)

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