(二)-4

 イリーネは彼に抱きついた。そして彼の唇に自身の唇を重ねた。


 その夜、二人の家族がイリーネの家に集まった。私は食卓の上に飾られていた。この日は二組の家族でささやかな酒宴となり、食事とお酒と会話を深夜まで大いに楽しんだ。

 そして翌日、ヘロルドは軍務に戻っていった。休暇が終わったのだった。


 私はイリーネの部屋に飾られることとなった。そして彼女は毎晩寝る前に私に向かって祈りを捧げた。ヘロルドが無事に戻ってきますように、と。残念ながら私はただの彫像なので、それを叶えるような力は持っていなかった。ヘロルドがこのとき、どこでどうしているかも全く知らなかった。


(続く)

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