(二)-3

 ヘロルドは私を胸の前に抱きながら、玄関ドアの前に直立姿勢で家人が出てくるのを待った。

 鍵を開ける音がしたあと、扉が開いた。美しい若い女性が立っていた。彼女の名前はイリーネ・ダッケ。ヘロルドの幼なじみであった。

 ヘロルドはイリーネが出てくると、包み紙を彼女に渡した。イリーネは戸惑いながらもリボンをほどき、包みを開けて私を見た。彼女は少し戸惑っているようにも見えた。

 ヘロルドは、イリーネに言った。短く、「結婚しよう」と。


(続く)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る