7-2
「さあ、行くぜぇ!」
地上10Fほどの高さでホバリングしているプロペラダークが、下を覗き込むような体勢で機首のプロペラを回転させ、地上に向けて機銃掃射を放つ。竜巻に巻き込まれ、ランダムな軌道で地上へ降り注ぐ弾丸の雨。回避しようとするスパイナーだが、予測不能な動きと圧倒的物量により防御姿勢を取るので精一杯となる。スパイナーが足止めされている間にも弾丸の雨は止むことなく、やがて交差点一帯を爆発と硝煙が包み込んでいく。
「ちっ、弾切れかぁ!」
しばらくの間弾幕を張り続けたプロペラダークが射撃を停止する。煙が少しずつ晴れて行き、通行不可能なレベルにまで破壊し尽くされた交差点の残骸が徐々に浮かび上がるが、スパイナーの姿は見当たらない。弾幕を避けきれず、瓦礫の山の下に埋もれてしまったのか?
「プルル?どこかに隠れたのかぁ?」
敵の姿を探すべく、プロペラダークが高度を下げて地表に近付き始めたその時だった。怪人の背後に迫る影。地上30mの高さに突如として現れたのは、我らが解体戦士スパイナーだった。そう、彼はネイルガンダーク戦でも見せた跳躍力を活かし、土煙に紛れてビルの壁面を跳び渡っていたのだ。右手をドライバーアームに換装したスパイナーは、無言で敵にスティンガーブレイクを放つ!
敵の装甲を容易く貫くであろう必殺の槍。しかしその一撃は空振りに終わった。寸前になって、プロペラダークは攻撃を回避したのだ。
「!?」
「馬鹿め、お前の攻撃なんかお見通しだぁ!」
空中で一回転したプロペラダークは、両手のプロペラを回転させながらスパイナーに向けた。至近距離でミニ竜巻の直撃を食らい、スパイナーは後ろに吹き飛ばされ、付近のビルの壁面に叩きつけられる。
「ぐがっ」
「プルルル、残念だったなぁ……死ねぇ!」
プロペラダークは敵を撃ち落とすべく、標的に向けて右腕を構える。再び生み出された竜巻が壁面のスパイナーに向かって伸びていく。今度こそ万事休すか?
__だが、スパイナーはまだ諦めていなかった。渾身の力で壁から抜け出し、再度怪人に向けてジャンプする。側から見れば、竜巻へ真正面から突っ込んでいく構図。自殺行為としか思えない。
「プルルルル、血迷ったか……何ぃ!?」
その蛮勇を嘲笑おうとしたプロペラダークの表情が驚愕に染まる。彼の竜巻は、逆方向に吹く突風により相殺されていた。そう、スパイナーは右腕を換装し、スパナサイクロンを発動していたのだ。懐に飛び込んできたスパイナーは、スパナアームを振るって敵の胴体にボディブローを叩き込む。
「プルォッ」
強烈な一撃をまともに食らい、プロペラダークのボディに激震が走る。怪人は空中で姿勢を崩すが、幸いにも背中のプロペラは無事だった。両翼をフル稼働させて体勢を立て直すと、すぐさま急上昇してスパイナーの追撃を逃れる。
「や、やるなぁスパイナー。だが、お前の攻撃じゃここまで届かない。あばよ!」
ボディを負傷しながらも、プロペラダークは高笑いしつつ戦闘を離脱する。上空に遠ざかっていく影を見据えながら、スパイナーも壁面に着地し地上を目指した。
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