第5話 疑惑と選択
5-1
シャインシティの街中に突如として襲来した、悪の尖兵ネジーの軍団。解体戦士スパイナーが、街の平和を守るために立ち向かう!
「行くぞ、換装!アームチェンジ!」
スパイナーの掛け声と共に、彼の右腕が細長い槍のような形状へ置き換わる。これぞスパイナーが手に入れた新たな力、ドライバーアームだ。
「トゥッ!」
スパイナーはネジーの振り回す巨大ネジを避けつつ、ドライバーで素早く突きを入れていく。
「ネジッ」
かつて、このアームの使い手であったドライバーダークが披露したように、ドライバーの鋭い穂先はネジーの胴体を易々と貫通、次々と爆発させていく。
「次はこいつだ!くらえ、スティンガーブレイク!」
スパイナーはアームを、そして自身の体を高速回転させ、残ったネジーの群に向かって一直線に突っ込んでいく。捉えたネジーの胴体をアームで突き破り、そのまま勢いを止めずに次のネジーへ。その調子で全てのネジーを数珠繋ぎにするように飛び回る。スパイナーが地面へと着地した直後、胴体に風穴が開いたネジー達は連鎖的に爆発した。
「「「ネジジジー!!!」」」
『戦闘シミュレーションを終了します』
ここで電子音声が鳴り響き、部屋が明るくなる。そう、この戦いは研究所内で行われた擬似戦闘である。本来ならばドライバーアームの性能テストも兼ねていたのだが、既に実地での戦闘が済んでいるため、コウジにとっては性能確認の意味合いが強くなっていた。
「どうだった、ドライバーアームの使い心地は?」
戦闘を見守っていた空戸博士が問いかける。
「はい!スパナアームより軽くて扱いやすいです。こう言ってはなんですが、スパナアームは重量があるせいで、バランスを取るのに苦労する事があるので」
「ふむ。だがその分、破壊力と攻撃範囲ではドライバーアームより優っている筈だ。他の武器と使い分けるうちに、既存の武器や戦法の新たな一面が見えてくる事もある。例えばメテオリオンは、基本的に拳のみを武器にして戦う戦士だった。だがその分戦法は非常に多彩で、あらゆる状況に対応できるよう己を磨き上げていた」
「なるほど、博士はメテオリオンを支援していたんですよね。彼もマインドエネルギーを?」
「ああ、彼と共に戦った日々が既に懐かしい。平和を望む彼の崇高な精神を、君ならきっと理解できただろう__おっとすまない、そろそろアーマーのメンテナンスの時間だ」
「それは失礼しました。ん?俺もそろそろ出かけないと」
コウジが腕時計に目をやり、慌てて荷物を片付け始める。
「なんだ、ユキエと約束でもあったのか?」
「いえ、大した用じゃないです」
彼は適当に言葉を濁すと、そそくさと研究所を出て行った。
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