第4話 換装!ドライバーアーム

4-1

(前回までのあらすじ)

ダークフォースの刺客・ドライバーダークを撃破したスパイナー。しかしその直後、ダークフォース幹部の1人である守護騎士プロスが彼を強襲した。その圧倒的な戦闘力の前に敗北寸前となるスパイナー。だが、プロスに生じた謎のトラブルにより、生き延びることができたのだった。


日没直後、ベイエリアの海浜公園。プロスとの戦闘を終えたコウジは、スパイナーへの変身を解除し帰還しようとしていた。しかしそこに、突然背後から声がかかる。


「おーい、あんた、ちょっと待ってくれ!」

「?」

コウジが振り返ると、そこには先ほどすれ違った、冴えない風貌の男の姿があった。あの戦闘中、逃げずに近くに隠れていたというのだろうか。それに、戦闘を挟んだためにすっかり忘れていたが、彼はこの男に疑惑を抱いていたのだった。コウジは瞬時に警戒を強める。


「お前、一体何者だ?」

「そんな怖い顔しないでくれよ。これを見てくれ」

男が差し出した名刺には、「シャインシティ新聞社 記者 間寺正志」と書かれていた。

「あんた、新聞記者なのか?」

「そうだ。表の顔は新聞記者。そして裏の顔は、シャインシティ随一の情報屋。何を隠そう、メテオリオンにダークフォースの情報を提供してたのはこの俺だ」

「な、何だと!?」


情報屋を名乗り、コウジに接近してきた間寺という男。だがコウジにとっては、男の胡散臭さが一層増したように思える。

「本当にメテオリオンの知り合いなのか?空戸博士からはそんな話聞かなかったぞ」

「そりゃそうだろう、俺の存在は他の協力者にも明かしてなかったはずだ。それもあの人の配慮だったんだろうな」

「そういうものなのか」

「そういうもんだよ。それよりさっきの男、プロスについての情報を知りたくないか?お近付きの印だ、特別にタダで教えよう。どうだ?」

「……」


この男に対して感じる胡散臭さは消えていない。だが率直に言って、プロスに関する情報には興味があった。信用性の低い情報だとしても、聞いておく価値はあるのではないか。

「……どんな情報を持ってるんだ?」

「ああ。奴は守護騎士プロス。ダークフォースの三大幹部の一人だ。常に冷静沈着、無口な性格で、パーソナリティはよく分からない。だが人望はあるらしく、次期将軍の座に最も近いと言われている」

「あいつの戦闘能力については?」

「あんたも見ただろうが、奴の最大の武器は変形させた右腕だ。鋸状の刃に振動を纏わせることで、あらゆる物質を裁断する超振動刃「レシプロソード」。奴の卓越した剣技と合わさって、手の付けられない強さを持っている。そして、注意すべき武器がもう一つある。振動の力を左手に集めることで、小さなエネルギー盾「レシプロシールド」を作り出すんだ。この盾は空間を歪ませる力があるらしく、例えどんな攻撃を受けても、捻じ曲げて別の方角へと飛ばしてしまうという話だ」

「なるほど」


先ほどの戦闘で、そのレシプロシールドを使われたということか。スパイラルブレイクが不発に終わった時は何が起きているのか分からなかったが、ようやく理解できた。

「だが、この能力も無敵というわけじゃない。レシプロシールドは一度使うとしばらく使用不能になるらしい。あんたがもう一度必殺技を撃てていれば、今度は避けられなかっただろうな。その前に何故か帰ってしまったが。さて、俺の持ってる情報はこんなとこだ。参考になったかな?」

「……一応は。礼を言っておく」

間寺の情報は、それなりに筋が通っているように思える。ひとまず信用してもいいかもしれない。そんなコウジの態度を察した間寺は、「何かあったら名刺の番号に連絡してくれ」と言い残してその場を去っていった。

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