クラス小戦争

しんたろー

プロローグ

「お前も死にたいか?」


 僕、小林広樹こばやしこうじゅは、体育館のステージの上から奴に銃を向けられていた。


 左前では、教頭の森田純子もりたじゅんこ先生が血を流して倒れている。皆は恐怖のあまり凍りついている。警察は来ていたが、入ってくると発砲すると奴が叫ぶので、入り口で身構えていた。


「貴様! お前のせいでどれだけの人が犠牲になっとると思っとんや。今すぐ銃を下ろせ! 自分の犯した罪を認めろ!」


 僕は怒りと恐怖が混ざり混ざって、手はガタガタと震え、床には手汗がボタボタと落ちていた。


「黙りなさいよ! こうなったのも全部あんたのせいよ。あんたさえ居なければ、あんたさえ邪魔しなければ、私たちは平穏に暮らせていたのよ」


 奴の怒り狂った声がワンワンこだまし、銃を握る手が震え始める。


「もういい。あんたにもここで死んでもらう。おとなしく銃弾を浴びるのよ」


「死にたくない!」


 その時、何人かの生徒が立ち上がり、側面の非常口へ逃げた。


 奴が構え直した。いつ発砲してもおかしくない。キャーッという何人もの生徒の悲鳴が、後ろから聞こえてくる。パニックになっているのだろう。僕は覚悟を決めて目をつぶった。


 今思えば、ここまでとても長い道のりだった。でもそれも色んな意味で終わろうとしている。


 最後に神様は本当に僕を殺すのか。それとも助けてくれるのか。そこには一つの真実があるのみだった。

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