干支精霊

勝利だギューちゃん

第1話

年が明けた。

新しい年が来た。


来なくていいのに・・・


年齢は関係なにというが、やはり焦るのが心情。


「ふぅ」

溜息が漏れる。


俺も、もう50歳。

同級生の中には、孫がいるのもいる。


疎遠になっているから、わからんが・・・


それに引き換え、俺は独身。

まあ、それはいいのだが・・・


あれから12年。

今年も来るのか?

来ないでほしいな・・・


「お久!」


やはり来た。


「12年ぶりなのに、浮かないね」

「笑っていられるか」

「君は12年前と、変わっていないね」

「余計なお世話だ」


こいつは、牛のベル。

まあ、牛と言っても見た目は人間なのだが・・・


「今度は、お前のお世話かよ」

「ネズミのマイは?」

「さっき、帰ったよ」


俺には、干支の精霊がまとわりついている。

毎年、その年の干支の精霊が、やってくる。


俺だけではない。

先祖代々だ。


その役目は、俺が20歳になってから、親父から受け継いだ。


「お父さん、亡くなったんだって?」

「ああ。7年前にな」

「君も早く結婚してね。子供ができないと、こっちが困る」


なんでだよ。


「じゃあ、また一年よろしくね。」


でも、次は12年後になる。

ベルが来た時に、俺はいるだろうか?


まあ、先の事はゆっくり考えよう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

干支精霊 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る