恋活相談所のキューピッドくんはCP厨

捻野いち

プロローグ 

世界は決してひとつじゃない。


たとえば、知らないだれかが住まう土地。

存在すらもあやふやな、感知できない未知の場所。

例えば同日同時刻、「もし」「あなたに出会わなければ」変わっていたかもしれない未来。

そんな「もしも」の先でさえ、違う自分が生きる異世界だ。

蝶の羽ばたきひとつで壊れてしまうものもある。


世界を線としたならば、それはあちこち枝分かれして、生き物の数だけ存在する。

絵になんて描こうものなら、たくさんの線が織り重なって混じり合い、画用紙は真っ黒になってしまうだろう。


要するに。世界と世界が交わる場所は、無数に存在するのである。


暗い路地裏。マンホール。鏡のむこうに水たまりの底。違う世界へ繋がる道は、どこにだって溢れてる。だから、その道を渡る資格──“鍵”さえくれてやればいい。

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恋活相談所のキューピッドくんはCP厨 捻野いち @72_

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