第17話

追撃しようとしたら、大きな壁が顕れた。


成る程。逃げる時間稼ぎか。


皆である程度攻撃をそれに加える。…無理か。


…そこでまたテレパスがまた響く。


『はいはーい。要請を把握しました。壁を破壊するので離れて結界張ってその中に入ってください。では三十秒後に行きますよー』


…さっきと口調が違う…。恐らく何人かで分業している様だ。


とりあえず結界内に移動を急ぐ。でも何故壁を壊すのに結界が必要なんだか。


三十秒後…それを見て唖然とした。


次元斬とかぶっ放しやがりましたよ…。空間が破壊されて空間の修復機能が発動し、周りからそれの素材を集める為か疑似ブラックホールらしき物が発生していた。


…ああ、ブラックホールから身を護る為に結界が必要だった訳ね。前の話に有った世界の仕様ってこれか。…万能すぎんぞ、おい。


ブラックホールが収束し、結界が解除される。さて、追撃を再開し、…がはっ。


気付いたら意識が少し跳んでいた。と言うか死んでたのか?…何故?


テレパスが響く。


『把握。ヒックズ機構、起動。』


…すると一人いきなり敵が現れた。いや、動けなく成ったのか?


ヒックズ機構…思い出せ…確か最近聞いたはずだ。重さを物質に与える仕組みだったよな?


つまりは敵がそれを使って重さを零にし、光速で動ける様にしてたのを此方も操り、重さを相手に過剰に与えたって事らしい。


…これで此処に居るのは大抵が一回死亡したことに成ってしまったのだろうか?流石に死んでた間の事は解らないけれど。


光速で此方を殲滅ししだしさっさと帰るつもりだったのか周りに追加の敵兵は居ない。…よしサクッと殺りますか。


そしてそいつを殺害し、結界を使い隔離し、一部の人員に撤退させ持ち帰らせる…らしい。


成る程。蘇生自体させない様にすれば蘇生ルールとか関係ないか。


因みに一定の場所へ敵を死んだ状態で連れて行けば敵を蘇生ルール関係なしに離脱させれるそうだ。


…生きたまま連れて行くのがありだと、【転移】無双に成るのは目に見えてるので仕方ないか。


…転移とかは所有者は互いに少ないから転移は余り戦闘で考慮し無くて良いわけだけど…。


分業してるとは言えやっぱり此方のサポートが優秀過ぎるよな。…でも流石に大元の能力だけであんなに能力使えるならバランスブレイカーにも程が…。いや、一人でやってないなら問題無いのか。他の奴の能力を能力に入力し、現地に届ける能力として扱えば問題無いはずだ。…それならば強能力者をサポートに回す価値が有る形に成るし、射程等に問題が有る能力だろうが、戦場全体で強能力が猛威を振るう事が可能に成るのだし。


そう言えば召喚獣って何を基準に従って居るのだろう?フェニックスとか意思がそれなりに有る奴は餌と住む場所で良いかも知れないがそのレベルで意思が無い奴は?…手法によりまちまちだから考えなくて良いか。件の敵の精霊とかは鉱石を一定量定期的に貰えれば良いだろうし、さっきの毒系のは毒が有れば有るだけ良いのだから毒を一定量以上定期的に貰えればそれなりの報酬として成立しそうだ。…では、アジ・ダハーカは?…解らん。なんか密約でも有ったのだろうか?


移動しつつそんなことを考えていると、隣のエリアの火山の内の一つが噴火し続け、大量の噴石が絶え間なく落ち続けてくる。


…いやいやいや、可笑しい。噴火ってそんなに連発してやれる物じゃ無い。…まさか、火山が噴火が起きる状態に無理矢理出来る能力の奴でも居るのか?


多分土と炎系が居れば理論上は可能なはず。


だが継続的にマップ攻撃をされるのは不味いな。誰かが止めに行かなければ…。


そこでテレパスが繋がる


『本陣より通達。貴方達が今追っている敵の追撃を辞め、火山へと向かい、噴火活動を行わしている奴を停めてください』


それは他に任せ此方は追撃しようと言う意見は有ったが、一先ずは火山へ行く事に成った。まあ流石に噴石が大量に落ち続ける状態は厳しいので仕方ないか。


この件が重要視されるのは恐らく土やマグマや炎等を操れる奴が居て攻め込まれたらマグマを操れる以上、地中マグマ防壁が素通りされる恐れが有るからだろう。まあ、そう言うのは潰して置きたいよね。


そして火山へと移動を開始し、十分程で火山の麓へと着いた。此処から先はマグマが所々見え隠れしていてマグマを操れるなら戦場としてかなり良い場所と言える。…今回の演習相手側のテーマは地形や天候の利用なのだろうか?


それはまあ良いや。


奇襲されても良いように移動型結界を張りつつ移動するが、多重接続のテレパスで伝えられた話に依ると一定量以上のマグマや炎には耐えられないので、追加のエネルギーをぶち込む事で耐えるのも限界有るから今回は結界を過信するな。だそうだ。


…それで大丈夫なのか?とは思うが、結界の耐久性は結界を張る奴等の耐久力を元にした物らしく、流石にマグマに順応は無理ですと言っていた。…この結界、要はタンクの盾が味方全体を囲っている様な物な様だ。


つまりは術者の実力が上がれば上がる程性能が上がる余地が有るが、そんなに遭遇し無いような現象に対しての耐久力は経験不足故に低いし、術者の実力がある程度以上無いと使い物に成らないと言うわけか。


…でマグマは防げない…と。嫌な予感がするな。


他の人がなら水蒸気爆発は耐えれる?と多重接続のテレパスで聞いた。


何する気だ?


と返されると、


炎を纏ってるだけで炎以外に体有る様な個体に水使ったら体の熱に大量に水が触れると水蒸気爆発起きる気がするから爆風くらい防げないと不味いからな。


だそうで。…言われてみればマグマなんて熱の塊を操る奴相手に大量の水なんてぶつけようとしたらマグマで防がれそうだし、有り得そうな感じだった。…それは割と洒落に成らない訳だが。…自分の【剛体化】なら空間を固めれば防ぐくらいは出来そうなので会話に割り込む。


あの、済みません。自分は【剛体化】を持ってるのですが、結界に掛けて結界強化しましょうか?


出来るなら頼む。


解りました。


そして【剛体化】を結界に掛けて耐久力テストを少ししたのち、火山へと突入を開始する事にした。


少し進んだ所で進んできた道の側にマグマがいきなり溢れ出し道を塞いだ。


…あ、これ、飛べる能力か【環境無効】辺り無いとやばい奴だ。


直ぐさま退路を確保するために水系因子で意図的に水蒸気爆発を起こし、壁を破壊する。マグマが辺りを更に侵食し始めたので撤退する事にする。


其所に敵が数体顕れた。


…事前に調べた奴の中に居たな…確か種族名はフレイム・チャリオット。能力のベースはサラマンダーで、大気生成能力が更に追加された感じだ。一先ずは他の人が結界で捕縛を試みながら逃げる隙を探す。…辺りにはマグマが更に満ちていく。このままでは退路を完全に塞がれてしまう。まあ、空間を【剛体化】で固めれば足場くらいは創れるけど…。こいつらは此処で倒さないと色々と不味い。


他の人がフレイム・チャリオットを氷で無理矢理包む。つまりは空気を断ちつつ閉じ込める訳だ。


更に他の人も氷を重ねて使いまくり氷の檻を無理矢理創り、抑え込む。駄目押しに水を辺りに満たす…だが、水蒸気爆発が発生し、それを受け取り、更に強化されている様に見える。…そこで一旦そいつはマグマへと潜り、直ぐさま出て来て、マグマブレスを吐いてきた。…マグマやフレイム・チャリオットを鎮火するレベルで水を使うと半端じゃ無い水蒸気爆発が起きるのは目に見えてるし、足場がどんどん減ってる状況で離脱より相打ちを狙いに行かなければ成らない状況でも無い。


…ってか次元斬はどうしたんだ。アレならやれるだろ……いや、少なくとも次元斬で対処出来るなら来る前にもう終わってても可笑しくない。…多少斬られたり空間修正のブラックホールを喰らったりしてもこいつらは問題無いと言うのか。


実際地形利用タイプなら前提と成る地形を破壊をしてしまえば良いはずだが、それを水でしたら大爆発不可避である。今の状況ではやれない手段だろう。


なら温度変化で一気に温度を下げれば行けるはずだと発言するが、此処に来てるメンバーの中には居なかった様だ。


…レメンタラー辺りをぶつければ倒せるだろうか?其方を要請して貰おう。


とりあえず此処は氷で障壁を創りつつ何とか火山から逃げ出したのだった。

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