第15話
三日後。
省略した二日間については、取り敢えず二日間で耐性をそれなりに付ける事に注力し、行う作戦の会議等を行ったのだが、それによると、【鉱物生成】で様々な鉱物生成を行い、それを件の精霊が加工を行い、様々な金属製の装備が充実してるらしい。施設の壁の材質の話の時に出た、断魔石等のアンチ因子的な物もそれなりに混ぜている為魔法斬りとかも可能みたいだが、性能が件の精霊ほど高度な物はそれには混ざって居ないようだ。
恐らくの理由としては破壊がそもそも不可能でも無ければ、どの様な硬度の鉱物で有ろうが、同じ種類の鉱物をそれなりのスピードでぶつけると壊れる為で、件の精霊は自分の体の鉱物でそれが起きない程度に造る装備をデチューンしているためだと思われる。…それでも一般的な物と比べると高性能では有るのだが、その武器を奪えば件の精霊に攻撃が通ると言う訳では無い様だ。
…尚、鉱石についてもある程度調べたら、一定以上の打撃や衝撃を与えると水の様に振る舞う鉱石なんて物も有った。…まあつまり大きなそれに一定以上の衝撃や打撃を与えようとすると、海に手を突っ込んだ時みたいに成るわけだ。勢い良く突っ込めば水を飛び散らせられるだろうが、…黄金の伸びる性質と組み合わせると、飛び散る奴も普通に伸びるだけで終わりそうな気がする。因みにその鉱石はアガンダイトと言い、採掘師泣かせの鉱石として有名だった。何故なら衝撃等を与え中に手を突っ込んだり採掘道具をそれに当てた後に直ぐにそれに与えた衝撃が消える迄にそれらを鉱石から出さないと元通りの硬さに戻って仕舞うので、例えばその鉱石の上に道具を落とすとかすると道具が一気に鉱石の中に沈んで取れず、鉱石の中に採掘道具が埋まってしまうなんて事もあるし、落盤事故でその鉱石が落ちてきた日には鉱石の中に閉じ込められて仕舞いかねない訳で。…まあ、普通に落石事故が起きる寄りかは落石の威力自体は落ちるが、対処を間違うと大変な事に成ってしまう訳だ。
…実際普通に考えて仲間に【鉱物生成】持ちが居るなら【鉱物生成】で生成出来る物は一通り揃えているはずだ。まあそれで生成出来ない又は余り知られていなかったり入手しづらい希少な鉱石系は流石にそんなに無いと良いのだが、国がバックに居る以上希少過ぎる物以外は全部揃えていても可笑しくないはずだ。…出来れば戦わないで済ましておきたいが、最低限の対策は練っておくべきだろう。…ん?そう言えば断魔石を他の鉱石の中に組み込んで何故他の鉱石の魔法的な要素が消えないのだろう?…一応断魔石にもエネルギーが存在するんだよな?…ああ、エネルギーがぶつかり合うのが問題なのだから、そうならない様にすれば良いのか。なら消すエネルギー側と他の鉱石のエネルギーを消す側のエネルギーを同じ種類のエネルギーとして扱える様にして、他の鉱石のエネルギーを消す対象から除外してるならば行ける…か?…もしそうなら件の精霊の独自技術として来られても納得出来るレベルだなこりゃ…。そんな装備有ったら重宝しそうだし、鹵獲狙ってみるかね。…そう言えば、恐らく召喚獣は互いに大量に居ると見て良いが、ヴリトラとレメンタラーは問題無いとしても、フェニックスはどんな力を使うか見せてくれなかったから仮説に成るが、燃えて灰に成ってから新生するまでの時間がかなり短いなら能力的では無い簡単な拘束程度は意図的に灰に成って拘束から抜け出すくらいは出来そうだし、死ぬまで対象に掛け続けるタイプの奴も一度死んだ事で効果が終了したりしそう。…問題は火の耐性だよなぁ…。永続的効果系は永続させるための仕組みさえ見抜いてしまえば何とか成ると思うが、聞いた通り、火で燃えて新生し無きゃ成らないから、フェニックスが自己を燃やすだけの余力を残した状態で殺すのは復活されるだけなはず。死んだら燃えるのが自動発動にするにしても、それを行うエネルギーは死ぬ時に確保しておかなきゃ成らないはずだから、つまりは敵に強奪系とかの敵のエネルギーをどうこうするのが居たりしたらやばくね?…これ以上はいけない。うん。よし。なら、敵の他のモンスターについて考えよう。件の精霊程では無いにしても厄介そうなのは他にも居た。例えばアジ・ダハーカ。…どうやらヴリトラと比較神話的には同一視されるらしく、詳しいデータは無かったが、ヴリトラの事を考えると嫌な予感しかし無い。原典的には体の中に昆虫を飼っている(アジ・ダハーカの体を斬ると昆虫が溢れ出てくる)らしいが、餌はどうしてるんだ?的な事を考えると、赤血球や白血球とかの血液中成分が生物にでもなったのだろうか?近接戦闘は出来れば避けて置きたい所だ。後、千の魔法を持つとかも言われている。ああ、千と言う数字にまつわる魔法では無く文字通り千種類の魔法を持つと言う意味だ。内容は解らないがバランス良く取得してるなら倒すにはかなり面倒だろう。…多分分身能力とか有りそうだよなぁ…。だからそのアジ・ダハーカの方は戦う可能性は高そうだ。…分身はスペックが落ちるとか言うが身体強化能力使えばそれなりには成るだろうし…。能力の定義はある程度は曖昧な方が色々な解釈を入れられるし汎用性は高いけど、能力として言うには押しが弱いな。○○の能力って言うか、○○を可能とする全ての能力って感じで、一つの能力言う所で何個の能力言ってんのって感じ。まあ設定次第と言えばそれまでだが。
さて現地に行くとしよう。…正直、バトル物の模擬戦によく有る怪我を肩代わりして許容値超えそうになったら所有者を転移させるペンダントとか、ダメージを他の物に変える結界とか有るから、幾ら本気で殺し合いしても良いとか、仮に有ったとしよう。前者は装備を奪えば普通にやばいから不完全だし、後者の技術でそれの対象を限定出来たらその結界が壊されない限り戦争の防衛戦なんてヌルゲーだろうが、対策方法自体はその結界を壊せば良いと分かり易い。だから要は壊し方を解析される迄しか使えないので、見せ札として使うには勿体なさ過ぎるのだ。
何が言いたいかって?要はそんな装備や設備が有って戦争演習に緊張感もクソも有るかっって話だ。そんなの有ったら少しやり過ぎなだけの賭けスポーツと何ら変わらないのだから。
まあ蘇生出来なくさせる様な効果の力はルール上禁止、と、幾つか禁止事項は有って、最終的な死者は毎回居ないらしいが、…あくまで“最終的な”死者が、なので、後で蘇生されるのは前提とは言え途中で死者は出るのだが。
さて戦場について触れようか。実際てっきり巨大シミュレータの中で戦うのかと思っていたのだが、それだと誇示する内容としては弱い(やってる事に対してゲーム的なチートを疑われる)為、現実世界でやるのだとか。戦場演習予定地は様々な能力に対応出来るよう様々な環境が整えられて居るが、全部言ってたら切りが無いので、その場所に行った時に適宜説明する事にする。そして現地では遊撃隊の一人として行動する事に成る。まあ入ってから日が浅いのに軍隊規模の連携に入ろうとしても邪魔に成るだろうし、妥当な所だろう。
ヒーラーが他の誰かを蘇生させるのは一人につき三回迄で、それ以上は戦争演習が終わるまでは禁止なので、ヒーラーが二人以上居たら合計蘇生回数が上がる…と言うわけでは無く、蘇生される側がカウントする形だ。…このルールだけだと穴が有り、例えば何処までやっても死なないタイプの奴については制限されていないので、不死の奴を行動不能にさせる手段も無いと不死の奴と張り合うのはかなり厳しそうだ。
蘇生を後回しとか大丈夫なの?とは思い、聞いてみると、四度死ぬと戦場から演習のサポート組織に寄って強制離脱させられ、蘇生させられるとか。つまり、演習に参加しているヒーラーが蘇生するのは回数超えたら禁止なだけで、蘇生自体はしておくらしい。尚、蘇生失敗的な流れに成ったら、天界的な場所に一緒に攻め込み奪還を狙う的な話に成っている。まあ、創造主の分体になら比較的簡単に話は通せ無くは無いので、そこと交渉し、それで駄目だったらの話では有るのだが。
さて…配置についた。本陣とはかなり離れた場所な様だが、大丈夫なのだろうか?リピートがどうとか言っていたが…?
すると腕時計が演習開始の時刻を告げた。
さあ始め…すると辺りは一気に暑くなり、本陣の周りに超巨大な竜巻が発生した。
おいおい。空間を無視出来るタイプの奴以外を近付けさせる気が無いと言うわけか。遥か上を見ると竜巻の中心の穴から上に向けて弾幕が張られている。
…敵が来てないのにあんなの展開してエネルギー持つのか?と思ったが、…だからこそのリピート能力かと納得した。恐らく指定した空間内で起きた現象を延々とローコストで繰り返す能力だろう。それに寄って弾幕と竜巻を半永続化しているのだ。そしてエネルギーが戦場を充満し始めた。シミュレータの時のサポートしてくれたあの能力な様だ。…これで転移系とエネルギー系も潰した事に成るのか。いや兵士を本陣以外結構ばらけさせて配置させてた理由はこれか。…本陣はサポートに徹するので、外側の奴等が攻めてくれと言う事な様だ。…さて、出陣だ。頑張るとしますか。
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