第14話
帰還したのは良いが、流石に今回の件に関わった奴等は今日は休み扱いに成った。…実際天罰神の力は類似品を創作で三例程見覚えが有るが、 あくまで天罰の形を取るならば、それらよりある程度の縛りが有ると言えるはずだ。だが、但でさえ高速戦闘には向かない力へ更に制限を加えて別物として扱うとか、其所までして使いたいか?と言う感じでは有る訳だが。
と言うか、上が慌ただしいみたいだが、命令違反者を命令違反の奴等を入れておく独房に入るか、天罰神から死なない程度の罰を受けるか、と言うのを選ばせて、天罰神の罰を受けると選択したら天罰神に交渉してやって貰う様にしようか?と言う提案を上がしているのを見て皆が止めていた。…そりゃ洒落に成らない罰喰らう可能性有るのは皆嫌だよなぁ…。
まあ、罰としては絶対その罰を受けたくないと思うくらいの罰を規定上の罰に設定していた方が規律は護られやすいのだが、…流石に恐怖政治染みた事に成ってしまうわな。
慌ただしく動く人達を見て時間を潰しているとボーグ少佐に暇な様なら軍用獣でも見てみるか?と言われた。…龍やドラゴンを従えての龍騎士とかはファンタジーではコテコテのテンプレートでは有るが、実際それらを従えるのが可能ならアドバンテージはかなりな物に成る。行くと答えると、【魅了】や【催眠術】等で強制的に継続的に従えるのは敵に解かれるとか何かのきっかけでそれらが解けた時にその個体に敵に回られるだろうから強い個体をそう言う手段で従えるのは爆弾抱えるのと似たような物だし、そうしないのが無難だからね。…と、ボーグ少佐に釘を刺された。…言われてみれば洗脳や催眠術を解く手段を持つ奴を敵に回した場合、戦力が一気に寝返られる可能性が有るって事で、つまりそれらは短期的な使用ならともかく、リスクを考えると長期的な運用には向いていないと言う事なのだ。
…まあ解くのが不可能な絶対的な力として運用出来るならそんな心配は無いのかも知れないが、思考を強制的にねじ曲げる力を使われてそれがそのまま通ったならば、思考に干渉を受けている訳だから対象の思考力が正常にスペックを発揮仕切るかどうかは実際怪しいだろう。…と言うか思考能力を正常に発揮出来るならそもそも【魅了】とか【催眠術】とかを受けていると自分で気付ける筈なので、それらを解く様に行動出来るかもだし、軍師とかをそれらで寝返らそうとして成功しても、思考能力のスペックがある程度落ちざる得ないと思われる。…思考能力に制限を受けた軍師に需要が有るか無いかはともかく、長々と言ったが要は【魅了】や【催眠術】は喰らうと思考能力の低下が起きる可能性が高い為、地力がずば抜けて強い奴でも無ければそれらを使って仲間に加えても数合わせくらいにしか戦力として期待出来ないのだ。 …割に合わないとしか言いようが無いな。これは。
さて、それで案内して貰う事にして建物内を移動し、地下へと降りていく。…壁が合金らしき物をふんだんに使い出来てるらしい。…まあ軍用獣に逃げられたらアレだから施設を堅固に創っている為だろう。だが金が掛かりすぎな気がするが…?
暫く歩き、地下の受け付けらしき場所に着いた。
妖艶な人が受け付けをやっているが見た目に騙されては成らない。軍用獣の脱走の可能性を考えると場所的には此処はかなり危険な場所なはずで、なのに此処にそれなりに常在するって事はそうなっても問題無いだけの実力が有ると言う事なのだ。
その人の首から下げている名札を見る。…グルウェイグさん?
…首元の名札を見た事で彼女の胸元に目線をやったので彼女からからかいを含む視線を向けられた。…むう。
「そう言う事に興味でも有るならいかせてあげても良いのよ?」
「…何の事ですかね?」
「解ってるくせにー」
「冗談は止めて下さい」
「いや持ってる能力柄そう言う事をし無くても獲られる物が有るから実際に行為をやる訳じゃ無いわよ?」
「ヘイズさん。新人をからかうのは止めて下さい」
「ボーグ。…貴方も良いのよ?」
「だから、止めて下さい」
「連れないわね…さて、真面目な話、此処からは私が案内するわ。結構色々な種類が有るけど、どんな軍用獣が見たい?」
「…どんな。ですか。…うーん。フェニックス辺りでも居ますかね?」
「一応居るけど扱いに困る類いの奴よそいつは。何せ不死性と言うより不滅性が身に纏う炎にまで伝搬してるから扱う炎が燃え移ったら基本的な手段では消すのは無理なんだから」
「消えない炎って奴ですか創作でたまに似たのを見ますが、あれってどうやって燃えてるんですかね?不滅性が有るのに燃えるのに必要な空気が尽きたら消えるなんてことは無いですよね?」
「当然エネルギーを基準にエネルギーを消費して燃えているのよ。但、不滅性の種はそのエネルギーの方に有るの。基本的に幾らでも使い回し出来るエネルギー構造を成立させているわけね。…だからそのエネルギーの構造を破壊してしまえば消せる炎では一応有るのよ。だからフェニックス自身が自身の炎で継続的に死ぬって事は無いわね。一応種族的に炎で灰に成った後にその灰から産まれ直す訳だから炎が効かない訳では無いけど、フェニックスに炎を使うのはリスポーン、つまり体力全快にさせるのと似たような物だからフェニックス相手に炎は厳禁ね」
「要は対炎特化性能って事で良いのですかね?」
「だったら炎以外なら普通に効くんじゃないか?って言いたい顔してるわね?一応熱と光も吸収するわ。…熱は炎の一環で、光についてはそうじゃないと例えば自身の発する光が明るすぎて視野が潰れるのだしね」
「ふむ」
「さて、とりあえず説明はこれくらいにしてフェニックスを見に行きましょうか。案内するわ」
「お願いします」
そして暫く移動用の設備を使いつつ移動し、フェニックスが居る所に移動した。
どうやら空間が【空間】系因子でねじ曲げられて居る様で、フェニックスが居る部屋はかなり広かった。意思疎通の可能な意思を持つ奴なら、何時もは檻に入れていなくても良いと言う事なのか、檻と言うか単なる部屋の中に居たようだ。…そりゃ意思疎通可能ならそれなりの待遇位はして置いた方が無難だろうので、其所は別に驚く所では無いのだけれど。
何十匹か居るフェニックスの内の一体が言葉を発した。
「何用だ?餌をやりに来た訳じゃ無さそうだし、見慣れぬ者も居るから任務でも無いだろうし」
「シャーロウ。今回は施設の見学の引率と、ついでに貴方方を見て回っているのよ」
「さようか。…だが我々は見世物では無いのだ。ある程度の把握が出来たら立ち去ると良い」
「そうね。そうした方がよさそうね。ごめんなさい」
「謝る程では無い。何時も餌を貰っている訳だしな。多少くらいは我慢しよう」
「そうしてくれると助かるわ」
そして暫く見学したあとに其所を後にした。まあ見世物では無いと言ったのだからやれる事を見せてくれる展開には成らなかったけれども。
そして其所をある程度離れて次には何を見るかを問われる。
うーん。あ。そう言えば。
「確か元素系因子のガンメタの存在が居るって聞いたのですが、此処には居るでしょうか?」
「…ああ、レメンタラーの事ね。…居ることは居るけど、戦闘に成らない様に気を付けなさいよ?一定以上の防御力が無いと飽和攻撃されて詰むから」
「飽和攻撃、ですか。どの様な?」
「手段自体は至ってシンプル眷属生成か、又は召喚。それを超高速で行い、圧倒的な手数を獲得するスタイルね。但、スピードの代償かどうかは知らないけど、通常種は一発一発は其所までの威力は無いから一定以上の耐久力さえ有れば粘り勝ちが可能では有るわね」
「“通常種”は?ですか?つまり王系なり上位種なりが居ると言う事で良いんですかね?」
「ええ、そうね。其方は一発一発の威力も十分な威力を獲得してるから増殖する前に速攻で倒さないとかなり厳しいわね。まあ、攻撃が元素系に限定されてるから元素系全般に高い耐性を持っていれば勝てなくは無いけれど」
「おっかないですね…」
「じゃあ見に行くわよ」
「解りました。しかし、そんなに危険なら檻とかに入れてなくて良いんですかね?」
「じゃあ聞くけど、自分を檻に閉じ込める奴に普通協力したい?」
「…成る程。ある程度の待遇は必要経費ですか。でも、例えば敵に遠隔で操られた時とか不味い気もしますけど」
「周りの壁とかに使われている素材には例えば断魔鉱石等も使われていて、基本的に遠隔からの能力は此処には届かない様には成っているわね。何でも有りで百パー安全だとは言えないけど」
「実際それは何でも有りの何でもの程度に寄りますよね。例えばエネルギーの集合体的な奴しか干渉してくる奴が居ないのならエネルギー伝達封じの仕組みを組めば良いだけかもしれませんが、対処すべき物が一種類だけなら苦労し無いで済むんでしょうけれど、まあ、普通に考えて、無理ですよね。だから実際こう言うのも多様性が膨大に成ればなる程面倒に成っていく部類の話なんですよね?」
「それはそうだけど、種類が少なく単純過ぎてもそれはそれで問題よ?簡単に全部の対策をし易いって事なんだから、対策されてるのは前提として戦術を考える必要が出て来る訳だし、初見殺しなんてそう簡単には出来ないんだから」
「…対策されてるのが基本的に前提扱いですか。実際、フェニックスなんて火の鳥として易々とメタられそうですし、そう言うのは既にやらされてる奴は結構居そうですけどね。まあ進んでそれをやりたいとは思いませんけど」
「原典を基準としたフェニックスを一から創造する場合ってフェニックスの再生する際の炎を特別な物にし無いなら、結構面倒な制限有るのよね。一、火の鳥として炎を自在に操れる性能を与える。二、それらに対して耐性を与える。此処までは良いんだけど、三、死んだ際は燃え上がり灰の中から新生する。これが問題で、炎を扱うのに炎で燃えて灰に成る程度のスペックで無ければ成らないって制限が付く訳ね。これで耐性をマシマシにしちゃうと新生する際に必要な炎に要求されるレベルが上がっちゃうんだけど、そうなるって要は死ぬ様な事態の時にそれだけの炎を起こせる余力が必要に成ってしまう訳ね。でも灰に成るのが特殊な炎だからそうなるとしてしまうと、通常の炎で無理矢理ゴリ押しされた場合特殊な炎で燃えてない訳だから新生対象外なんて事態にも成り得る。まあそれはさじ加減次第だけど、特殊な炎を自分が燃えて新生するのに必要とするなら通常の炎を喰らう事がプラスでしかない状態とは言えなく成ってしまう訳ね」
「…身も蓋もない事を言ってしまえば原典に拘らなければ良いんじゃ無いでしょうか?」
「…フェニックスの場合はそうも行かないのよね。なにせ自分の死体を燃やして灰を創りそれを再構築して自分を新生させるってシステムを否定したらフェニックスって名前で有る必要性が無いのよ。なんちゃって的なネーミングなんて求めては居ないのだから」
「原典を元に創るなら内容を崩し過ぎたら名前を借りただけの別物じゃ無いかって事ですかね?でも例えばドラゴンとか財宝を護る守護者的な話が原典の一つな筈なんですが普通にモンスターとして色々な形で創作とかに使われていますし」
「つまりは原典を元に創るなら原典の内容の新解釈を出すなら良いにしても魔改造して別物にするならわざわざその名前で有る必要性が無いのよね。格好いいからその名前を引用した。的なレベルの話に成ってしまうし」
「ああ、要はその名前で有る必要性有るのか?的な話ですか。確かにオリジナルの内容を創るならオリジナルの名前の方が色々と都合が良い筈ですしね」
「まあ原典の威光を借りるためだとか、威嚇的な意味でおどろおどろしい名前を付けるってのも悪くは無いけどね」
「でも実際原典通りに創ると弱いってのはわざわざ創る意味有りますかね?原典的にも十分強い奴を選んで創れば良いじゃ無いですか」
「…それはそうなんだけど、創る個体を強くし過ぎても色々と御しきれ無くなるのよね…例えばぼくのかんがえたさいきょうのもんすたーとかを創ったのに敵の能力なり何なりで裏切られた際にそいつがずば抜けて強い状態だと簡単には対処出来ないし」
「裏切られない様にすれば…は強制的や脅迫的な手法に成ってしまうから無しとしたら、結構厳しい問題ですね…」
「要は敵に回った際の対処想定が出来てない個体を運用するのは色々と問題で、だから敵に回られようが倒せる個体を基本的には使役している訳ね。…話過ぎたし、そろそろ行くわよ」
「ああ、でした。行きましょう」
そして幾つかの軍用獣を外に逃がさない為のギミックを超えて更に移動し、レメンタラーの居る部屋に移動した。
…そして見たのはかなりデカい涙の雫の形を創る様に並んだ小さなエレメンタルの大群だった。…ってかレメンタラーは何処だ?エレメンタルの大群の内側に居るのか?大群を事前に超高速召喚してないなんて都合が良い展開は戦争ではそうは無いか。…いや、小型エレメンタルが現在進行形で増えてるな、おい。確かにあれら全てが別々に攻撃が可能ならかなりの手数が確かに可能に成るだろうな。…怖い怖い。とりあえず今召喚してるのは…。あ、やば、外敵と勘違いされてるパターンかこれ。
…グルウェイグさんより先に部屋に入るのでは無かったなこれ。とりあえず。ヘルプ。
エレメンタルの集団は此方に様々な属性の攻撃を飛ばしてきた。
つまりは三次元的な弾幕を張られた訳だが、
「あー。おいたしちゃったのね。先ずは生き残らせて貰うわ」
すると空間が輝き大半の攻撃が途中で消えた。
…射程距離短い攻撃ばかりだったのか?いや、まさか、此方に届かせるつもりの攻撃だった筈だ。そして残った攻撃は光系な様だが、暫くするとどこぞへと曲がっていった。
なんだこれ。
するとグルウェイグさんが誤解を解いてくれた。
「駄目じゃ無い状況を確認せずに攻撃を仕掛けちゃ」
レメンタラーらしき者がエレメンタルの間から顕れた。巨大な火の玉らしき見た目だ。
「先手必勝と言う言葉も有るし、こんな所に来る奴なんてそうそう居ないのに見覚えの無い奴が来たから侵入者か外敵かと思ってな」
「あーもう。事前に話を通さなかった此方が悪かったわよ」
「事前に話さないにしても何時も来る奴を先頭にしてくれたら様子見くらいはするが」
「気を付ける事にさせるわ」
「実際此方の上位種が存在する以上、見世物としては其方に行った方が良いからな。まあ、スピードでは負けるつもりは無いが。たが、見学だとしても、何故此方に来たんだ?上位種の方を見せた方が良いだろうに」
「其方を見せる程の段階では無いからよ」
「…逆に言えば此方を易く見ている様に取れるのだが?」
「…ごめんなさい」
「…まあスピード以外大抵のスペックで上位互換の個体が居るなら比較されて易く見られるのも仕方なくは有るのだが、此方は雑魚と言われる程には弱くない筈なんだがな」
「それはそうね。無条件で誰でも倒せるような強さでは無いのは確かよ」
「…ゲームで例えるなら序盤で出て来る初期値で倒せるような最弱モンスターレベルでは無いってだけな意味合いに成るが、それが褒め言葉に成るのか?」
「あーもう、面倒臭いわねぇっ。貴方はそれなりに強い。上位互換種族が居るってだけで全体から見たら弱い訳では無い。これで良い?」
「…なんかすまん。実際物量こそ正義なんて言うにしても、密集して配置なんかしたら範囲攻撃に普通に一斉にやられるだけだし、かと言って今回のは手数が売りなのにバラバラにばらけさせて配置したら手数が予定量に届かず各個撃破されかねん。なにか一個に特化するにしたってそれを無効にする能力をぶつけられたらそれまでだ。…実際、何でも有り環境では無いならば雑魚魔法でも最強足りうる。要はその魔法以下の魔法しか存在し無ければ良いだけなのだからな」
「それじゃ身も蓋もないじゃ無い。無能力者が楽勝に勝てる能力でも能力としては最強扱い出来ます的な話でしょう?」
「例えば一定の戦力を得る能力だって得る内容の上位互換創られたら最強から落ちる訳だが、最大値が決まっていてその値に辿り着いたなら物量召喚としては例え数が少なくとも問題無く最上だろうよ」
「…そう言えば氷系の絶対零度は全ての物質が停まるからそれ以上の温度へは下げれないって話が有るわね。逆に炎には上限は無いから炎の方が強いとか言われてるけど」
「それは創作でたまに言われている事だが、要はその条件下で動ける能力を持っていれば良いだけの話では無いだろうか?そしたらその温度より下に下げれる筈だ。一応此方もやれるけれども」
「…勘弁してよね…」
「要は物量こそ正義だとしてもその物量にカウントする個々にも一定以上の質が無いとあっさり攻略されて数としてカウントが実質出来ないと言う話だ。まあ倒す相手が単体攻撃しか出来ないなら話は別だがな」
そこで口を挟む事にする。
「多分【絶対行動】辺りが絶対零度以上の冷気下でも動けるんじゃないですかね?」
「此方の場合それとは違うぞ。氷系の能力者が絶対零度だから動けないとか成ったら氷系は比較的早くに成長限界が有る事に成ってしまうしな。まあ炎や熱を使われた上で温度が上がっている状態から下げるなら通常より限界は基本的には遠い所に有る事に成るし、絶対零度を超えられなくても温度を下げる系の能力を鍛錬するなら炎系因子の現象へと向けて使うのが鍛錬としては一番都合が良いはずだ」
「成る程。自分で両方用意出来るからその方法をやれた訳ですか」
「まあそうなるな。対極の力は相殺する様に使えば周りに影響を然程与えずに運用出来るから周りを然程気にする必要も無いし、対極の力を使われた状態でも能力を通す為の訓練にも成る。まあだからこれは一石二鳥な鍛錬方法な訳だな」
「成る程」
「さて、一先ずはこれくらいで良いはずだ。お帰り願おうか」
「そうね。流石に次に行きましょうか」
「最後に、此方の上位互換が居る以上余り重要な激戦区に行く機会は無いが、軍に駆り出される時にはきちんと働くからな。餌を貰ってる立場では有るのだし。」
「そうして貰うと助かるわ。では、失礼するわね。」
そして三人でその部屋を出た。
そう言えば…。
「あの、軍用獣って運用する際はどうやるんですか?入り口から考えるにあの出口から出られるサイズじゃ無かったですが」
「ああ、いわゆるゲートを創る能力とか召喚系で戦地には降臨させてるわね。だから、此処は召喚対象を軍属の召喚士が安定して一定数手に入れる為の場所でも有るのよ」
「確かに契約はし易そうですね。創作で良く有るランダム召喚でガチャとかするまでも無く、会いに来れて交渉出来る訳ですし」
「まあ当然契約には試練付きなんだけどね」
「ですよねー。流石に其所まで甘くは無いですよね。…ん?ゲート系とか召喚系とかが此処に届くなら他の魔法だって届く気がするんですが」
「それについてはそれらをするには特殊な条件が有るから普通には出来ないけど流石にその条件については口外出来ないわね」
「まあですよね。それを言うのは言わば意図的なセキュリティホールを口外する様な物ですし」
「…それが解ってるなら何故聞いたのかしら?」
「いや魔法通さない様にしてるとか言ってたのに魔法が届いてる的な内容だったので」
「…それならまあ此方の説明の仕方が悪かったのは確かに有るわ…まあそれはさておき、時間的に次が最後に成るわ。何にする?」
「なら天候系のでなんか面白いの有りますかね?」
「なら蛇神のヴリトラ辺りが良いかしら。名前の意味は『障害』『遮蔽物』『囲うもの』を意味して、故に天地を覆い隠す者と言われていて、天候としては旱魃かんばつを起こせるのよ。で他には結界生成、何等かの伝達封じ、水を奪う。仮にもし倒されたら貯め込んだ水が解放されてダイダルウェーブ発生って感じで基本的にはサポートタイプの神ね」
「面白い神も居ますね。ただ、倒されたら貯め込んだ水でダイダルウェーブが発生するってのは性質上拠点防衛では邪魔になる気がしますが」
「まあそれはそうね。でも遠距離攻撃は性能上そうそう当たらなさそうだし、近接の敵を潰す事を考えたらこれでも良いんじゃ無いかしら」
「ふむ、ですが、名前の意味多すぎな気もしますけど」
「一応、名前やその意味については原典からそのまま持ってきた奴らしいわよ。これで盛りすぎならウロボロスとかどうなんのよってレベルなのよね」
「原典そんなに盛られてるんですか?」
「ええ、能力側が盛りまくられてるのよね。今言い並べるのもアレだから言わないけど」
「なら質問なんですが、マンガとかで水面を力技で走るって表現がたまに有りますけどアレって実際どんなレベルのステータスが必要なんですかね?」
「何にも頼らないパターンで動物に実際にそれをやれる種類の奴が居るからそのバシリスクを基準に答えると、秒速1.5メートルで一秒間に二十歩走る程度のステータスが必要に成るわね。まあ此方がやる場合サイズが違う訳だから計測するとある程度違う数値が出るでしょうけど」
「…無茶苦茶過ぎませんかね?」
「バシリスクの走り方は簡単に言えば足が沈まぬ内に次の足を前に運ぶと言う方法に成って、理屈の説明は面倒だから要点だけ言えば、水面を叩く大きな力を高速で繰り返し産み出す事が出来れば走れるはず。…まあ、バシリスクのサイズが小さい事から秒速1.5メートルってのは余り参考に成らないから、一秒間に二十歩走れるステータスが有れば実現可能だと思えば良いわ」
「無茶苦茶ですよ…」
「まあアメンボなんかの小型の昆虫なら水を弾く物質の足を使って水面張力を使い水面に立つのが出来るけど、一定以上重い奴には無理な方法よ。…と言うか水面に立つ方法で水面を固めると言う方法を取る場合、よっぽど大きく足場を創って浮力を得るとか、水底から、水面近くまで繋がってる足場を用意するか…ダイラタンシー現象を利用するかぐらいしか無いんじゃないかしら。ああ水面近くに浮かぶ足場を創るとか岸側から蓋造るとかは水面走ってないから除外ね。」
「ダイラタンシー現象?」
「説明は面倒だからし無いわよ。興味有るなら自分で調べなさい」
「解りました。調べて見ます」
後で調べたら、先のバシリスクの方法をやる際の条件緩和の為の方法論だった。つまりは粉をかなりの比率で大量に混ぜて一時的な足場へとしていて水面を走りやすくしている様だ。
さて、地上に戻ろう。帰りつつ疑問が浮かぶ。
そう言えば創造主って名前なんて言うのだろう。基本的に名前で呼ばれてない気がする。
「そう言えば創造主ってなんて名前なんですかね?」
「フルネームでは無く、名前だけを言えばルド。ルドはルドラとかの神の語根に使われてる言葉で、ルドラは実質三大主神の一柱のシヴァの前身と同意義の名前と言えるわね。だから名前の格としては十分高い物が有るわ。…但し、意味は…ルドラを調べたら語根として出たのだけど、『泣く』、と、『吠える』。まあ、ルドラと同じ語根と言えるし、あの当時の状況を明確に示してる名前に成るから名前の格的にも一概に悪いとも言えない名前ね。ちなみに当時の創造主はこの事を知らずにルドと名乗っていたわね。知った後に複雑な表情してたけど、納得はしていたわ」
「語根が一緒とか狙ってやったに決まってると思いますが」
「ゲームとかで出てたで有ろう神名はともかく、語根と成ると普通は何か切っ掛け無いと調べないわよ…。」
「そんなもんですかね…」…あ、アブね、まだヴリトラ見てないじゃん。帰ろうと発言し無くてセーフだったな。…でもパクりでは無いけど語根被りとか神名がルドって自分で決めてて変えられるなら変えた方が良いのに変えなかったとか自分で決めた奴じゃ無いから変えるの無理なパターンなんだろうか?まあ流石に其所までは解らんか。
すると後ろにいきなり猫の仮面を被り尻尾の有る人が現れた。
「語根バラしは辞めて欲しいんだが」
…誰だ?
「…これはこれは創造主様…の分体様ですか。そんなことの為にわざわざ来たのですか」
「なにせ、その名前に成った一連の流れを説明しないと想定される理由が単に泣き、叫んだだけに成ってしまうし…だが余りそれについては語りたくないからな。実際当時の流れとメンタル面の移り変わりを事細かに説明なんて出来る限りやりたくないし」
「でも悪しき意味合いでは無いじゃ無いですか。」
「…自分をさらけ出すのがそんなに簡単な事か?演技とか必要性に駆られての事ならともかくさ」
「あんな実験しといて良く言いますね」
「…それはそうだが、嫌な物は嫌なんだ。…喋るつもりなら制限を与えることもやっても良いが」
「それは勘弁してください。あの一部の人達みたいな状態には成りたくないので」
「あれは此方が強制した事では無い。むしろあちら側が望んだ事に成るが」
「…含まれてる意味を拡大解釈するとそう言う意味に成りますしね」
「あくまでそうとも取れると言うだけでどう取るかは個人の勝手だろう。少なくとも全員相手にそんな意味は持たせていないと断言出来るが」
「それはホモやゲイじゃ無いなら当たり前では有りますけどね」
「それはそうだが、勘弁してくれ。余り世界に制限を加えたく無いんだ。世界の自由度が落ちていってしまうし」
「ガチガチな法に縛られた世界なんて窮屈ですしね。結果的に最初は警告に成る訳ですか」
「制限を与える場合も無くは無いから喋ると制限与えるのでそのつもりでいろな」
「はいはい解りましたよ」
「…罪には問答無用で罰を与えるスタイルやった方が威厳保てるかね?だが、それは恐怖政治だし…」
そう彼は呟いた後に消えた。
…威厳が無いのは自覚している様だ。
色々と気にはなるが口止めされているし聞かない方が無難か。
グルウェイグさんがしょうが無さそうな顔をして、
「ああ創造主の分体様が頼むのには理由が有って、言われたくないワードを聞こえないとか発言出来なくしたりだとかしたってそれを知らない他の奴が割り出す方法が存在するからなのよね。その方法まで同じく出来ない様にしていくと今度は逆に発言が結構制限されちゃって大体何故発言が不可能なのかを考えていけばそれである程度解っちゃう訳よ」
「…執念深い人も居ますねぇ…」
「それはともかく最後のヴリトラの所に行くわよ。遠距離攻撃至上主義に対するメタ的な存在だしあのシミュレータ的な戦争を行うなら重要度は高い存在だけど、故にお世話に成る機会は多いから顔見せくらいはしておかなきゃ力の対象に入れられちゃって軽く死ねるからね。」
「言わば妨害特化のサポートタイプですよね?戦闘力高い様には思えませんが?」
「一部の存在以外根本的に動けなくなる領域を展開出来るとしても?」
「お、おう。先の説明からは想像付きませんけど」
「生物は電気信号で情報をやり取りしてそれを元に動く。それは良いわね?」
「ええ、…まさか、それを妨害出来ると?」
「ありとあらゆる物の妨害と成るとそういう事に成るのよね。但しそれには限界も有って、単細胞生物相手には通用し無い。そう言うのは基本的に一細胞内で完結してるせいで妨害を入れるスペースが無いって訳ね」
「ふむ。なら有名処にスライムが居ますが、水を奪う性質上基本的なスライム相手なら普通に大丈夫っぽいですね」
「要は間に障害を挟み込む形だとその間がそもそも存在し無いなら障害を入れようが無いと言う話なのよね。それに進むや進行すると言う行為その物を封じる形も取れるから、どのような力が有ろうがそもそも到達不可能的な感じでも有るわね。要は対象を動かす力を動かす対象に伝わらなくさせた訳よ」
「本当酷いですね…。でも、例えば血流止めるのは出来ないんですか?」
「一応出来るとは思うけど…レジストが不可能って訳じゃ無いだろうしね」
「しかし名前として泣く叫ぶを運用するのってちょっと…」
「あんたね…聞いてたらどうすんのよ。誤解の無い様に名前の内の一つのフルネームを言った方が良いわね。ルド=バニシングス。つまりは…泣くや、吠える様な事が消えていく。それらを消していく。的な意味の名前ね。」
「そう最初から言えば早かったのでは?」
「まあそれはそうなのだけど、一応神名として貰ったのはルドのみ、みたいなのよね。それに繋げてそう名乗る事にしたみたい」
「へぇ。しかし己の名前の由来を消す事を己の名前に籠めるとは…」
「まあ、実際創造主としてはマシな部類の思想の持ち主では有るわ。何せ自分の欲望の赴くままそれを満たす物を創りまくるなんて事をしてないのだし」
「言われてみればやってないですね。出来ないだけかも知れませんが」
「それを言ったら切りが無いわよ…あ、やば」
其所に紙が落ちてきた。
それにはこう書いてある。
今回は擁護発言なので見逃すけど気を付けるように。
「あぶな…。」
「…なるほど。問答無用でで罰を与えるスタイルじゃ無いなら内容で判断もするか」
「…あんたねぇ…ちょっと仕返しさせて貰うわよ?」
「あはは…」
…仕返し内容についてはカットさせて貰います。はい。
「さてこれくらいやれば十分かしら」
グルウェイグさんはつやつやした顔でそんなことを言う。
此方は精神的にダメージを喰らいまくったが内容は黙秘する。
「あはは。…じゃあ行きましょうか。そう言えばヴリトラって蛇神何ですよね?見た目どんな感じですか?」
「姿の内の一つを言えば要はクリスタルで出来た巨大な蛇のコブラ種ね。クリスタル的な見た目については情報阻害のせいで色が見えずらいのを何とか見ようとするとそうなるって感じ」
「…妨害特盛りなのに、外見がクリスタル的な見た目に成るとか酷すぎません?見えずらいにも程が有るかと…」
「正確にはそう見えるってだけでクリスタル体では無いけどね」
「ふむ。では素の身体能力はどんな感じで?」
「流石にそれを使う状況に余り成らないから良く知らないけど、蛇の出来る事は大抵出来る的な感じじゃ無い?デカい体で絞め殺すとか毒を飛ばすとか毒牙とか。…でも飲み込んで胃液で消化なんてのは見たこと無いわね。例えば巨大化出来る奴を飲み込んじゃって体内で巨大化されて窒息死した蛇の話なんてのも有るからやりたくないんでしょうけど」
「…デカい奴の体内で巨大化して気道を塞いで強制的に窒息させるとか考えた奴えげつなさ過ぎませんかね?」
「そのせいで頭が一つで気道が一つの蛇の場合は意図的に丸呑みされに行けば結構簡単に倒せる事例が存在するのよね。まあその蛇が呼吸を必要とするならだけども」
「流石に体内をある程度以上動かせたら対処出来る気もしますけど」
「体内が一定以上広い奴じゃ無いと、そもそも体内に迎撃用の機能を備えてても自分の体を傷付ける原因に成る方が多い気がするわね。かと言って体内が広すぎるとそれはそれで【転移】とかで普通に侵入出来そうだし」
「うがー。本当酷いな…」
「まあ要は空気の道をある程度の数用意出来れば良いから、毒の噴出口を幾つか体に用意してその穴を使って呼吸器官も其所に合わせて用意すれば良いだけなのよね。まあ例えば原典的なウロボロスなんかは設定上口が常にある程度塞がってるからブレスとかを吐くための器官として用意してても自然だけど、他には皮膚呼吸の扱う空気量を上げて対処すると言う手もある。その場合は口を塞ぐだけでは窒息死はし無くなるって訳ね」
「皮膚呼吸?そんなのが有るんですか?」
「そうね。一応人間にも有るのよ。まあ首絞められても問題無いレベルでは無いし、無い訳では無い程度のレベルでだけど」
「ふむ。身体能力強化とか使ってそれを強化すれば、首を絞められても問題無く行動出来そうですね」
「それはそうだけど、身体能力強化能力使ってて首を絞められる展開に成るのは割と詰んで無いかしら?」
「…確かに。脅されるなり純粋に相手の方が身体能力高かったりしたら成りそうですけど、後者なら首絞めに拘る必要性そんなに無さそうな気がしますね…」
「さて長く話したけど、そろそろ会いに行くわよ」
「解りました。さて、どんなのが来るか……」
そして更に少し移動してグルウェイグさんが扉を少しだけ開けて直ぐさま中に入り軽く閉じた。…何でまた?
疑問のまま部屋に入ろうとその扉を開ける。
…其所には何も無いと言う事があった。
何もかもが脱色され透明に成り、果てしなく広い空間だけが残っていたのだ。てかグルウェイグさんが何処に行った?見付からねぇ…。その部屋に入ろうと足を前に進める…。部屋に入った部分が見た目上消え失せて居たし、足に有るはずの感覚も消え失せて居た。
…其所にグルウェイグさんが虚空からいきなり現れた。どうやら消えてる状態でも空間内をヴリトラは知覚可能らしくそれを使い事情を説明して対象から外して貰ったのだろうか?
その仮説は正しかったらしく足を見ると元通りに現れていた。…足を持って行かれた訳じゃ無かった様で一安心って所か。
そして透明で巨大なコブラらしき蛇が顕れた。
「お主が今回の新入りの内の一人か…よし。覚えた。戦地では能力の対象外にしてやろう」
「ありがとうございます…ってか今のは認識阻害ですかね?」
「そうだな。だが、何時もはこの部屋では自分以外にはそんなには展開はし無い。まあ部屋に居ると解られてて部屋全体を攻撃出来る様な奴には余り認識阻害だけでは意味が無いしな。だが、近場に気配が有ったし、こんな近場で全体攻撃とかやったら周りの崩壊に術者側が巻き込まれそうなので全体攻撃はし無いだろうと踏み、認識阻害をやった迄だ。やらなくてよかったみたいではあるが」
「グルウェイグさんは能力対象から外してたんですよね?」
「一応な。…まあ、能力で防壁を張っては居た様だが」
…そんなことも出来るのか。
「でも何故攻撃的な物を展開してなかったんです?」
「知ってる気配が一緒に居たし、其方が巻き込まれたらアレだったのでな。…それに火力全開にしようとすると敵味方で混じってる状態で味方を対象外にするのが火力を全力で展開する上で都合が悪いのでな。敵しか居ない状態なら妨害全部載せをするところだが今回はそうでは無かったので」
「敵が味方を人質に取って近付いてきたら妨害し無いと取れますが、大丈夫なんですかね?」
「あくまで味方も近場に居るのに火力を全開でやるのが問題だと言うだけで、出力をある程度落とせば問題無いので、心配は無用だ」
「ふむ」
「まあ他の奴をやる前に事情説明をされたので、認識阻害以外は追加でやらなかった。ってのが実際の今回の話に成るのだがな」
「なるほど…もしかして危機一髪だったって事ですかね?グルウェイグさんが普通に入ったので問題無いかと思ってましたが」
「ああ、割とそうだな」
「あっぶねぇなぁ…でも爆弾とかやられたらやばそうな気もしますけど」
「それについては空間拡張がかなりされてるので、一定以下の爆弾なら問題無い。…だが例えば施設丸ごと爆破出来る様なレベルの爆弾ならそもそも此方の近場で反応があると言うのは防御系効果のある能力無いと自爆特攻に等しいだろうので」
「ふむ。ちょっとやそっとの爆弾では意味が無いと?だけど数に物を言わせて絨毯爆撃されたらどうするんですか?」
「まあ初撃は不意討ちが有るかも知れないが、二発目以降なら普通に防げるはずなので、質より量なら問題は無い。まあそもそも設備自体が相当頑丈に造られてるので、施設丸ごと爆破的なのは相当厳しいかと思われますし、そもそも大量に爆弾的なのを持ち込むのを止められないのも問題だし、全体を破壊出来る様な能力の奴を重要施設に立ち入らせる訳も無い。それに戦地ではそもそも色々な妨害を張り巡らせるから居場所を掴ませる気は無いので問題は無い…と言うか、事情説明を受けたので使わなかっただけだと何度言ったら…」
「…あはは。ですね。でも暗殺的な初撃必殺されたらやばい様な?」
「この場所の場合は爆弾を大量に持ち込むのは無理が有るし、遠距離攻撃系を撃つにしても隠れる奴を気配察知を出来る出来ないは水掛け論にしか成らないから語る意味が無いし、あの認識阻害は該当エリアに入ったら細かい操作なんて無理だし、認識阻害は基本的に自分には常に使ってるので問題無いかと。具体的には光を阻害して反射させ物が有るように見せ掛けて…」
すると蛇神が数体に分身した。…様に見えた。
「この様に一種の鏡像を造る事が出来る。まああくまで光を好きに阻害し、結果として反射させただけなのだからこれに戦闘力は無いけど、攻撃に対してのチャフくらいには使えるかな。後、そもそも他者に空間内や此方の一切の情報を受け取らせない事がこの認識阻害の基本なので、直感とか要は周りから得るデータに依存し無い自己で完結した物については防げない場合も有る事に成るが…その場合能力を考慮し無いなら要はあてずっぽうに撃つくらいしかやりようは無いし、二撃目以降は普通に少し移動するだけで相手は位置探索からやり直しに成るので一撃でやられなければ問題は無い…と言うと一撃でやれる火力が有りますとか言う奴が出るだろうが、そんなの但の水掛け論なので取り合いませんよ。」
「あはは…罠とかはどうでしょう?」
「要はサポート系なのに敵地に単身潜入と言う構図がそもそも有り得ませんので、基本的には他の奴が安全確認したエリアにしか行きませんよ。其所から自陣全体をカバーすればいいので。…自分が遠距離攻撃系停めてるのが無くなるのは流石に痛手ですし、サポート系がわざわざ危険を犯す必要性無いですので」
「…そう言えばサポート系なんだった。普通に戦える物かと思ってましたが」
「一部の能力は単細胞生物系の奴には効果が発動し無いのですが、なら護衛役を単細胞生物系で固めればそれ系については全力で力を使っても問題無いので、構造上の意図的な穴なんだ」
「なるほど。護衛役を存在させるための意図的なデチューンですか。ではそいつらを洗脳とか、催眠とかで裏切られされたらどうするんです?」
「そいつらにも効く方の力を使う迄なので」
「ふむ。では…」
「ストップ。いい加減にしろや。水掛け論系は話すだけ無駄なんだし」
「…なんかすみません」
「これは言っておくと、空間内の奴の情報を認識出来ない様にするってことは追加で操作が出来ないって事だ。まあ要は見失ってる状態な訳だな。結果として直線的な軌道しか基本的には無理に成る…なら簡単には壊れない壁を造れりその後ろに行けば大抵は避けられる訳だ。まあ小さい壁なら普通は回り込まれるが壁が有るかも解らないだろうしな。一応弓なら重力使った曲射は出来るだろうが、狙いが付けられない筈だから問題無いな」
「壁が有るかも解らない上に基本的には見えないんですもんね。そりゃあそうでしょう」
計2731字
約一万六千字
計六万二千字
「解っているとは思うけど、この話は認識阻害を突き詰めただけでそれしか出来ない訳では無いので、勘違いしないように…まあそっちのがだいぶ喋った様だが」
「駄目だったかしら?」
「駄目では無いが…初見感が薄れるから喋りまくるのは控えて貰えれば有難いので」
「まあ確かにそれは有るわね」
「…調子に乗るようなら仕置きをやるのも別に悪くは無いが?」
「…それは簡便してくださいね…」
「…ふむ。解っているなら別に良い。此処で更に横柄な態度を取っていたら実際に仕置きをしていたのでな」
「あはは…」
「では、そっちのが喋ったのから追加で言おうか。いわゆる行動阻害に成るが、動かす力と動かす対象を分断させる。これだと要は自己ステータスアップとかのほぼ動かす必要性の無い力に関してはある程度ノーガードに成る。まあ動く事を妨害するのだから動く必要性の全く無い現象には関係ないと言う理屈に成るが、それの空間内の伝達が出来ない訳だから、徹頭徹尾動かず完結している物しか此方へは意味は無い事に成る」
「と、成ると守りに入ったタンク系とかには余り意味が無さそうですね」
「だな。だが、行動阻害が有る以上回復行動が無理なのでは無いだろうか?まあ阻害仕切れない範囲の行動だけで回復まで持って行けたら話は別かも知れないが、そんな穴が有るかも知れないと解った上でわざわざ放置する必要性は無いので、かなり無理が有ると思われる。…そもそも認識阻害と一緒に使えば自己認識も消え失せるだろうので問題は無い」
「ゲームでのお約束だと堅い奴はHP低いとかでバランス取ってますけど」
「…現実で利点も無いのに意図的に弱点造るとか普通し無いだろう。Aを強化するためにBを強化せずBを強化するのに使う筈だった物をAに使うとすればBは弱い(比較的な意味での弱点)としては現実的では有るがそれは素のスペックが高ければ弱点とは言えないし、行動スピードを得る為に小型化するとか軽装で戦うのも一つの手では有るが、此方はそもそも落とされたらやばい関係上、戦わないで済む様に基本的にはしているので、スピードはある程度有れば良いし、ラッキーパンチが当たった程度で落ちるのでは広域爆弾喰らうのもやばいし、耐久性もそれなりに高いぞ。此処で言うそれなりとは耐久検証実験なんてしてないから解らないと言うだけなので、取り敢えず言ってる表現に成るがな」
「ふむ」
「さて先ほど連絡が有った事だが、近々隣国の同盟国と戦争演習をやるらしいな。話したいならまたその時に来ると良い」
振り返るとボーグ少佐が伝え忘れてたと言う顔をしていた。
「初耳なのですが戦争演習と言うのは?」
「まあ早い話、敵国への軍事力の誇示と戦争って舞台に慣れる鍛錬を同時に行える旨い演習だ。今回の演習相手の国で一番気を付けといた方が良いのは合重鉱龍精霊辺りだろうか。元は鉱物を吸収し自由に操るタイプの精霊だったのが、様々な鉱物を食い集めて操る上でいいとこ取りの鉱物を生成するに至りそれを体として運用している存在…と言うのが外聞的なカタログスペックに成るが、前の戦争演習でのデータでは【鉱物生成】の能力を持つ奴がある程度近場に居させて鉱物生成をしてもらいそれを取り込んで怪我を治すとかをしていたらしい。因みに、鉱物には一億度に耐える物も存在するので、一億度以下の炎や熱は普通に耐えると思われる」
「様々な金属のいいとこ取りの金属の体を持つとか酷くないですかね?」
「因みに本来他には加工不能な鉱物も取り込んでる節が有るから、金に任せて似た又は同じ金属製の装備を揃えるのは無理ゲーらしい」
「…元は金属に宿っただけの精霊って話だったのが凄い進化ぶりですね…」
「例えば黄金は薄く延ばす事に長けている。それを体として自由に操れるのだから、まあ早い話、例えば斬ろうと斬り込んだその先迄金の性質を使って斬ろうとした分だけ伸びて斬りきれないと言う現象を起こせる」
「…要は一定以下の通常の斬撃無効ですか。流石に伸びるにも限界有るでしょうし」
「だとしてもそもそも伸びてる金属は少量だろうし、その時は他の金属の性質でも使ってカバーするんじゃ無いか?流石に色々な金属の名前や性質迄は此方はカバーしていないので答えられないが」
「倒すつもりなら全部載せを倒す腹積もりで行けって事ですね」
「まあそうなる。けどあくまで演習なんだから倒す必要性は無いので間違えない様に」
「…ああ、でしたね」
「さて、最後に、新入りなんだからまだやってないだろう事について、戦争行くなら催眠術や魅了等の相手を操る力に対する耐性は付けといて損は無いので付けて置くように」
「…言われてみれば確かに。えと、戦争演習は何日後何でしょうか?」
「三日後だな」
「…駄目だ。つまり鍛錬期間は実質後二日間のみで、今からやっても焼け付き刃にしか成らねぇ…」
「何も催眠術や魅了をマスターしろって言ってる訳じゃ無い。それに対する耐性を付けろと言ってるんだ。それらを掛けて貰い解除して貰うのを繰り返せば一日二日でもそれなりの耐性は持てる筈だ」
「ふむ。でもなんでそれら限定なんですかね?」
「要はヒーラーが居れば後はカバー出来るだろうのでな。だが操られた本人がそれらの回復行動を邪魔しに入られたら面倒だし、それに操られて一気に敵地へ行く的な離脱行動に入られたら回復飛ばす前に結果として攫われてしまいかねない。だから催眠術と魅了へは耐性は付けておくべきと言うわけだな」
「…えげつな…」
「まあやるのはあくまで演習だからそう簡単には取り返しの付かない状態には成らないがな」
「なら良いんですけどね…」
「さて、じゃあ帰るとしましょうか。貴方は今から催眠術や魅了使える人に話通して置いた方が無難でしょうし」
「…ですね。後、流石に合重鉱龍精霊以外に注意すべき奴が居ない訳も無いでしょうから前の演習記録でも調べて目を通して置きたいですし」
「それが良いわね。確かそれは資料室に有ったはずだから其所に行くと良いわ」
「解りました」
「では、会う機会が有ればまた会おう」
「では、失礼しますね」
そして施設を後にし、色々と情報を調べたり鍛錬の為の話を通したりしてこの日は過ぎて行った。…そう言えば今日は自分は夜警は無しらしい。なので一通り調べたら早く寝る事にしたのだった 。
因みに調べて知ったが、バシリスクだったかの水面走りはバシリスクの体重が二百㌘を超えたら出来なくなるんだそうな。実際二百㌘とか体重がそれ以下でもそれなりのサイズの金属製の武器持ったら余裕で突破してしまうレベルだろう。とても軽い素材の武器を使えば良いのかも知れないが、要は体重が百㌘超えてたら武装に百㌘の重さすら許容出来ない事に成るはずだし、何だかなぁ…感が強い。まあ、これはバシリスクの水面走りと同等の事をやらないと水面走りが不可能だと仮定した場合の話で、バシリスクと人間とでは主にサイズ的な意味で事情が違ってくるだろうし、従う法則が違う場合はこの仮説に意味は無いのだが
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。