第10話

そして時間迄その場所で待機したあと授業を受け、シミュレーションをまた受けると言う話に成った所で疑問をぶつける事にした。


「昨日の話何ですが、重力と光系の因子ってどうやって手に入れるんですかね?」


「今日は答えるけど、普通に生きてればそれなりに関わる系の現象の因子は単純で得るための条件が他より少し難しく成ってるってだけだな。光系なんかは一定時間以上光のエネルギーを吸収し続ける事が必要。しかも一日中外に出てる人が手に入ると簡単過ぎてアレだからかなり長めの時間設定に成ってる。まあ白夜とかの一日中日光が当たる場所なんかでは結構普通に条件を満たせるらしいけど。」


「時間かなり掛かるとはあれですね…。となると重力は?」


「普通よりとても重力が強い土地で一定時間以上過ごす事だったかな」


「いやそれは無茶では?」


「ヒックズ機構だったかな?元来素粒子の重さは零で、それによって例外はあれども、基本的には重さがそれで決定されている。それを操れたら楽勝だよ。まあ、一部の奴はそんなの無くても取れるらしいけど」


「そんなのが有るんですか」


「なら試しに今回戦う相手を重力系の奴にしてみようか。アロイガライの分体辺りが良いだろう。」


「アロイガライ?」


「新参の部類だけど、重力の神に成る。説明するよか戦った方が速いからね。まあ行ってみようか」


「…解りました。」


そしてシミュレーション施設へと入りシミュレーションを開始する。


分体と言ってたから其所までの強さじゃ無いだろうけど…?


空間が変わり顕れたのは漆黒の狼だった。…いや、黒い何かを纏った結果漆黒に見えているのか。狼がそれを周りに撒き散らすと同時に体中が重くなり始めた。まあ重力を使って来るのは想定内、動きづらくは成ったが、【剛体化】を使いカウンターを狙う事にする。


が、漆黒の物を槍へと変えて飛ばして来たかと思えばそれは自分を貫きそこで止まり、それを起点に重力が発生し始めた。重力を発生させる物質?そんなの有ったか?ってかそれを引き抜こうとしても手が宙を掴むかのように成ってしまう。重力だけを此方に与えて、それ以外の干渉は何もし無いのか。槍にぶっさされてるのに重力以外での痛みも無いし。いや、そんな呑気な事を言ってる場合じゃ無い。重力が強くなり始めた。このままだとブラックホールに吸い込まれて潰れるみたいに成ってしまう。手に入れたばかりの【破壊】因子を使う。…当たった感覚自体は有る。干渉は出来ている。だが、エネルギーがそれに構わず運用され続けてしまう。…基本的に干渉を受け付けない効果でも有るのだろう。だが、これで効かないなら回避系にも効かないじゃ無いか。効いてくれ…。


そして少し効いたかと思えばそれを危険視されたのか重力を一気に強化され押し潰されてシミュレーションは終了した。


シミュレーションの中から出て一言。


「【破壊】因子詐欺じゃねえか弱いぞこれ…。」


「君はレベル一でレベル数十の奴が倒せるバランスが好みなのかい?」


「…ああ、つまり手に入れたばかりなんだからレベルが足りる訳あるかと」


「そう言う事だな。」


「…つまり因子の熟練度上げなきゃ対策有ろうが駄目って事ですね。頑張んないと…」


「後、単純に使いこなせてなくてスペックを発揮出来てなかったんだろうな。流石に破壊出来たはずだし」


「となると…やっぱり熟練度ですよね…そう言えば重力を発生させる物質ってなんか有りました?」


「確かダークマター辺りがそんな性質が有ったはずだよ。結果的にマターばかりだけども」


「また次は何かのマターですか?」


「いや、次はダークエネルギーと行きたい所だけど、それの効果の膨張速度の加速を単体で使うと単なる【加速】に成ってしまうし、戦う意味があんまり無いんだよね」


「ダークエネルギーとか中二ですかね?」


「なら科学について詳しく載ってる奴で調べてみると良い。ヒックズ機構とかダークマターとかダークエネルギーとかちゃんと言葉として存在してるから」


「そうですか…」


「だが、全部そのまま使ってる訳じゃ無いから違うのもある程度有るらしいがな」


「と言うか、炎の燃える際の反応式って全部引っくるめると百種類其処ら有るらしいね。例えば酸化剤を塗った火薬なら水中でも燃えるとか何とか…」


「…そう言うのは炎使いに言って下、…持ってたか…。まさかそれ勉強しろとは言いませんよね?」


「してたほうが使いこなすには都合良いがな」


「…うへ…」


「そんなに難しく考えずとも例えばこんなのをやれば良い」


そして彼は手を前に出して何かを指に纏わせ光らせた。


「輝炎指シャイニングフィンガー、なんちゃって。」


「…それは光系の技では?」


「炎は熱と光を発生させる。それは良いね?」


「はい。それで?」


「光を炎が発生させるメカニズムを把握していれば熱を然程発生させずに光を狙って発生させられる。光系の試練をやりたくない人の光源として御用達な方法の一つだ」


「へぇ。面白い方法も有りますね。」


「…で、炎の光は気体では無く固体が発生させているから、その固体を剣の形に整えれば…」


そして彼の手の上に一振りの光り輝く剣が顕れ、


「輝炎剣シャイニングソードなんて物も可能だ。まあつまり炎を使って打撃を可能とする技術も存在してるって事だな」


「反応式よりそう言うのをもっと教えて下さいよ」


「反応式の大体の種類数を提示するのは炎を極めた場合の幅広さの一例には成るだろ?」


「それはそうですが、炎と言うより光り輝くだけの剣に成ってる気がするんですが」


「それは普通に熱の方も発生させれば良いだけだな。まあエネルギーで燃やす物の代わりの物を供給すれば何とか成るだろう」


「ふむ」


「さて、今日は此処までにしよう」


「解りました」


よし、終わったか。寮に戻って少し休んだら【破壊】因子の使い方を掴むのを頑張ろうか。


そして寮に戻り、【破壊】因子を練習する。何でもかんでも破壊しようとしたら空間まで破壊されてミニブラックホールが起きた時は焦ったが直ぐに消えたので良かったけれど、全て破壊するのは問題だとすると指定がある程度必要に成る事に成る。恐らく先に上手く通用し無かったのはこの指定が上手く出来ていなかったからだろう。現象その物では無くそれを成立させているエネルギーを潰す事で結果として現象を潰す。恐らくそれが対回避系や対無敵系の基本なのだ。


これならあのドッペルゲンガーやアロイガライ相手にでも行けるだろうか?でもドッペルゲンガーについては【対消滅】はどの範囲まで消すのだろう?服も消してたよな。所有物含む存在に対する対消滅なら、現地調達した投擲物で以外では通常の攻撃を当てられない気がする…。だが何も辺りに物が無いシミュレーションの形ではそれは無理か。先に上げられてた攻撃を当てる為の条件は今は満たせないし…うーん。


あ。前に見た【通過】又は【サイコキネシス】が有れば投擲補助としては十分じゃね?…でも動かす物が無いんだった。


でもまあそれは舞台設定を変える様に頼めば良いだけか。とりあえず明日に【通過】を申請してそれが無理だったなら【サイコキネシス】を取りに行こう。…さて、そろそろ見張り番でもしに行くか。


そして夜警をこなし今日の所は寝るのだった。

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