第9話

翌日、寮で朝食を済まし準備を済ました後にトレーニングをやりに行く。


今日のメニューを貰ったが、今日は瞬発力を鍛える訓練が主に成るらしい。まあ、昨日の自分みたいに思考停止状態に成ると不味いしね。多分それ関連で話しが行っていたのかも知れない。なので、一先ずはそれをこなし、昨日に引き続き技法獲得の為の特訓を開始する。出力を徐々に上げてその出力を徐々に体に慣らしていくが、これは中々時間が掛かりそうだ。


そして時間切れになり、鍛錬を終了し、食堂で昼飯を済ます。


今日は因子獲得の予約がしてあるので、それについての情報を確かめに行き、前回と同じ施設へと行き、入る。


前回と変わらず恐らく【器】因子に入った因子結晶が輝く場所を通り、受付に他取り着く。


受付の人が前回と同じ人だったのも有り話し掛けてみる。


「二日ぶりですね。バーロックです。因子を獲得しに来ました」


「君か、とりあえず申請を受け付けはしたけどアレじゃ申請内容が足りないから追加で聞くぞ。一言で【必中】と言ってもどの様な方式の物が良い?」


「…どの様なと言いますと?」


「例えば標的に当たる迄何時までも追尾するとか、標的に当たると言う事を運命や概念で確定させてその途中に有る妨害する全てをスルーする能力とか…。因みに後者二つは試練が鬼畜難度だね。難度が難しい事については概念系や運命系全般に言える事だから概念系や運命系を仕組みに組み込んだ能力を望むのはかなり面倒な事に成るね」


「…前者だとホーミング携帯兵器が有れば事足りるって話に成っちゃうので後者挑まないと意味が無いですし後者のどちらかでお願いします」


「了解じゃあ準備をするから少し待ってね」


「はい。解りました」


そして暫く待ったら受付の人が因子結晶を持って戻って来た。


「はい。これが運命系の必中因子の結晶だよ。今回は挑戦前に警告させて貰うと、これの試練内容は敵にこの因子を暫くの間使われても生き延びろと言う物だ。場合にも依るけど、これの場合はとても高い耐久性か回復系無いとキツいんじゃないかな?」


「…耐久性はともかく、回復系無いです。でもなんで敵に使われても生き延びろと試練が成るんです?」


「ミラーされて生き延びられないなら敵の能力コピーなり使うなりする能力の敵来たら詰むから仕方ないぞ」


「…ああ、成る程…挑戦する因子を別のに変えても良いですかね?」


「まあそうなるよね。で、何にする?」


「少し考えさせて下さい。」


…うーん。自分に圧倒的センスなど望めない。だからベタは避けて、でも強い奴を…。盾系は充分有る。だから攻撃系のが欲しい。【破壊】に挑戦するか?だがベタだ。…いや、能力自体はベタでもそれを得るための試練が厳しいなら取得者自体は少ないか?なら厳しい試練の因子を手に入れる事が一番周りと被りにくい強さを手に入れる事が出来るか。…よし。


「では、【破壊】因子をお願いします。試練内容は先に教えて貰ってるんですが、それに勝算があるので」


「また試練内容が厳しい奴を希望してくるね。勝算が有ると言うならやらしてみるけど。仮にも原典神話の三大主神の力だし、性能は折り紙付きだ。結構直ぐに持ってこれるから少し待ってね」


そして直ぐに【破壊】因子を彼は持ってきた。


「さて、これがその【破壊】因子だけど、覚悟は良い?」


「ええ、始めます」


そして、【破壊】因子の結晶を受け取り、自分にインストールする。


【回転】の因子の時と同様に辺りの景色が一変する。


前回同様何処からか声がする。


「ふむ。【破壊】因子に挑戦する奴が出たか。貴様は試練を超えられるだろうか。」


「じゃあ、破壊衝動を此方に与えて下さい。速く確かめたいですし」


「事前に聞いていたか。なら説明は要らないな?」


「はい」


「良かろう。では始めるとしようか」


そして自分の中に破壊衝動が一気に満ち始めた。なので【絶対感覚】でそれを抑え込む事にする。だが、破壊衝動の満ち具合が中々にエグい。【絶対感覚】の因子で思考を無理矢理保とうとしなければ思考が破壊衝動に持って行かれそうだ。だが、それを何とか抑え込み続け、暫く経つと声が響く。


「合格だ。…この試練は思考領域のキャパが大きければ大きい程破壊衝動が大量に詰められるから大きな破壊衝動に襲われる。それ故に結果的に能力で思考領域や思考力が高かったり広かったりそれらを拡張したり強化してる奴に成れば成るほどこの試練は難しく成る。まあ台無しな言い方をすれば直感タイプの人間や馬鹿な人間の方が基本的には手に入りやすい力に成る訳だな」


「本当台無し何ですが…。」


「さて、とりあえず此処から出ると良い。では」


そして元の場所に戻された。


…しかし馬鹿な方が手に入りやすい力だったとは。強い力を持つ奴は馬鹿じゃ無いと…とか、物語的な都合を感じるな…。


「クリアしたか」


「ええ、そうですね。ちょっと内情にえー。とは思いましたが」


「取得事情か?能力補正が一切無い方がむしろやりやすいって奴。だがあれは要求されるレベル自体が一番低くて済むのはその通りだけど、それでも十分やばいレベルのが来るから気休めにしか成らないが」


「…ですよねぇ。そう言えば能力自体を使えなくさせれば楽勝かも?」


「それについては、そもそも回避系を持ってる奴に当たるとでも?」


「なら必中系因子と同時に使用すれば…?」


「そう言うのを提示出来る様に成るのは別にいい。だがそれの攻略法もセットで考案出来てないならそれを大っぴらに使ったら逆に使われて詰むと思え」


「…あはは。そうなっちゃいますよね。でも固有魔法的なのも有ると思いますけど」


「大体のやってる事さえ解れば能力創る能力なり何なりを使うとかすれば全く同じ物は創れなくてもやりようは有るだろう。そもそも同じ世界の中で成立出来てる時点で同じ世界の理で再現自体は可能で無ければその行動が成功する事自体が可笑しいし、要は手法が独自だから真似されないとかが通用するならコピー系の能力に価値なんて無いからな。敵の能力をコピーしました。でもそれの使い方が解りませんって言う事に成るんだし、敵だけの能力をミラーして戦うなんて無理ゲーに成ってしまうからな」


「成功する事自体が可笑しいとは?」


「その世界に力を出力しても、仮にそれが世界の理の範疇じゃ無いなら例えば世界の修正力辺りとぶつかり合いに成るんじゃないかな?で、出力した事自体が無かった事に成るとか、だってゲーム風に言うならそう言う力って世界に対するバグみたいな物だし、世界の理が個で完結してる世界へ外部の力を持ち込むのは世界に消されても文句言えないと思うね。まあ要はそう言うシステムを凌駕出来れば良いんだけど…」


「ならそれをすれば良いじゃ無いですか」


「そう言うのを凌駕出来るのって基本的に何らかの形でシステムの出力を真正面から超えれなきゃ成らない訳だし、現物として簡易的な世界創るレベルの力なきゃ多分無理ゲーだな。システムに対抗するシステムを無理矢理世界に挟み込む様な物だし」


「また無理難題を…当然な話、ゲームを造ればとか物語を造ればとかそう言う意味では無いですよね?」


「システムにシステムを挟み込むのがそれと一緒とか何考えてんだか…」


「あはは。ですよね」


「まあ物語なんかではそれをやれるオレツエー描写の元にされるようなシステムだが、実際問題神の創るシステムの出力を超えるとか創る為の技法獲得さえ出来れば世界創造くらい普通に出来るんじゃないかなと思うのだよ。そんなのを通常の回答と一緒くたに扱われてはあれすぎるよ。要は一定以上技量や実力が無ければ倒せない敵を初心者でも楽々倒せますよって扱う様な物だし…」


「確かにそれは酷いですね…」


「さて、【破壊】因子を手に入れてどうだい?破壊衝動が来たりするかい?」


「ああ、それは少し有りますけど、今回試練をクリアするのに使った因子で抑え込んでますね」


「そか。使い方について何か聞きたい事は?」


「どんな使い方が出来るんですかね?」


「使う人に依るけど、破壊の効果を持つエネルギーを生成して操るのがデフォに成るみたいだね極めると時間破壊とかも出来るみたいだ」


「へぇ。それは思った以上ですね。自分で色々と試してみますけど」


「そう言う事ならまあ頑張ってみると良い。じゃあ此処を出るとしようか」


「ですね」


そしてこの建物を出て昨日の疑問の回答を知るために速めに勉強に行くのだった。


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