第8話
次の日。食堂で朝食を済ましさっさと準備を済まして訓練へと向かう。…申請が夜に成ってからは受け付けて無かったので、そのついでに申請も済ます。
さて、今日は昨日の技法獲得トレーニングのリベンジを頑張るとしようか。
…その前に鍛錬も一通り済ませ?…解りました。やります。そしてしばらく鍛錬を行う。体は実際に走ったりし無いと走るスピードが遅くなると言う話を聞いた事が有る。まあ、運動を実際にし無いと体が鈍るのは納得出来るので、文句を言わず鍛錬を一通り済ませる。
そして技法獲得の為のトレーニングに取り掛かる。
もう基本は出来たが、出力を上げすぎるとやはり体が負担に耐えきれず壊れるらしく、少しづつ出力を上げて運用し慣らしていく。
だが、まだ実戦に使えそうな出力迄はやれてない所で時間切れに成った。
うーん。昨日ならこれから因子獲得の為に設備の方に行っていたのだが、今日はそれは無いので、時間が空いてしまった。
なら一先ずは因子の活用法の検証でもして時間を潰す事にしようか。
そして色々な形で因子を運用してみて使えそうな方法を選別していくのだった。
そして昼飯を済まして兵器の運用方法の勉強を開始する。昨日みたいのは流石にやらない様だが、シミュレーションの中にはまた一回入れだとの事らしい。…また戦争を生き抜けは嫌ですよ?と念を押すが、一人と戦って貰うだけだから大丈夫だと言われた。…さて、どんな奴が来るか…。
そして今日の分の勉強を終え、シミュレーション施設へと行きそれの中に入る。
そして居る空間がいきなり切り替わった。昨日と同じでシミュレーションが始まった様だ。
…目の前に自分に似た誰かが居た。自分と戦えと?
だが、鏡映しの様では無く、…これは見たら近々死ぬとか言う、ドッペルゲンガー、か?
一先ずは攻撃するために【回転】因子でエネルギーを回転させながら【剛体化】した体でぶん殴る事にする。
その瞬間、自分に激痛が走った。
がっ。…何が?
気付いたら殴るのに使った腕の途中から先が消えていた。
は?
理解が追い付かず一瞬硬直してしまう。
それを自分に似た誰かはニヤニヤしながら眺めて、エネルギーをゆっくり纏い始めた。
完全に舐められているが、そんなのは今はどうでも良い。距離を稼いで遠距離攻撃で何とかし無ければ…。
相変わらず、意図的にそいつはゆっくり動く。
氷系因子で氷塊を飛ばしまくり当てまくる。だが、そいつに当たると同時に当たった分だけ消えていく。
【消滅】?これはいくら何でも強すぎないか?
攻撃を炎系因子に切り換える。
炎をぶつけまくる。
だが、効かない。おい。マジかよ。
そいつに呆れた様な顔をされる。
くそが。
そう思った頃にはいつの間にかそいつは近くに居て、体が一気に消え去り、意識がブラックアウトし、気付いたらシミュレーションが終了していた。
あんなの有りかよ。【消滅】強すぎないか?
文句を外の人にぶつける。こんなの初心者にぶつける敵じゃ無いと。
だが回答はあっさりしていた。
「アンチマタードッペルゲンガーなんて基本的に完全な形で遭遇したら逃げの一択に成るモンスターだから、そうなるのも仕方ないぞ」
「…アンチマタードッペルゲンガー?」
「要は反物質で成り立つドッペルゲンガーだな。反物質の対消滅を行う物質を変身する事で変身先の存在を対消滅させる物質にさせるのが出来る能力を持つ。対消滅は大きな爆発を本来は産むがそのエネルギーを反物質の生成に当てて使った反物質を補充して、体の質量を維持するって感じらしい。まあ、因子獲得時に試練をやるみたいだから、ドッペルゲンガー側が突破出来ない様な難しい試練を内包する因子を持ってればドッペルゲンガー側が対消滅を起こさない攻撃を当てる事が可能に成るらしい」
「…それってつまり簡単な試練の奴の能力しか無い奴が遭遇したら即詰みじゃ無いですか」
「だが、試練が能力獲得時に必要な能力しか無いならドッペルゲンガー側が変身するにはある程度時間が掛かる。まさか幾つも有る能力全部の試練を全部同時にやって突破出来る筈も無いから、能力獲得に試練が付随する場合は変身にある程度時間が本来より掛かる。まあ短くは有るけど。だから、変身してる間に倒すのも有り何だが、その場合体の残った反物質が爆発を起こすと言うおまけ付きらしい。だから基本的に遭遇したら逃げた方が良い訳だな」
「正しくクソゲー仕様じゃ無いですか…。」
「ドッペルゲンガー側より多い数の集団で当たればそれ程でも無い。逃げろってのは自分側と同じ以上多い数のドッペルゲンガーに遭遇した場合だ。何故なら自分に化けた奴以外の仲間へ化けたドッペルゲンガーへは普通に攻撃通るからな」
「ああ、確かに。言われてみればそうなりますね。でも二人以上に同時に一つの体で化ければ解決する気もしますが」
「流石に二人以上混ぜて化けるには一個人に対してのメタ具合が完全じゃ無くなるみたいでな。だって先に言ったけど、別の奴をメタる奴を成立させてる部分へは普通に攻撃通じるし」
「成る程。【消滅】では無く【対消滅】だからそうなる訳ですか」
「だな。この点については一律で消せる【消滅】の方が良さそうだが、【対消滅】の場合はエネルギーが対消滅が起きる事で安定して供給と運用出来るからガス欠が簡単には起きないと言う利点が有る。結果的に能力を限定的にする代わりに継続戦闘力が跳ね上がってる訳だな」
「ならドッペルゲンガー側より多い集団で当たれば後の被害を考えなければ普通に倒せそうですね」
「尚、この理論はドッペルゲンガー側のスピードを考慮していない訳だが。ドッペルゲンガー側の方がスピードが速かったら普通に必要に応じて此方への対消滅の物質を即座に用意運用するのも不可能では無いだろうし」
「なら倒すには圧倒的スピードか時間止め辺りが欲しいですね…」
「確かに圧倒的スピードが有れば倒した後の爆発からも逃げられるわな。後、集団で戦う事が倒す事の前提のモンスターって集団では無く単一の力へのストッパーに成るからソロで行くのは無理ゲーな訳だけど、このドッペルゲンガーの場合は要はドッペルゲンガー側が再現不可能な物を持っていればそれだけは普通に通じる訳だし、ドッペルゲンガー側を超える水準の技量の力を提示出来るなら普通に倒せるだろうしな」
「…この調子だと明日も何か有りそうですね」
「そりゃまだまだ有るが、基本的には特殊な奴を優先的にやっていくぞ。元素系が一番ポピュラーな能力に成るけどな」
「そう言えば重力とか光系の奴ってどうやれば取得出来るんですかね。エネルギーを重力は基本的には常に受けてますし光も日中はそれなりに浴びると思いますが」
「それについては明日な。流石に時間切れだ」
「解りました。明日聞かせて貰いますよ?」
「そう言う事で、じゃあな」
そして寮に戻り晩飯を食堂で食い、見張りに行き、その後就寝したのだった。
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