第6話

そして昼飯を適当に済まし、午後の兵器の運用等の勉強…。…ああはい、またそのパターンですか。


現地点での戦闘力を知るために戦争シミュレーションを体感し、その中で一時間生き延びろですかそうですか。…何でも有りの戦争でド素人が生き延びられるのかと言われたら厳しい。と抗議する。すると、だからこそ一時間生き延びろとした。と返され、取り合ってくれない。


…やるしか無いようだ。仕方なくシミュレーションの中に入り機械が起動する音を聞く。すると荒れ果てた廃墟が大量に有る場所に居た。…戦争で廃墟に成った場所な様だ。するとカウントダウンが始まり零と成ると同時に二つの力が戦場にばら撒かれ、戦場を支配した。どうやら味方側の勢力も居るようで、その力の範疇に入った様だ。それのお陰で頭に必要な情報が流れてくる。


どうやら敵と力を存在させるエリアの奪い合いをしている様で、敵の力が満ちるエリアに居たら何が起きても不思議では無いので出来る限りこちら側の力のエリアに居ろ。とのことらしい。機動力を試してるのかな?と思い、一先ず中心部に向けて走る。すると、力の奪い合いの一環で裏を書かれたのか、一時的に今居る場所が敵の力のエリアに成る。


不味い逃げ、気付いたら地面に大穴がそこかしこに出来て一気に落ちそうに成るが、空間に【剛体化】を使い足場にして無理矢理空中を走る。だが、これで出す足場は固定されていないので一時的な足場でしかない。一先ず安全な場所に移動し無ければ。そして低空の空中を走る。隕石が降ってくる。土石流が流れてくる。衝撃波が飛んでくる。銃弾が飛び交う。爆弾やミサイルも飛ぶがそれを爆発させない様にする。…洒落に成らない戦場が其所には有った。


…てか、そこで気付く。適当な所でこれって対処出来ない振りしてリタイアして良かったんじゃないかな?生存させる気なんて更々無いような感じだし。…でも今リタイアはさっきは生き延びられたんだから手抜いたとバレるな。ちくしょう。やってやんよ。生き延びてやる。


そして少し更に移動して味方側のエリアへと入ると一気に難易度が落ちた。…このエリアを創ってる能力がチート過ぎてそれ有りきな戦争に成ってるって感じで良いのだろうか。本当酷いな…。空を見上げる。色々な攻撃が空を飛び交っていた。安全なエリアから遠距離攻撃主体の狙撃戦闘が主体なのだろうか?


いくらかが此方にも飛んできた。一先ずどんな効果が有るか解らないので避ける事を優先する。それが無理そうならその攻撃の周りの空間を丸ごと【剛体化】で固めて誤爆させる。逃げる逃げる逃げる。さてまだ続く。どうにか生き延び無ければ。


と言うかだ。こんな戦場は敵に本陣まで攻め込まれるか先の現象ラッシュを凌げて攻め込めるかし無ければ近接特化に人権なぞ無いとしか取れない。【転移】も先に聞いたエネルギーを袋に入れる云々の都合上無理だろう。…要はこの戦場だと近接戦闘は限定的な条件下でしか起きないのだ。幸い敵を倒す事が目的では無いので、逃げに徹する事が出来るけども。…レーザー光線が戦場を駆け巡る。狙う相手が違ったらしく自分側へは来なかったが、…多種多様な能力が入り乱れる混戦か、遠距離攻撃の雨霰のラッシュか、どちらか選べと言われてもどちらも嫌だけど、とにかく味方側の本陣へと向かうしか無い。其所に行けば休めるはずだ。…と言うかだ。味方側の本陣をスタート位置にし無い辺り本当酷いとしか言いようが無いな。まあ、それだと多分本陣に籠もってるだけで終わるから仕方ないのかも知れないけど。


…遠距離攻撃主体で攻撃される上、そいつらの近くに行こうとしたら敵の力のエリアに入らなければ成らない。つまり先の現象ラッシュを継続的に凌ぎ続けなければ成らない訳で。更に敵に近付けば近付く程遠距離攻撃の来る迄の時間も減る。しかも敵の強さも解らないから倒せないレベルの格上が居たら最悪だ。格上相手に格上の有利な状態や条件で戦う羽目に成るから、遭遇してから逃げるのは無理だろうしね。


移動しつつ考えてはみたけど、まだ他にも何か来そうな気がする。まあ、安全地帯に向かってる訳だからそう簡単にはそうならないだろうけど。


…すると、本拠地が有ると思われる方に極太のビームが放たれたが途中で何にも当たらずに消えた。…ふむ。仮にもエリアにエネルギーを充満させているのだからエネルギー系攻撃へは普通にそれが障壁的な役目を果たすか。これは本拠地は本格的に安全地帯な様だ。


すると轟音が響きそれの一部が近付いて来た。と言うか廃墟のビルが此方に向かって飛んで来ている。


はぁ?一先ず当たらなそうな低い場所へと移動しつ其方を見る…。誰か一人其所を飛んでいた。様々な妨害を物ともせずに。…最悪だ。先に考えた遠距離攻撃主体主義を真正面からねじ伏せる奴がやって来た様だ。…しかも此方を狙って来ている。…戦うしか無さそうだ。そして自分は大きな氷柱を幾つも造り、それを片方を支点に回転させ氷柱をそいつへと叩き込む。避けた様子は無いのに当たった様な音は無い。…避けられた?すると此方の創った氷柱が簡易的に操作されたらしく此方へと向かって来る。避けれなさそうなので【剛体化】で耐える。お返しに【回転】の力で延々と回転させてやろうと力を使ったらそいつは地面に降り片足を地面に突き刺し、回転を無理矢理止めた。…おいおい。マジかよ。…それでも回転させようとするが力が捉えている事に対していきなり手応えが無くなった。まだ何かあんのかよ。廃墟に散らばる物を【回転】で叩き込みまくるがまるで効いていない。と言うか避けられている。そいつは刀を構えた。嫌な予感がしたので【剛体化】を使ったのだが、気付いたら方腕が切られた。炎系の因子で炎を放ちまくりブラインドとするが、炎を物ともせずに突破し、此方に来て改めて切られた。そして意識はブラックアウトした。


そして目を覚ます。


最初に居たシミュレーション機械の中の様だ。


戻って来た。か。


…【剛体化】が紙を切るかのように突破されてしまった。 何なんだあれは。




「シミュレーション見てたよ。奴に当たるとは災難だったな」


「あんなのと戦わせるとか酷すぎますよ。何なんですかあれは」


「一言で言えば【通過】の因子の所持者だ。詳しくは自分で考えな」


「避けるのと切るので違う感じの能力が使われてた気がするんですが」


「能力の設定を少し弄るのくらい不可能では無いだろう」


「と言うより防御系の因子を軽くぶち抜いてたんですが」


「先に上げた単一能力で説明可能だな」


「そうですか…それで評価はどうなったんですか?」


「落ち着いたかい?それで、君の立場は突撃兵を支援する突撃支援兵辺りが妥当かな。あの形的な戦場に行くのならさ」


「あんなのと戦う戦闘力を期待されても困ります」


「ぶっちゃけ慢心させないために早々にリタイアさせるつもりだったしな。粘ったからあんなのと戦う羽目に成ってたみたいだが」


「これはやっぱり早々にリタイアしとくべきだったんですね」


「とりあえず高評価は出そう。生存力では無く戦闘力を提示出来なかったから満点には程遠いが」


「いや満点とか無理ですよね。対策ガン積みならともかく初見じゃ」


「まあそりゃそうだわな。では、突撃支援兵としてのメニューを出すから見てみると良い」


「…あんなのはもうこりごりですが、解りました」


そして鍛錬メニューに目を通し、カリキュラムを実行するのだった。


…ってか要はあれは近接戦闘は諦めろってのを伝える意図のシミュレーションだったとすれば周りの反応も頷ける。…単独で突破出来る奴が居てもそれを支援出来る奴が居ないなんて困るし、そんなことを出来ても一人だけでは兵の運用上の扱いに困る訳だ。つまり何人かセットで突破出来る奴が居ないと色々とアレなのだ。だから自己強化のみで敵の攻撃を掻い潜るとか出来てもサポート役が着いていけないから運用上は無理…と。本当酷いわこれ。アレらをパーティー単位で突破出来る何かを提示出来なきゃ運用上待ったが掛かるのだから。


メニューをこなしつつ能力について考える。攻撃を【通過】させる。これで攻撃を避けてたのは間違いないが、設定をある程度弄れるならそれにある程度の自由度を持たせた物だと推測出来る。…能力の指定を全部取っ替えしたら…空間の指定ポイントを自己が【通過】するとすれば飛べる…か?それなら疑似サイコキネシスも自己を他の物に変えればある程度は可能か。此方の能力が捉え所が無くなったのは?…なら【剛体化】を無視したのは?…此方の体の間を【通過】して無理矢理体に侵入させて体の怪我を創り武器で押し広げた?…んー。でも物質同士は重なって存在出来るって成ってる場合やそうなってない場合も有るから定義が解らないし、流石にこれ以上は解らんか。だが、能力で何とかするから大丈夫系能力は発動より速い攻撃を行うのが攻略する上での対策…とするには…常時発動に成ってるからカウンターとしての後からの発動では無いので普通に効果が発揮されるとか、そいつにスピードで負けてたら無理だとか、その能力単体での運用では無く速さを補う能力と併用してたりだとか、…能力が幾つも持てる環境だとメタのメタを事前に用意可能な為、人に依っては初見殺し以外殆ど意味が無い状態に出来るだろうしな。


因みに能力が発動する前に突破しよう。が既に発動してる奴には効かないのは場合に依るが此処で言うのは例えば障害として壁を出す能力が有るとして敵が来そうに成ったから壁を出すのではなく先に壁を出していると言う意味だ。使い手の対処能力等関係なく相手は障害を越えたいなら何らかの形で対処し無ければ成らない 。つまり相手依存の発動で無いなら対処スピードとか関係無い場合も有る訳だ。…此処まで休みを殆ど入れずにカリキュラムをこなしたが、そろそろ休むか。


以上4031字


ーーーーーーーーーーーー


…ああはい。回復の因子を使ってくれる訳ですか。はい。メニューを続けます。(ヤケクソ)。


…要は近接戦闘メインで行きたいならあの環境を突破出来る化物共と戦う可能性が高い事に成る。だからあの環境を生存出来るだけでは足りないのだ。何かしらの力を追加で手に入れなければ成らないな…。


…え?因子ありの組み手で、一撃先取戦をやれと?…それは要はまともな一撃を先に当てた方が勝ちな組み手らしい。流石に勝てるよな。…あの戦場を生き延びれるのが最低ラインは流石に無い。うん。


そして、深い青色のセミロングヘアの女の人が、試合相手な様だ。


武器は互いに木刀で、これで攻撃を当てれば良いらしい。


始め。の声が響く。


よし。先ずは相手の木刀を破壊しよう。右回りと左回りの【回転】の力を同時に木刀へと掛けるが、木刀がヌルリと移動して避けられた。中学生は突きは禁止らしいがこの場合は其方を使った方が良いだろうと突きを行う…。が、そのまま手応えも無く突き抜ける。


…またこれか。


一本扱いには成らなかった様だ。縦に袈裟斬りする。ヌルリとその範囲の少し外に移動される。【回転】のエネルギーを纏わせたら纏わせたのも含めてそれから少し離れた場所に幾ら近付いても幾ら攻撃を与えようとしても届かない。


木刀を投げた。彼女の姿が歪んで揺らぎ、そのまま木刀は突き抜けた。


不意打ちをしたつもりだった。そんなの関係無かった。…水みたいな感じだし、攻略方法は氷、か?


氷を放ち行動阻害を狙う。…移動される範囲が増えただけだった。 炎も同様…と。駄目だこりゃ。


「降参です。」


試合が終わる。


相手の人が話し出す


「攻撃を当たらない様にする能力を崩す能力等を持っていないのですね。何かしらそう言った能力は必要ですから取得を薦めます」


「アドバイス感謝します」


「嫌がらせでは無いので追加で言っておきますが、あのシミュレーションの領域の力のエリアを突破するための回答の一つとして攻撃が当たらない様にすると言う物が有ります。…つまり方式は別として、単純明快な回答故に、方式は個々で違うでしょうが、攻撃が普通は当てられない相手と言うのは一定数存在する訳です。ですから一つの方式に対しての専門メタの能力を取得する形では余り役に立ちませんのでそのつもりで居てください」


「…あはは。なんか考えてみます」


少し考えて違和感を感じる。


「…?いや、なら何故力のエリアを創った奴が起こす現象がそれを突破出来ないんですかね?」


「まあ場合に依るとしか言えないけど、それを行う方式が不明の場合根本的メタでも無ければ適切なメタも張れないし、適切なメタを撃てるとしても、多種多様な方式で来られた場合それら全ての対処に必要なキャパが有るならエリア内の攻撃を苛烈にしたほうがそう言った能力を持つ奴以外を淘汰し易く成るし、そう言った奴等は多くは無いだろうから直接相手にすればいいし。…まあ、集団が来る方法も無くは無いけど、その時は対処方法を変えれば良いだけよ…まさか、大量に一つ一つ別方式のそれ系能力を用意出来るはずも無いし、対処すべき能力は限られてるはずだから」


「ふむ。…えーと。今思い付くのは攻撃を避ける仕組みを壊す事で攻撃を当てるのをやれそうな【破壊】因子と、ド定番な【必中】系効果を持ってる系因子のニパターンですね」


「他には相手にレジストされる可能性は有るけど、能力の効果の発動ポイントを対象者自身にする系の因子も行けるわね。それなら相手自身が能力の起点だからどれだけ速かろうが基本的には関係無いし」


「レジストされる確率が有るのは問題ですが、速さを無視した攻撃を撃てるってのは良いですね」


「【必中】については必ず当てる為に何処までやれる能力か?で、評価は変わるわね。例えば避ける相手を何処までも追尾する“だけ”ならわざわざ【必中】を使わずとも、兵器のホーミング弾を使えば良いだけの話なんだから」


「性能が一定以上高くなきゃ使う価値無し判定ですかそうですか」


「あはは、似たことが出来る代用品が有る因子をわざわざ手に入れる必要性が無いと言うだけよ。要は装備を充実させれば似たことが問題無く出来るって事なんだから」


「…なんか運用上のアイディアとか無いですかね?」


そして最近手に入れた因子と運用方法を言い並べる。


「【回転】なんて取ってるのね。…えっと今聞いた話しから組み立てた話だと、身に纏うエネルギーを回転させるのをエネルギー量を増やして一種の受け流しの力として使うのはどうかしら?」


「なる程。それなら直ぐに運用出来そうですね。今試してみます」


そしてエネルギーを大量に纏い回転させ先の木刀を投げて貰う。…上手く弾けた。


…これは盲点だった。【回転】が受け流しの力として運用可能だとは。…但しエネルギーの運用上エネルギー消費が激しそうなのでずっとやってる訳にも行かなそうだが。それはともかく。


「良いアイディアをありがとうございます」


「いえいえ、これからを期待してますね」


「そう言えば他の人に感情系因子は速めに取得しておけと言われたんですが、何かお薦めの因子は無いでしょうか?良いのがあったら申請して設備で取得したいんですが」


「ああ、それは辞めた方が良いわね。【器】の因子に入った因子をインストールするのが駄目だって訳じゃ無いけど、感情系に関しては、それをするのは他人の感情を自分に混ぜる行為みたいな物だから」


「それやると自我がやばい訳ですかね」


「それらの対策になる因子を持っていたら問題無いけどね」


「なら【絶対感覚】なら大丈夫ですかね?」


「それが有るなら先に言いなさいよ。感情系は無理だけど、それが有れば【破壊】の因子の試練なら突破出来るわよ?」


「…と言いますと?」


「【破壊】因子の試練は与えられる破壊衝動を従えろ。だから感覚への干渉の影響を押さえ込めれば行けるんじゃないかしら」


「なら明日申請して試してみます」


「それが良いわね。最後に、先のシミュレーションで【回転】因子が通じたなら殺るのは出来たはずよね?」


「アレの場合は相手の保有エネルギーの関係上少量の又は限定的なエネルギーしか使わない場合レジストされる可能性が高かったんですよね。だからそう言ったのをやるなら初手は全体に一気に掛けるくらいしか出来ませんし、対処された後は何故か能力の捉えどころが無くなっちゃいましたし」


「つまりレジストを無理矢理突破するために大量に力を籠めたのは良い物の、あっさり対処されてしまったと」


「そうなりますね。悔しい事に」


「まあ【破壊】因子が手に入れられそう何だからそれの後で再戦でも何でもしたら良いわよ」


「ですね…でもなんで【破壊】因子の獲得に何故破壊衝動を従えろなんですかね?」


「要は創世戦争の時に元ネタが有るからそれ基準らしいわね。詳しくは知らないけど、手に入れた場合破壊衝動がある程度常時発動するんじゃ無いかしら。」


「うーむ。リスク高すぎますね」


「でもリスクに釣り合うだけの性能は有る因子なのよね」


「さて、どうしたものか…少し考えて見て他に良いのがあったらそちら優先します。ですので今日の所はこれで失礼します」


「何逃げようとしてるのかな?まだメニュー終わってないでしょ?」


「…はい。終わらしてきます」


そして残ったメニューを終わらせて寮に帰るのだった。

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