第5話
翌日。寮の食堂で朝食を済まし、準備を整える事にする。一先ず今日習得を狙うのは【回転】だ。どんな試練に成るだろうと想像してはみてもよく分からないので、出たとこ勝負に成るかもだが、まあ頑張って行こう。
尚、居るかどうかの点呼については訓練時に班ごとに行うそうで、今の時点では行っていない。…しかし、基礎体力向上訓練は基本的には強制参加だが、体力に関する能力因子を獲た場合には大幅に継続戦闘力が向上するらしく、メニューが一段階変わるらしい。まあ、『体力無限』的な因子を持ってるのにわざわざ体力向上訓練するのもアレではあるが、因子を封じられた状況下ではそれも無意味に成るらしいので、代わりに違うメニューに強制参加に成るらしい。
さて、トレーニングに行く…。
…はい?先ずは現在の体力量を知るために耐久長距離ランニングでもやって来い?拒否権は無しだ?
…解りました。走ってきます。そして暫くの間ランニングをくたくたに成るまでし続け、その結果を元にトレーニングのメニューが組まれたのだった。…それを先に知ってたら手抜いてたんだけどな。此方が疲れ切ってるのを見た人が体力を因子で回復してくれた。…それが有るって事は疲れ切ったから休ませてでトレーニングを終わらせられないと言う事を意味する。これは本当にハードに成る予感がとても頭に浮かんできた。
そして、予想通りハードな特訓が始まった。
筋肉は運動で傷つけそれから治る時に強く成る…だったか?トレーニングで、筋肉を傷つけ、それを回復系因子で回復する。それを繰り返す。
だが、筋肉を付けすぎても動きづらく成るらしく、エネルギーでステータスを向上させる術を学ぶ。より正確に言えば、行動で獲られるエネルギー量の向上が目的だ。これが出来れば体のスペックがある程度上の相手にも簡単には負けないのだとか、しかし、この方法は、上手くやれればステータスが2倍とまではいかなくとも、1.5倍くらいなら実現出来そうだった。流石にそれ以上は肉体側が持たないと思われるので際限なく上昇させる使い方で使うのは無理そうだけれど。
創作上よく使われる全身強化は要は再現するならパワードスーツを着るのと似たような物だと思うので、それとは別方式と思われるが、その場合は一応併用は可能な様だ。
簡単に纏めるならば、要は強いアイテムを着てその出力を操るか、自分自身の出力を向上させるか。と言うニパターンに分ける事が出来る。負担が前者なら負担が直接は自分自身には来ないが後者には来てしまうので、限界も有るって訳なのだ。
さて、そして暫くの内はそれの習得を目指し、鍛錬するが、流石に直ぐに習得とは行かず一先ず今日やる部分は終了した。
…さて、…では、お待ちかねの【回転】因子獲得の為の鍛錬の開始だ。
事前に指定されたポイントへと行くと建物があったので、その中へと入る。触れようとしたが、簡単には取れない様に細工はしてある様で、様々な色の宝石の原石らしき物が膨大な量壁に陳列されていた。
その中を先に進む。また扉が有りそれを開け中に入るとエントランスホールらしき場所の真ん中に受け付けらしき場所が有り、其所に人が居た。…宝石らしき物に囲まれた職場、か。宝石が好きなら有りなのだろうか?それはさておき、その人に話し掛けてみる。
「えと、すみません。事前に申請していた、バーロックと言う者なのですが」
「ああ、バーロックくんね。話は聞いてるよ。【回転】因子が目的何だったよね。一発勝負的な因子も有るから全部そうだって言える訳じゃ無いんだけど、一先ず一回試練を体験してみて、それで駄目だった部分を特訓して良くして行くのが基本的な方針に成るんだけど、試練の内容のネタバレ欲しい?欲しくない?」
「一回目は自分でやってみます」
「そうかい。だがこれだけは行っておくと因子を獲得するための試練で求められるのは例外もあるにせよ、その因子を扱う為に必要な事を要求する事が多い。つまり試練無しにする事が能力か何かで出来たとしても、その要求を満たせないと結局は上手く使えないと言う結果に成るから、試練無しだろうが試練を突破出来るだけの物を持って無いと結局は上手く使えない結果に成るんだよな」
「それはズルの意味が無いと言う事ですか?」
「まあそう言う意味だね。ついでに能力の内容についても言っておくと、獲られる能力は回転軸を設定し、それを基準に物を回転させる能力だ。さて頑張って行ってみよう。君の必要な【回転】の因子の入った【器】の因子はこれだ。インストールしてみるといい。そしたら試練の始まりだ」
「はい」
そして自分はその因子を受け取り自分にインストールした。
気付いたら別の場所に居た。試練が行われる空間な様だ。何処からか声が聞こえてくる。
「…なんでまたこんなマイナーな能力を…まあ良い。貴様には試練を与える。其所に有る武器を取ると良い」
そして足下を見ると、剣とか銃などが置いてあった。
「これで何をするんですか?」
「話は簡単。【回転】因子で回転しまくっても大丈夫な平衡感覚が有るかを見る。速い話、回転斬りをやったら簡単に目が回る様な奴に【回転】を持たせても自分に対してまともに使えなそうなので、故に要求されるのは一定以上の平衡感覚の所有に成る。…まあ、自分に対して使わなきゃ良いと思うかもだが、例えばミラー対戦で相手だけ使える手段が有るって状態に進んで成るのはお勧めしないな」
「で、回転しまくれば良いって事ですね?武器の意味は?」
「様々な形で回転しまくった上で指定した的に対してその武器で攻撃を当てれば最低限は一先ず合格だ。後は自分で使いこなす様に頑張れば良いだろう」
「解りました。じゃあお願いします」
「了解だ。まあ頑張って見るといい」
そして試練は始まった。様々な形で色々な方向へと廻る廻る。軽く竜巻も起きるくらいには廻っている。えっ。これ普通無理じゃね?そう思うも思考はまだクリアだ。【絶対感覚】の因子を持っている為に何とか成っては居るけれど。…え?そんなの持っているなんて言わなかっただろって?…前に【剛体化】を全身に使ったら体内の自分の生体活動も停まるって話を出せたって事は、それに類する状態に既に何度か成ってそれで生きてるって事なんだから、何らかの理由は有って当然だが、それが、体の状態に依存し無い感覚を持つ能力で、それのお陰で生体活動が粗方停まった時にも感覚が残り行動出来た事で解除出来たと言うわけだ。…本来は時間の巻き戻しとかのやり直し系因子へのカウンターとして取得してたんだけどね。…それはさておき、回転が終わったので、剣でも、銃でも、的を破壊し、試練を突破した。
そして自分は【回転】因子を手に入れた。
尚、平衡感覚が治るまで待つのは試練の意味が無いので駄目だそうだ。待った場合は追加で回転させられるそうです。…ってかそれを有りにしたら実戦で使う際に隙が大き過ぎるし。
そして元の空間に戻って来る。
そしたら受付の人が驚いていた。
「まさか一発クリアか。やるじゃ無いか」
「偶然持ってた奴が噛み合っただけですよ」
「…だが、転がるとか、竜巻起きるレベルで回転するとか、本当酷い試練なんだがな。そう言う事なら良いのか…しかし、訓練の為に用意してた奴は必要無くなったか。使わないで済むならそれに越したことは無いが」
「因みにやる場合はどんな訓練になったんですか?」
「回転する機械の中に入って少しづつ回転して慣れたら回転力を上げていって、平衡感覚を徐々に鍛えていく形に成ったな。実際フィギュアスケートとかの選手とかは結構な平衡感覚を持ってると聞くし、平衡感覚を鍛えていくには回転しまくるのが一番だろうから」
「ふむ。…やる場合かなり大変そうですね。…一発クリア出来て良かったです」
「うーむ。このまま帰しては仕事殆どしてないだろお前的に言われても仕方ないから【回転】について運用案を一つ出しておこうか。体の周りにエネルギーの膜らしき物を展開したうえでそれを回転させる。すると体をねじ切ろうとした奴の手がそれで廻るからねじ切ろうとしてもエネルギー側が廻る為にねじ切れないと言う事が可能だ」
「…ふむ。ロッカが言っていたのはその事か。エネルギーを纏う…ね。こうかな?」
そして【回転】エネルギーを纏うのを試す。…上手く行った。エネルギーの膜を用意し、それを回転させる…か。それを上手く使えば、疑似チェーンソーとか疑似ドリルとかとして運用出来そうだ。これは後で試してみよう。一先ず。
「アドバイス有り難うございます。少し試して見たい事が出来たので失礼します。まだ欲しい因子は有るのでまた来るとは思いますけれど」
「じゃあまた今度来ると良い。それじゃ此処を出る事にしようか。流石に此方もずっと此処に居る訳では無いからな」
「解りました」
そして二人でその建物から出て別れたのであった。
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