動乱の行く先 -面影-

 クレイスが西、カズキらが東で戦いを繰り広げていた頃、『ジグラト』王国では王妃が2つの配下を使い周辺国を脅かしていた。

1つは金を目的とする配下だ。そこには大志も大儀もなく、あるのは我欲を満たす事のみ。ただこれらは以前から『ジグラト』に最も多く存在していた事なかれ主義の産物でもある。

なので今でも生き残っている者達というのは彼女の並外れた暴虐にすら目を瞑る事の出来る、いわば生粋の個人主義者だ。


そしてもう1つは嗜虐的な配下だ。目を覆い顔を背けてしまう暴虐の数々。大多数は忌避するものだが時にそれに深い感銘と感動を覚える人種が一定数存在する。

稀有な彼らは自ら頭を垂れてブリーラ=バンメアという超越者に仕えられる喜びを胸に戦場では悪逆の限りを尽くす。


内政は以前と変わらず事なかれ主義者達が己の保身と我欲の為にのみ働き、外敵は人としての箍が外れた者達が恐怖を盾に相手を蹂躙する完璧な適材適所。これにより南西方向へじわりじわりと版図を広げていっていたのだ。


それでも東と北の侵攻は停滞気味だった。といっても東側は『ネ=ウィン』だ。4将筆頭バルバロッサやカーチフが堕ち、ノーヴァラットを引き抜いた後でもその戦力は揺るがない。

ただ北にある『ボラムス』に併合されたロークスという都市。ここが未だに取り返せないのだけはブリーラ=バンメアも腑に落ちなかったようだ。

「ねぇノーヴァラット。クレイス王子と遊ぶ前にちょっとだけお使いを頼んでもいいかしら?」

「・・・何でしょう?」

王妃が権限を牛耳ってから半年余り。あらゆる場面で彼女の意思が反映され始めるとまずは王城内で如何わしいお香が焚かれるようになった。

そのせいで何時も強烈な臭いが充満しておりどこの中空にも薄紫色の煙が漂っている。

先日この国にやって来たばかりのノーヴァラットがそんな事情を知る由もなく、今は一刻も早くクレイスを八つ裂きにしようとしか考えていない。

だが危険を承知でわざわざ『ネ=ウィン』に単身で潜り込み、自身を説得してくれた王妃には多少の恩義を感じている。

玉座に座り足を組んだまま、更には煙管という喫煙道具を片手に煙をぷかりと吹かしてと酷い有様だが出立する前に1つ位恩を返しても罰は当たるまい。

「北にあるロークスという私達の都市が未だに辺境国家から取り戻せていないの。よかったら様子を見て来て貰える?」

つまり取り戻してこいという事か。

「それは地上部隊と連携して、という事でしょうか?」

「あら?そこまでやってくれるの?」

察しの良いノーヴァラットはそこまで読んで尋ねたのだが王妃の命令とは本当に言葉通りの内容だったようだ。少し先走ってしまったか・・・だがクレイスと戦う前の準備運動だと考えれば苦にはならないだろう。

「相手によります。もし『トリスト』が絡んでいるのであれば奪還は難しいと判断し即座に帰還します。」

「いいわ。その辺りも全て貴女に任せるから。あ、でも最低限の情報だけでも持ち帰ってくるように。よろしくね、ノーヴァラット将軍。」

こうしてノーヴァラットは『ジグラト』の将軍として初任務に当たる事となった。


まずは軍部に案内されるとそこで主要な人物達を紹介され始めたのだが正直この国に長居するつもりはない。

「5000いれば十分よ。明日一番に出立するからそのつもりで。」

各々の自己紹介を適当に聞き流しつつ北伐担当からその様子と持ち出せる兵科を手短に聞き出した後、彼女はそう伝えると自室へ帰っていった。






 『ジグラト』の王都からそれほど距離がないにしても行軍となると多少の時間はかかるものだ。

焦る気持ちを隠す事ないノーヴァラットは地上部隊を何某将軍に任せて自身らは先にロークスの様子を伺うべく飛行で北上していた。


『トリスト』の使う飛空の術式と違って速度が劣るものの、それでも午前中にその上空まで辿り着いた彼女と側近は不思議な違和感に襲われる。


まず緊張感がない。

ブリーラ=バンメアの話では全方向に軍を向けてその版図を拡げるべく行動を起こしているとの話だ。なのにロークスからは平穏な空気しか感じなかった。

市民は普段通りの仕事をしているし衛兵の数も平時と変わらない。むしろ『ネ=ウィン』が手を引いたせいで防備は穴だらけのように見える。

「・・・この都市を落とせない?そんな事があるのかしら?」

つい本音が漏れてしまったがそれは側近達も強く感じていた事らしい。

「・・・伏兵・・・でしょうか?」

1人が呟くとノーヴァラットも一定の理解を示す。確かに国境線付近には若干の雑木林がある。そこにいくらか潜ませているのであれば何も知らない地上部隊が一方的に駆逐されてもおかしくはない。

ただそれが何回も通用する訳がないのだ。王妃は何度かロークス奪還に動いている風な口調だった。であれば何度も軍を送っては返り討ちに合っている。そう捉えた方がいいだろう。


「・・・私達は林を調べておきましょう。」


今はそれくらいしか対策が思いつかないがこれが一番堅実で効果が見込めるとノーヴァラットは読む。もし何も無ければそのまま用意した5000の軍で制圧してしまえば良い。

むしろこんな簡単な任務で恩を返せるのであれば願ったり叶ったりだ。これで心置きなくクレイスを討ち取りにいけるのだから。




だが本隊が到着した3日後には己の知見が浅かったのだと後悔する事になる。




一応は物見櫓がある為、こちらの軍団が遠方に姿を見せてからロークス内もやっと人々が慌しく動き始める。

しかし相変わらず市民の姿ばかりで衛兵はごく少数、このままでは大した抵抗も出来ずに制圧が完了するだろうとしか思えない。

詳しい事情はわからないがノーヴァラットもここで足踏みするつもりはなかった。なので地上部隊を率いる将軍にはそのまま攻め落とすように命じていた。

(・・・王妃も何が狙いだったのかしら?)

何かあれば空から助力するつもりではあるが5000の兵が一気になだれ込もうとしているのに未だロークスでは迎撃体制すら整っていない。

ブリーラ=バンメアという女は非常に嗜虐的な性格だという。であればこの惨劇をノーヴァラットに見せたかったのだろうか?そうする事で『お前は今そういう国に属しているのだぞ?』と心に楔でも打ち付けたかったのだろうか?

であればこの侵攻にもある程度納得がいく。勲功も立てられるし『ジグラト』という国家に縛り付けるには良策なのかもしれない。


憶測を浮かべつつ地上をぼんやり眺めているノーヴァラットに油断がなかった訳ではない。そう、これはあくまで想定外だ。想定外の事が起きたから瞬時に頭も体も動けなかっただけだ。


ロークスの防壁が一瞬で瓦解するだろうとしか考えていなかった魔術師らはこの時、先程までとは打って変わって獣のような動きをする市民達が一斉に街から飛び出てくると『ジグラト』軍団をあっという間に蹴散らしていくのを空から呆然と眺めていた。

人間か?いや、確かに猛者や強者、それこそ4将や『孤高』と呼ばれる人物達はああいう動きをするのだろう。

だが彼らは先程まで街の中でのんびりと生活していた市民のはず。なのにそれらがいきなり外へ飛び出すと迫り来る『ジグラト』兵を瞬く間に葬っていった。

空から火球を落とそうにも未だ夢か現かわからない状態の彼女らはその光景をただただ見つめるしか出来ない。やっと我に返った時には5000の兵士達が全て屠られた後だ。

「・・・な、何だ?この街の連中は・・・?」

辛うじて呟いた側近の一言は皆の心を代弁したに他ならない。既に戦?らしきものは戦後処理へと移行している。彼らは戦いが終えると兵士の装備一式を全て奪い取り街へと帰っていく。その動きは最初に見た市民そのものだ。

恐らくこの街の市民は皆が精鋭なのだろう。だから今まで送られてきた軍も全て返り討ちにあってきた。斥候なども片っ端から捉えられていると考えれば王妃の下に正しい情報が伝わっていない理由も納得出来る。


「偽装都市か・・・確か今の市長はナジュナメジナよね?」


「は、はい。」

先日北方の小国『ボラムス』が援軍として横槍を入れた事から彼を含めた市民全てが彼の国に傾倒しているような話は聞いていた。そして都市長として彼が任命されたとも。

『シャリーゼ』の繁栄を支えていた5人の実業家の1人で最も金に汚いという噂だったが今では慈悲深さ併せ持つ食わせ者の印象が強い。

(・・・この情報さえ届ければ十分でしょ。)

既に地上部隊は全滅しており己を含めた少数の魔術師達でロークスをどうにか出来るとも思えない。

むしろこんな戦いで被害を出しては本命へ充てる筈の戦力を失うことになる。そんな愚行だけは避けるべきだ。標的はクレイスただ1人なのだから。

「帰還するわよ。」


こうして地上部隊の犠牲と引き換えに重要な情報を得たノーヴァラットはその日のうちに王都へと戻っていった。






 『ボラムス』は『リングストン』から取り戻した領地だ。故に相手もまた版図に取り込むべく国境沿いを争うと日夜兵士達の衝突があった。

ただヴァッツが築き上げた巨岩の城壁は一兵卒が集まったところでどうにもならず、防衛に回っていた『ボラムス』の衛兵達の負担も最小限で抑える事が出来ていた。

といっても彼らの兵力に余裕がある訳ではない。故に南からの侵攻があった時、ア=レイは天人族らしい力を使って市民を操りそれらを撃退していたのだ。


《今更ながらお前が人ではないと再認識したよ。恐ろしい力だな。》


都市長になって以来、大役場の執務室にいる事が多くなったナジュナメジナは南からの侵攻を仕事の片手間に阻止していた。

《そうか?私自身に戦う力が乏しいから仕方なく使った手段だ。あまり褒められたものではないよ。》

自虐するつもりはないのだろうが無関心なのは十分に伝わる。以前にも言っていたが彼は『七神』の中では最も弱く、そして最も己の欲求を最優先に動くという。

紅茶を一口すすった後彼は書類に目を通しながらその修正箇所を書き出していく。傍から見ればてきぱきとこなしているように見えるがア=レイ自身知識が乏しいので仕事中は常に相談役のナジュナメジナと心の会話が途絶えないのだ。

《この力を使えば昼夜問わずに労働者を働かせて利益を上げる事だって可能なんだぞ?お前はもっと誇っていいはずだ!》

《相変わらずがめついなぁ。》

ア=レイは軽く笑い声を上げて聞き流していたがこちらとしてはいたって真剣だ。何せ今は都市長の座についている。

そして国王ガゼルと『ボラムス』の為に街の発展を目指し始めたのだ。ならば使える者は全て使い、出来る行動は全て起こすべきだろう。

《お前が無欲すぎるんだ!!いや・・・私の体を乗っ取ったりやる事はやってるんだよな・・・》

市民たちは無我夢中で戦っている為操られているなど疑いもしない。そもそもほとんどの人間は誰かに操られるという経験をしたことがないはずだ。

なのでどの国に併合されようとも外敵から街と己の家族を護り通せているという結果があれば深くは考えないのだろう。


《まぁ心配せずともすぐ平穏は訪れるさ。『七神』が『ジグラト』に助力するだろうからな。》


《何?何故だ?》

ずっと一緒に行動しているはずのナジュナメジナには全く心当たりがないのですぐに問いかける。そんな素振りや相談事もなかったはずなのに何故?と。

《マーレッグとダクリバンが討たれたからな。今や『七神』は私を含めて4人しかいない。なのでアジューズが目を付けているセヴァとやらを本気で獲りにいくのだろう。》

名前の出た2人にはたまたまナジュナメジナも会っていた。といってもア=レイが話すところに立ち会うような形だっただけだが。

《ダクリバン・・・『モクトウ』の王か・・・マーレッグといえば『七神』で最も強い奴じゃなかったか?》

《おお。よく覚えてるな。うむ。お蔭で組織としての戦力はがくんと落ちている。》

だとすれば人間側が『七神』を壊滅させる好機でもある。もし自身に自由があれば周辺国に駆け込んで提言したい所だが今はただ黙って見守るしか出来ない。

《ふむ・・・うん?つまり『ジグラト』を使って伸びた芽を摘み取っていくという話か?》

《それもあるが一番の目的は『シャリーゼ』だな。そこに住む魔人族をこちら側に引き入れるべく蹂躙するのさ。脅迫という奴だな。》

せめてその目的くらい引き出せればと思って適当に推論を並べてみたらア=レイはあっけなく答えてくれる。

確かに軍でも労働者でも数が減れば補充するのは当たり前だろう。だが対価とは程遠い脅迫という手段でそのセヴァという人物が仲間になったりするのだろうか?


《護るものが無くなれば固執もしないだろう?我らはそこに賭けたんだよ。》


《う、うーむ・・・・・》

天人族や魔人族は人間とは異なる。姿形こそ似てはいるものの思考や感情にも大きな隔たりがあるのかもしれない。

《あ、そこの数字は2割程削れるぞ。都市を大きくするのであれば官人周辺の支出は抑えるべきだ。》

《・・・お前。それでは人の心が離れていくぞ?》

金にがめついナジュナメジナは己の疑問を遮断しながら書類の訂正を求める。お互いがお互いの対価にずれを感じた後、傍に別の職員らがいるのも気にせず大いに笑い合った。






 「報告は以上です。」

ノーヴァラットが見てきた事を手短に告げると玉座に腰かけていたブリーラ=バンメアは煙管の煙を細く漏らしながら頷いた。

「わかりました。ではこれよりクレイス討伐の命を下します。いつ出立したい?」

相変わらず話が早い。これは彼女の大きな長所だろう。ゆっくり立ち上がった王妃がこちらに近づいてくるのでノーヴァラットは予め用意していた答えを告げる。

「今日中に発ちます。」

「あら?少しは体を休めていけばいいのに・・・若さかしら?」

ブリーラ=バンメアは妖しい動きと香りを漂わせながらまるで頬に口づけをするかのように迫って来るとこちらの胸を片手で強く鷲掴みした。


「でもわかるわ。体が、心が火照っているんでしょ?貴女を引き抜いた理由の1つがこれなんだもの。いいわ・・・とても良い。」


王妃が強弱をつけて揉みしだいてくるのをどう振り払うべきか・・・いや、クレイスを嬲り殺した後にもまだお世話になるかもしれないのだ。

「・・・では私達は準備を終えた後速やかに西へと向かいます。」

心を無にして我慢しつつ早々に退出しようと断りを入れたのだがブリーラ=バンメアにはまだ話が残っていたらしい。

「ほんとせっかちねぇ。じゃあ私からも手土産を持たせてあげる。」

やっと大きな胸から手を離した王妃はそのまま人差し指を軽く回すと玉座の傍にいた側近が何やらかんしゃく玉のような物を仰々しく運んできた。

男の握りこぶしに近い大きさ故に誤爆などすれば至近距離の人間は木っ端微塵となるだろう。

「・・・王妃様。私はクレイスを嬲り殺す予定です。これでは本来の目的が・・・」

するとそのまま左手の人差し指が静かにノーヴァラットの唇へと押し当てられる。

「おほほほほ。ほんと可愛らしいわねぇ。これは体の自由を奪う煙玉。効果は麻痺よ。吸っても死ぬことはないけど自身で吸わないようにだけは注意ね?」

なるほど。情報では傍に『トリスト』の第二王女イルフォシアや正体不明の人物が2人ほど仕えているという。つまり戦力で押し負けた場合や部外者を排除したい時などにも使える優れ物という事か。


「・・・貴女は本当にいい女よ。帰ってきたら是非夫に会って頂戴。そういう目的もあって引き抜いたんだもの。大いに期待しているわよ?」


その真意はわからなかったが王妃の指がゆっくり唇から離れていくとノーヴァラットは静かに頭を下げて感謝を述べる。そしてかんしゃく玉をしっかり預かった後今度こそ謁見の間を退出した。








『ジグラト』へ加担するといっても大々的に行う訳ではない。

そんな事をすればブリーラ=バンメアがより増長するだろうし何より『七神』が表舞台で痕跡を残す事となってしまう。

なので彼らは影から『ジグラト』の侵攻部隊を援助していた。軍がぶつかり合っている側面や背後から魔術、もしくは武術で横槍を入れては勝利を授ける。

まさかそんな強力な助っ人が手を貸してくれているとは微塵も思っていない侵攻部隊は想像以上の戦果により奮い立ち、次の戦場ではそれを大いに発揮するのだ。


あくまで裏から人間を間引く『七神』


その成果もあって『ジグラト』の侵攻部隊は遂にセヴァの居るジェローラの農耕地帯にまで迫っていた。






 「セヴァ。最後の忠告に来た。我々と世界の秩序を護ろう。」


『七神』の1人アジューズは今回仲間のフェレーヴァを連れてこの場を訪れていた。

今の『シャリーゼ』に戦う手段は残されておらず、このままでは『ジグラト』の兵士達に食い荒らされるだろう。

もちろん土地神としてこの場所を2500年もの間護り続けていたセヴァが黙っているはずがない。

『くだらんな。私は私の目が届く者達が幸せであればそれで良い。なので今すぐ帰れば見逃してやるぞ?』

復興された祠の上にすっと姿を現すセヴァはそう言いつつも闘気を纏っている。母に会いに行ってからの帰宅途中に優しい同族の最後を見届けた後も彼女の気が変わる事は無い。


そもそも彼女は過去に300年間ほどそれを憂いで行動していたのだ。


人間とは放っておくとすぐ私欲に走る。それはどのような立場であってもだ。地位や名誉という偽りの器を作り出し、権力を持つものが無価値のそれを崇め奉る事で虚構を着飾る人間が増えていく。

力こそが全てとは言わないが少なくとも金を力と履き違えた者が強権を持つと碌な事にはならない。それこそ目が眩むという表現が正しいだろう。人の命などを二の次三の次に追いやっては己の私腹を肥やすべく他者を消耗していくのだ。

それを目の当たりにしてきたからこそ断言出来る。人の世から争いを無くすことは不可能だし私欲に歯止めを効かせる事も不可能なのだと。

であれば心の消耗したセヴァが選ぶ道は1つしかなかった。


『人など放っておいても勝手に興亡を繰り返すではないか。我ら魔人族や天人族がそれらに関わっても不幸になるだけだぞ?』


我欲に塗れた世界に自ら身を置き無力さを痛感しながら心を磨り減らす人生。セヴァは二度と同じ過ちを繰り返すまいと固く誓ったのだ。

「ならばこそ『七神』の役目がより理解出来るじゃろう?!奴らは我らの安息すら奪おうとする!!現に『ジグラト』がこの地を奪い取ろうとしておるのじゃ!!今立ち上がらずにどうする?!」

裏で手を引いているのが彼らなのだがそこまで吐露する必要は無い。今アジューズらの最重要項目は抜けた組織の穴を埋める事と同時に悠久の時間を共有出来る仲間を手に入れる事なのだから。


『耄碌しておるのか?それがくだらぬと言うのだ。私は私の思う道を進む。お前達のように高慢な精神を宿すつもりはない。去れ!!』


セヴァが強く言い放つとアジューズ達も交渉は失敗したのだと判断する。それから2人も闘気を解放し始めた。

「・・・数千年ぶりに出会えた同族じゃが仕方ない。ならば力尽くで従わせるまで!!」

魔人族、天人族というのは数が少ない。何故なら地上には天族、魔族は暮らしていないからだ。そんな中極々稀に産み落とされる存在は0か1かという程だ。

なので彼らもセヴァを殺そうとはせず捕えて説得を続ける方向で話を進めたいらしい。時間は悠久にあるのだ。気長に待てば心変わりするかもしれないと考えているのだろう。

『・・・舐められたものだ。』

一度は不覚を取ったもののあの時は足手まといが近くにいたからだ。今のセヴァなら何の柵もない。相手が手心を加えるというのならこちらは殺すつもりで戦おう。

覚悟を決めると全身を炎で包み込んで紅く目を光らせる。と同時に彼女の後方からは『シャリーゼ』の農兵達が各々武器を構えて姿を現した。

「ほう?人間の分際で我ら『七神』の前に立つとは・・・中々に命知らずだな。セヴァに唆されでもしたか?」

頬を腫らした男が不思議そうに尋ねてくる。本当なら彼らを逃がしておきたかったのだがこればかりはどうしようもなかったのだ。


「いんや。貴様らが『ジグラト』に加担しており行く先々で横槍を入れては敵を駆逐している話は聞いた。ならば我らは真正面から打ち破ろうと決意したんじゃ!」






 これはセヴァ自身の失言にもよるものが原因だ。

『シャリーゼ』領土に侵攻してきた『ジグラト』軍の動きを見て『七神』が絡んでいると瞬時に悟ったのだがそれを彼らの前で公言してしまった。

だからこそ兵力だけでなく戦力にも雲泥の差がある為すぐにこの地を離れるよう伝えたのだ。無駄に命を散らすべきではないと考えて。だが大実業家のジェローラを始め農民達は戦って護り抜くと言い出したのだ。

『何を馬鹿な事を。お前達では話にもならん。さっさと荷物をまとめて避難せよ!』

「・・・セヴァ様。お言葉ですが我ら『シャリーゼ』の民は代々この地に根を張って生きて来ました。今までは他国の力で護られてきましたがそれが見込めない以上、自分達で自分の居場所を護るのは当然かと。」

「そうです!!この地は我らの地!!ただ好き勝手に進行を許してはご先祖様に申し訳が立ちません!!」

彼らの言い分も理解は出来る。理解は出来るがそれを容認してしまうと恐らく途方もない犠牲が出てしまうだろう。

セヴァだってこの地に根付いて2500年だ。そんな愛着のある地を離れるつもりはないし血で汚したくもないのだ。

『どうしても離れぬというのであれば私が首に縄を繋いででも遠ざける!!』

「ほほう?!土地神様とは思えぬ愚劣な思考ですな?!いいでしょう!!やってみなされ!!ただし我らは必ずこの地に戻ってきますぞ?!」

小さく高齢なジェローラが一番元気に反論してくるのでこちらも言葉に詰まった。というかこの商業都市の民とはここまで気骨のある者達だったか?

部屋の中にいた他の有力者達も固唾を飲んで見守っていたが頑固な年寄りを説得する気が起きなかったセヴァは譲歩の提案をする。


『・・・わかった。ではこうしよう。女子供と老人だけは避難だ。奴らとは戦える者達だけで相対する。いいな?』


「いいでしょう!!我ら『シャリーゼ』の魂を見せつけて御覧にいれます!!」




しかしセヴァはこの時確かに言っていた。女子供と老人だけは避難だと。なのにこの場にはジェローラを含めてそれなりに高齢な男達がいるのは彼らを説得しきれなかった為だ。

「我ら『シャリーゼ』の民はこの地を護る為に各々が立ち上がったのじゃ!!貴様らみたいに姑息な真似ばかりする輩を成敗する為にな!!!」

「かっかっか!!面白いじじいじゃ!!やれるものならやってみぃ!!!」

見た目はさほど変わらない2人が檄を飛ばし合うとそれが合図となってお互いが動き出す。ここまで来たらセヴァも引き返すつもりはない。

例えどれ程の犠牲を積もうとも『七神』と『ジグラト』を撃退、いや、討ち取ってみせようと。ただ1つだけこの決戦において策があった。


それは短期決戦だ。


こちらの人間達は戦いの心得など持っておらず皆が素人同然である。であればやられる前にやらねばならない。持久戦など以ての外なのだ。

アジューズが以前と似たような氷柱を展開し始め頬を腫らせた外套の男もその拳を振るわんとしている。その動きはセヴァの予想を超えていない。


『っはあああああああああっ!!!!』


それを俗に隙というのだ。彼女は長い髪を逆立てさせつつ全ての魔力を放出すると長い間大地に落とし込んでいたものも全て引き上げて地上から強大な火柱をいくつもそびえ立たせる。

セヴァのもつ最大火力を展開し、それを当てる為に農兵が援護する形だ。元々人間の持つ武器の能力には期待していない。『七神』を倒すのであれば『七神』と同じ力をぶつけなければならないのだ。

まるでクレイスの操る水竜巻のように火柱がうねりをあげて2人に襲い掛かる。数は3本。まずは最低でも1人に1本をぶつけなければ話にならない。


ぼぼぼぼぼぼぼっ!!!


その1本がアジューズに命中したが彼も魔人族であり氷の魔術を使う。大きくも分厚い盾のように展開したそれで真正面から受け止めているのはこちらに己の力を誇示する為だろうか。

元々彼はセヴァを引き抜こうと行動していたのだ。この戦いも不本意だからこそあえて防御に徹したともとれる。

だがもう1人の天人族は違った。素早く身を翻しつつ襲い来る2本の火柱をやり過ごすとこちらに急接近して右拳を固く握り締めている。

(これは・・・耐えられるかっ?!)

彼女は一瞬だけ火柱から防壁を作ることに意識を向けたが火そのものが物理的な要因を凌ぐのに向いていない。


ぶほんっ!!


多少密度を濃くした炎の壁を立てたところで天人族は体ごと突き破ってくる。武術は不得手だがこの際そうも言っていられない。

セヴァは彼を真正面に捉えつつ何とかその拳を受け流そうと身構えた瞬間。


ばきぃぃっんんっ!!!


思いもせぬ鋼鉄の壁が2人の間に割ってはいると天人族は拳を引いて間合いを取り直していた。






 「・・・何だ貴様は?」

セヴァから見るとその人物の背中だけは確認出来た。紅い衣装に身を包んで奴の拳を凌いだのは大斧だろうか?大きく奇抜な形をしている為よくわからない。

「ワシは・・・ワシの名なんぞ興味ないじゃろ?まぁ友人の国なんでな。助太刀に来たんじゃ。」

この男も相当な高齢ではあるらしい。頭髪も貯えている髭も真っ白で顔には深い皺が見える。だがその肉体はその辺りの若者を遥かに凌駕していた。

それこそ例えるなら鋼だろうか。腕も自身の腰くらいはあるしどう見ても只者ではない。

『・・・名も知らぬ勇士よ。まずは礼を言う。』

「なぁに。気にするな。確かセヴァ・・・だったか。ワシは見ての通り無骨な戦い方しか出来んでな。農兵は任せたぞ。」

『シャリーゼ』を友人の国と言っていたがどういう関係だろう?それに何故土地神と崇められている自身を知っているのだ?

だが考えるのは全て後回しだ。命を賭してでもこの戦いに勝利をと覚悟を決めていたがこの勇士がいれば何とかなるかもしれない。


どんっ!!


「と、飛んだ・・・っ?!」

農兵の1人がその姿を捉えて驚き叫ぶがそれはセヴァも同じだった。空を飛べる人間がいるのは何となく知っていた。以前出会ったクレイスなどがそうだ。

ただこの紅の勇士はどう見ても魔術師らしくはない。芯から戦士らしい出で立ちなのに地上を蹴って急上昇すると外套を被った男と手にする大斧で戦い始めた。

『好機だ!!!皆の者!!!一気に決着をつけるぞ!!!』

鼓舞を挟みつつ自身も空へ向かうと先程の攻撃を受けてかなりの消耗をしているアジューズに更なる追撃を加える。

といっても未だ減衰していない3本の火柱を使って攻める事が出来るのだ。己の魔力も温存出来ている為不測の事態が起きない限りは負けないだろう。ただもう1人の天人族と紅の勇士の強さが計りきれていないので短期決戦の方針は変わらない。


ぼおおおおぼおおおおおぼおおおおおっ!!!


火柱を三方向から放つ事で退路を絶ちつつセヴァ自身も間合いと隙を見計らって激しく燃え盛る槍を突き立てていく。

攻撃を諦めているのかアジューズは全身を氷で覆うように魔術を展開しているが火柱が当たった瞬間それらは砕け散り体を抉るようにぶち当たる。

それでも火柱の魔力が尽きる事はない。2500年もの間大地に注ぎ込み続けたそれはぶつかっては爆発、反発から多少距離が離れるもセヴァが再度叩き込むのでアジューズは食らい続けるだけだ。

やがて意識がなくなったのか己の力で空を飛ぶ意思を感じなくなる。だがセヴァが攻撃の手を緩める事はなかった。


どごおおおんっ!!どどどんっ!!!どごおおおんっ!!!


三本の火柱がそれぞれ10回の攻撃を終えた後大地に沈んで姿を消す。やっと激しすぎる連撃から解放されたアジューズは意識を失っているのか死んだのか。

無抵抗で地上に落ちていくと受身も取れずにべしゃりと大地に叩きつけられた。その姿を見て地上の農兵達が勝ち鬨の声を上げるもセヴァは急降下してそれを手で制する。

彼は魔人族。己と同じ呪われし種族だ。セヴァも殺す気で攻撃を加え続けたものの未だ息は残っているらしい。


『アジューズ!!私がこの地を離れる事はないし人間達を手にかけるような真似はせんっ!!よく覚えておくんだな!!』


それから更なる勝ち鬨の声が上がるもまだ勝敗が決した訳ではない。セヴァは言い放った後警戒を怠らないようにだけ厳命すると再び紅の勇士と天人族のいる空へと飛んでいった。






 大気が乱れて空が飛び辛い。彼ら2人の戦いはそれほどの動きで攻防が繰り広げられていた。


ばきんっ!!!がんっ!!!ぶおんっ!!!


『七神』の方は完全に無手だ。なのに紅の勇士の大斧を見事に防ぎきっている。ただ彼も天人族の攻撃を凌ぎ切れているのだから相当な猛者なのだろう。

セヴァとしてはさっさと相手を倒してしまいたいが助太刀するにしても2人の動きが早すぎて手を出すのが難しい。

「やはり・・・貴様は『羅刹』だな?まさか空を飛べるとは思っていなかった。」

どうやら紅の勇士は高名な戦士のようだ。間合いが離れた瞬間『七神』が賞賛を送るも『羅刹』がその手を休める事は無い。

「貴様こそヴァッツにやられた傷も癒えぬままよく戦っておるな?」

ところがヴァッツという名前が出て来ると外套を被った天人族の動きが目に見えて荒くなる。先程から頬のあたりがちらちらと見え隠れはしていたがそれが例の傷なのだろうか。

彼が意味を持って挑発したのかはわからない。だが結果として拮抗していたはずの天秤が傾いた。雑に放たれた『七神』の右拳は大斧と相殺、めきゃりという音と共にその形はへしゃげて肉片へと化したのだ。

「うぐっ・・・」

低い呻き声はその傷の深さを物語っているのだろう。『羅刹』も好機と捉えたのか大斧で容赦のない追撃に入るが相手も『七神』の天人族だ。

失った右上半身の攻守は肘を使って立ち回り多少圧され気味ではあったがしっかりと継戦出来ている。


ばっこぉんんっ!!


だが右上半身を狙った『羅刹』の一撃が側頭部に入ると奴の動きは完全に止まりその眼は空を泳いでいた。普通の人間が食らえば頭が消し飛んでいただろうが意識を失う程度で済んでいるのは流石天人族といったところか。

(ここしかないっ!!)

やっと助太刀出来る瞬間を掴んだセヴァは一瞬で炎の槍を3本展開すると一気に解き放つ。相手は天人族。ある程度の回復力は持っているだろうからやり過ぎる位の傷を与えねば安心出来ないのだ。

これもまた人間が食らえば絶命必死なのは間違いない。だがそれらは奴の体に突き刺さる事無く『羅刹』の大斧によって全て凌がれていた。


「セヴァよ。これはワシの戦いじゃ。邪魔をするでない!!」


相手は人間であり自身の年齢の1割すら生きていないはずだ。そんな年下の老人に叱られた彼女は久しぶりの体験に思わず言葉に詰まる。

『・・・す、すまない。だが奴は危険だ。必ず仕留めてほしい!』」

結果短い謝罪とより強い願望を伝えると『羅刹』は力強く頷いて意識を取り戻した『七神』を睨みつける。

「・・・いいのか?今の隙を逃したのは大きいぞ?」

「お主は話が分かる奴だとヴァッツから聞いていた。ならば無理に力で圧し通す必要もあるまい。」

未だ視界かくらくらしているのだろう。左手で頭を抑えつつ外套の下では不敵な笑みを浮かべていたが彼は全く気にする素振りを見せずに答えた。

その甘すぎる内容にセヴァも目を丸くしていたが『七神』も同じ心情だったらしい。


「『シャリーゼ』は我が友アンが心血を注いで育て上げて来た国。そしてセヴァは守り神のような存在じゃ。ワシの目が黒いうちは好き勝手にさせんぞ?」


最後には前女王の名を出してきた事でやっと彼らの関係性が掴めると負傷していた天人族も諦めたのか、この日はアジューズを引っ張って北東の空へと消えていく。


 「・・・といってもすでに2つを失ってしまったんじゃがの。」


『・・・・・『羅刹』殿、とお呼びすればよいか?私と民を助けてくれた事、深く感謝する。』

『七神』が去った後、ぽつりと呟く老戦士に少しだけ間をおいてから礼を伝えるセヴァ。欲を言えば2人の息の根を止めて欲しかったが今日は犠牲も出なかったのだから満足しておこう。

「いや、本来ならもっと前にワシが駆けつけるべきだったのじゃ。」

嵐が去った後2人はやっと落ち着いて顔を合わせる。すると紅の勇士は非常に驚いた表情を浮かべた後、優しい笑顔を零していた。






 『七神』が拠点として使っている北方の小さな島、そこの古びた館には暗い顔をした天人族と魔人族が黙って座っている。

「すまない。私が判断を誤ったんだ。」

開口一番、フェレーヴァは砕けた右拳をそのままに軽く頭を下げて謝罪するとセイドは失笑にも近い溜息をして見せた。

「仕方ないさ。最近のアジューズは言っても聞かないからね。それより『羅刹』っていうの?まさかフェレーヴァと互角に戦えるなんて凄いね。」

「『トリスト』の国王だな。私も間接的に関わっているが彼の国は力ある者を多く内包している。我々もやり方を改めんとこのままでは全滅しかねないぞ?」

久しぶりに顔を出したア=レイは相変わらず醜い人間の体ごと参加していたが口調と声色からは彼らしからぬ危機感を漏らしている。

因みにアジューズはこっぴどくやられた為別室で療養中だ。

「やり方か・・・」

フェレーヴァは天人族の為単騎での戦う力に加えて一定数の人間を操る事も出来る。西の大陸で『ユリアン』公国を打ち破った時もこれが随分役に立った。

だがヴァッツの前には手も足も出ずに敗れ、以降はどの状況に首を突っ込んでも尻尾を巻いて逃げ帰るが続いている。

人間が増長するとそれに合わせて情勢も不安定になるものだが今回に限ってはその力が凄まじい。今まで『七神』が堕ちる事などなかったのに長を含めて4人が消えたのだ。

これは動き方を大幅に見直す時期が来ているのかもしれない。


「・・・ではア=レイから代替案を出してもらえるか?」

あまり頭を使うのが得意ではないフェレーヴァは発案者に話を振ると彼は醜い脂肪だらけの腕を組んで考え始める。

「そうだな・・・私には人を操る力しかないから目立たないようにこれを駆使して人間同士を争わせる、くらいしか思いつかんな。」

「僕も戦うのは得意じゃないし好きでもない。弱いからね。だから黒威の武器を作ってるんだけど・・・もっと生産してより同士討ちし易いよう誘導するっていうのは?」

「お前のは自身の欲求を満たしたいだけじゃないのか?」

「あっ?!ア=レイにだけは言われたくないよ?!」

2人が楽しそうに会話をしている所を見てフェレーヴァは内心深い溜息をつく。確かに『七神』の面々は己の欲望を第一に、人間達を間引く作業はあくまで片手間という考え方だった。

しかしマーレッグは腕が立つ上に強き者と戦う事が欲求だったのだ。その行動は自然と人間を淘汰していた。

ダクリバンも『モクトウ』で長きにわたって国政を操って来た。もちろんその内容は我欲に塗れていたがそれはそれで人間の増長を抑え込んでいた。

ガハバはあまり私欲がなかったものの『東の大森林』で蛮族達に崇められていた為、時折彼らに争いの種を蒔いていた。

対して今残っているア=レイは商人ごっこから都市長ごっこに移っておりセイドの武器も生産に時間がかかる為中々成果があがらない。更に困った事に2人は本当に戦いが弱いのだ。

一番最初に亡くなるかもしれないと思っていた2人だったが蓋を開ければそんな2人が生き残っている。

ただよくよく考えてみると戦いが苦手故に前線に姿を現さないのだ。だから命が脅かされる可能性も低いのだろう。


「とにかく『シャリーゼ』側には『トリスト』がいるのだろう?であれば『ジグラト』の兵士を『ネ=ウィン』にぶつければいいじゃないか。同時にセイドの武器も各地にばら撒く。我らの寿命は長いんだ。少しずつでいい。焦らず削っていこう。」


「・・・・・そうだな。少し焦り過ぎていた部分はあるな。」

『七神』の仲間を半分失った事実と己の頬の傷がそうさせたのかもしれない。こういう時冷静なア=レイの意見はとても頼りになる。

「よし、それじゃ僕も制作を頑張ろうかな。折角今の『ジグラト』にはいい環境が整ってるしね。」


こうして新生『七神』はより裏方からの関与に徹すべく各々が表舞台から姿を消す事になる。

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