Dialog:調査③

 クライアントのササキに「未確認だが確度の高そうな情報を追っている」と強弁して増額経費を前払いさせたジェニーは、その足でケリーとの打合せに向かった。

 打合せ場所は先日のオフィスではなく、その近くにある洒落たレストランだった。店先の黒板に有機栽培野菜だの新型ベジミートだのと書いてあるのを見たジェニーは、途中のヌードルスタンドで昼食を済ませてきた自分の判断の正しさを確信した。

 店に入ると、奥の窓際席に燃えるような赤毛が見える。

「先にいただいてるよ」

「あ、あたしは済ませてきたから」

 ふん、と頷いただけで、ケリーは食事にもどった。山盛りのサラダに麦粒の入ったパン、生白い顔色のくせして「ステーキでござい」というふうに皿に乗ったベジミートには、なんのソースもかかっていない。

「いつも思うんだけど、味するの?それ」

 店員の勧めるままにジャスミンティーなど頼んだジェニーが言った。

「刺激物は直結(コネクト)の邪魔になる」

 サラダを頬張りながら、ケリーが答える。そういえばそんな話はどこかで聞いた。薬物のたぐいは、神経接続の際に端末との同調を乱すとか。

「カフェインとか、スパイスのたぐいも?気にしすぎじゃないの」

「always on the deck.」

「ご立派ですこと…」

 ひとまずケリーの食事が済むまで待つことにして、ジェニーは妙な味と香りのする茶を飲みながら旧友を眺めた。今日は黒いチュニックではなく、白いシャツとグレーのパンツ姿だ。ただ、首や指には大振りなアクセサリをつけているのでOLには見えない。

 緑の野菜をせっせと口に運んでいるのを見てると、相手がなんだか珍しい草食動物のように見えてくる。派手な毛皮で、アマゾンとかに住んでいる…

「なに」

「別に」

 無遠慮な視線を訝るケリーをごまかす。

 食事が終わり、さっそく状況をかいつまんでケリーに話す。SOC社を相手にすると話した時には目の奥に喜色が浮かんだが、最終的には気むずかしげな顔で腕を組む姿勢に落ち着いた。

「ていうことで、あんたにはチェルシーが探してたっていう記憶屋を探してほしいの。きっとそいつが情報を持ってる」

「それだけのためにあたしを?」

 ケリーはテーブルに肘を付き、手に顎を乗せてジェニーを見た。

「もちろん、それは手始め。状況次第だけど、十中八九、もっと本格的な仕事を頼むことになると思う。そのために増額経費をぶんどってきたんだから」

「そりゃいい心がけだ」

 そう言いながら手のひらを差し出す。ジェニーはそこにコイン型の暗号化小切手素子を乗せた。記録に残る電子取引は使わず、書類も作らない。小切手素子も厳重なロンダリング工程を経てケリーの口座に収まるのだろう。金額こそ動いているものの、これは友人同士の口約束なのだった。

「それで『鍵』はどこで手に入れたの?」

「ん?」

 コインをポケットに収めながら何気なく言ったケリーの言葉に、ジェニーは素っ頓狂な声を上げた。

「鍵?」

「鍵」

 気まずい沈黙が降りる。ケリーの眉がぴくりと引きつった。

「…記憶屋は脳にデータを預かるだけで、その中身はわからない。客はデータを預けるときに、引き出しのための『鍵』を任意に用意する。パスワードとか、そういうもの。そいつがなきゃ記憶屋の頭からデータを引き出すことはできない。…知ってるよね?」

「あ」

 ジェニーが「今思い出した」という顔をした。

「あーはいはい」

「なにが「あーはいはい」だボケナス!」

 洒落たレストランにケリーの罵声が響き渡った。

「データ引き出すアテもなしに記憶屋だけ探してどうするつもりだ!奴らが口から話して聞かせてくれるとでも思ってたのか!?」

「ちょっ、声でかっ」

 数人の客と店員がこちらに白眼を向けているのを察して、あわててジェニーが宥めにかかるる。しかしケリーは止まらない。

「だいたいお前は昔から思いつきで動きすぎだ!下調べとかそういう事を習わなかったのか!?おおかた刑事やってた頃も、頭脳労働はその相棒に任せっきりだったんだろ!ホント昔から進歩がないな!すいませんジャスミンティーおかわり!」

 罵倒の最後にオーダーを付け足して、ケリーはようやく矛を収めた。

「…ごめん」

 憮然とした表情のケリーに向かって、ジェニーは頭を下げた。が、そのまま上目遣いで相手を見上げる。

「でもさ、情報不足なのは事実なんだよね…とりあえず、その記憶屋にもちょっと話を聞きたいのよ。チェルシーからなにか聞いてるかもしれないし。『鍵』を探すのはそれからでも遅くないでしょ。手付金でも払って、フォーマットは待ってもらうことにしてさ」

 記憶屋のストレージも無限ではない。データを預かっている間に依頼主が死ぬなどの事態に対応するため、大抵の記憶屋は預かり期限を設定している。それを過ぎたデータはフォーマットされ、次の仕事のための空き容量を確保するのだ。

「…その調子の良さ、いいかげんどうにかしろ」

 それだけ言ったが、ケリーはそれ以上は文句を言わなかった。

 店員が恐る恐るジャスミンティーのおかわりを注ぐのを待って、ジェニーは口を開く。

「それじゃとりあえず、記憶屋の方はお願い。あたしはもう少し調べることがあるから」

「まず『鍵』を探せ。話はそれからだ」

「いや、そうなんだけどさ」

 苦笑いするジェニーを、ケリーは訝しげに見る。

「依頼人の方も少し調べておこうと思って。サカベのおっさんに言われたからじゃないけど、たしかにちょっと胡散臭いかな、って今になって思ってさ」

 湯気のたつジャスミンティーを啜っていたケリーが、にやりと笑う。

「今しがた経費をぶんどってきた相手を、これから調べるってわけ?」

「あたし顔に出るからさ。調べる前に巻き上げとこうと思って」

 ケリーはケタケタと笑った。旧友の機嫌が治ったのを見て、ジェニーは安堵した。



 ケリーの仕事は早かった。ランチの打合せから三日目に、くだんの記憶屋を特定したという連絡が、新調した携帯端末に入ってきた。

『名前はタカヒロ・リー。まちがいなく偽名。南2区、ドルフィンストリート近くの「ウエスカ」。前から疑問なんだけど、なんでこの街の地名は酷いのばっかりなんだ?』

 ケリーの仕事終わりに合流することにして、集めた情報をざっと整理した後、日が沈む頃になってジェニーは部屋を出た。渋滞を横目にバイクを飛ばす。

 ビルの前にバイクを停め、スクールのフロアに上がる。事前の連絡どおり、ケリーはフロアのエントランスで待っていた。

「ほい」

 予備のヘルメットを渡されたケリーが露骨に嫌な顔をする。

「2ケツ?」

「なによ。嫌なら歩く?」

 ケリーは渋々ヘルメットを受け取った。エレベータの中で、自分の頭と髪をなんとかそれに収める。

 ビルの前に出て、ジェニーは早速バイクのエンジンをかける。ケリーは不器用に後席にまたがり、ジェニーの腰に手を回した。

「なつかしいね。三人の頃を思い出す」

「いいから早く出せ」

 不機嫌そのものといったケリーの返事に肩をすくめてから、ジェニーは走り出した。


 周囲の雑然とした街並みの中では、「ウエスカ」は比較的小綺麗な店だった。名前の通りスペイン風の飲み屋で、料理もそちらのものを出すらしい。

 店のドアをくぐったところでヘルメットを脱ぎ、指定された奥の席についた。

「時間は?」

「少し早い。中で待とう」

 つまみとソフトドリンクを頼むジェニーの前で、ケリーは堂々とシェリーを注文した。

「飲めない人間の前で酒を注文する気分はどう?」

「これこそ人生の醍醐味だね」

「帰りにバイクから落ちても知らんからな」

 他愛のない話をしながらシェリーの一杯目が空になった頃、男が店に入ってきた。アジア系。若い。短い黒髪で、暗色のジャケットに細身のパンツ。足元のスニーカーがミスマッチだ。

「あいつ?」

 ジェニーの問いに、ケリーが頷く。

 むこうもこちらを見て取ったらしい。テーブルの前まで歩いてくると、笑顔を見せた。

「表のHRZ−Eはあんたたちの?」

 そう言いながら、手近の席から椅子を寄せて、二人のテーブルに割り込む。

 ケリーがジェニーの方に顎をしゃくって見せた。

「すげえな。純エタノールエンジンなんて最近そうそう見かけないよ。燃費かかるでしょ。いやでもイイ音するんだろうな。俺もさ、一稼ぎしたらああいうやつをガレージに」

 ジェニーがグラスを持ち上げ、テーブルを二度叩いた。男が黙る。

「まず自己紹介してもらえるかな、ぼく?」

 ジェニーの怒気に悪びれるでもなく、男は小さく舌を出して苦笑いした。

「こりゃ失礼。あんまりいいバイクなもんだから。えーと、連絡くれたマーシアさんはどちら?」

 ケリーが、いつの間にか注文していた二杯目のシェリーのグラスを挙げた。

「てことは、そちらが依頼主のコリガンさんね。はじめまして。記憶屋のリー・タカヒロです。偽名だってことは察しがついてるだろうけど」

 あっけらかんと言ってのける男に、ジェニーは不審の念を隠さない。

「ねえ、ホントにこいつなの?」

「あたしを疑うわけ?」

「ヤナカさんの事を聞きたいって話ですけど?」

 話を切り出すタカヒロに、ジェニーが渋面のまま答える。

「まあ、ね」

「今度のことは、ご愁傷様です。預かったデータはまだ頭の中にありますよ。伝言も預かってたし」

 ジェニーが身を乗り出し、つまみの皿が音を立てた。

「伝言!?」

「ええ。もし自分に何かあって、相棒が尋ねて来たら教えてくれ、って」

 ジェニーは唖然とした。ケリーも意外そうな顔でグラスを置く。

「なにも聞いてないんですか?ホントに秘密の調査だったんだな…ヤバい話だろうってのは雰囲気でわかったけど」

「それで」

 声が上擦りそうになりながら、ジェニーは促す。

「…あいつ、なんて?」

「たぶん、『鍵』の事だと思いますよ。ちょっと待って…」

 タカヒロはジャケットの懐をさぐると、小さな装置を取り出した。葉巻ほどの形とサイズで、丸めたケーブルが繋がっている。

「一応、データ取り出しの準備をしときます」

 ケーブルをほどき、端をつまんで首筋にもっていく。黙って眺めていたケリーが口を挟んだ。

「アシハラの420か。いいの入れてるね」

「まだローンが残ってますよ」

 そう言って笑いながら、首筋のジャックにケーブルを繋ぐ。それから葉巻型のデバイスの先端をひねる。オレンジのLEDが小さく光った。

「これでよし。音声でもいいですし、必要ならキーボードもありますから。で、その伝言っていうのが…」

 タカヒロは思い出そうとするような素振りで天井を見る。あるいは勿体ぶっているのか。苛立ちと焦燥を、ジェニーは必死で押さえ込む。

「えーと…『三年目の夏。ミラージュブリッジ。カーラジオ』。そう言ってました」

 一瞬の沈黙。ケリーが「は?」と声を上げる。

「それだけ?」

「それだけ」

 ケリーは音を立てて椅子に背を預け、シェリーをあおった。

「『鍵』のヒントか。けどこんな曖昧な単語だけじゃどうにもならないな。…ジェニー?」

 水を向けられたジェニーは、目を見開いたままタカヒロの方を見ていたが、やおらデバイスを掴み取ると声を荒げた。

「これ、このまま喋ればいいの!?」

「え、あ、ちょっとまって」

 思考トリガーが反応し、オレンジのLEDが赤に変わる。

「どうぞ」

 ジェニーはひとつ深呼吸をすると、デバイスに向かって口を開いた。

「Get a grip of yourself. it don't cost much.」

 一秒ほどの間を置いて、LEDが緑に変わった。

「御名答!」

 タカヒロが大袈裟に手を叩く。ジェニーは脱力してデバイスをテーブルに置いた。

「昔の曲の歌詞かなんか?…まあ詮索はしませんよ。さっそく取り出しましょう。メディア持ってます?」

 ケリーがタカヒロに小型メモリを投げてよこした。なにが気に入らないのか、妙に不機嫌だ。

 タカヒロはデバイスのジャックにメモリを繋いだ。数秒間LEDが点滅し、また安定する。

「これでよし、と。はいどうぞ」

 ジェニーはメモリを受け取る。手の中のそれを、しばらくじっと見つめていた。

「それじゃ、ぼくはこれで。支払いは連絡したところに」

 タカヒロがそそくさと立ち上がる。顔を上げたジェニーより早く、ケリーの方が応じた。

「わかってるよ。ご苦労さん」

「何かあったら声かけてください。お役に立ちますんで」

 それじゃ、と言ってタカヒロは出入り口に向かい…その足が止まった。

 店の窓から、四人の男がこちらに向かって来るのが見えた。明らかにカタギの風体ではない。ジェニーの見たところ、全員が服の下に武器を隠し持っている。

「おい」

「隠れてて」

 ケリーにそれだけ言って席を立つと、ジェニーは窓の外を見ながら棒立ちになっているタカヒロに声をかけた。

「ちょっと。あんたもどっかに隠れて…」

 ジェニーが言い終わらないうちに、タカヒロは猛然と身を翻すと、カウンターを飛び越えて店の裏手に姿を消した。店主も慣れたもので、記憶屋が駆け出したときには厨房に繋がるドアを開けていた。コネのある店なのだろう。

「…なるほど、優秀だわ」

 そう呟いてから、ジェニーは店を出た。

 いかにも帰ろうとする素振りでバイクに近づく。視界の端で男たちが何か囁きあい、こちらに向かって来るのがわかった。

「ねえちゃん、ちょっといいかい」

 四人組のひとりが声をかけた。ジェニーは足を止め、バイクを背にして向き直る。

「何か用?」

 ジェニーの無愛想な返事に、声をかけた男が前に出た。

「ジェニー・コリガンってのはアンタか?」

「…だったら何」

 男がニタリと笑う。ヒキガエルのような口元が更に大きく見えた。

「立ち話もなんだ、どっか入らねえか。いい店があるんだよ」

「悪いけど、今日はもう帰るところなの」

「そうつれない事言うもんじゃねえぜ、なあ…」

 ヒキガエルが懐に手をやる。それと同時に、後の三人も同じ動きをした。

 だが、ジェニーはそれより早かった。

 ジェニーはすでに、バイクのカウルの内側に手を突っ込んでいた。そこから引き抜かれた黒々としたものが、立て続けに三度、轟音とともに火柱を上げた。

 男達のうち三人が吹き飛ぶ。

 ただ一人立っているヒキガエルは、懐の銃を掴んだまま硬直していた。ジェニーはその眉間に、引き抜いたものを突きつける。ソウドオフしたセミオート・ショットガンだ。

後ろで倒れた男達が、か細いうめき声を上げる。

「一応、非殺傷(ノンリーサル)のゴム弾だから死にはしないでしょ。まあこの距離だとアバラの二、三本は折れてるだろうけど」

 ああでも、と言って、ジェニーは目の前の男に微笑んだ。

「頭を撃ったら、首が折れるかもね?」

 ヒキガエルは銃から手を離し、両手を上げた。顔面にはおびただしい脂汗が浮いている。

「依頼人は誰?」

「し、知らねえ」

 ジェニーは一歩前に出た。まだ白煙を上げる銃口が額に押し付けられ、男は喉の奥で悲鳴を上げる。

「ほんとに知らねえ!親の組からの命令なんだ!あ、あんたの持ってるネタを奪えって。それさえ取ったら後は殺していいってよ。詳しい話は知らねえ!」

 必死の形相で弁明する男を、ジェニーは無表情で眺めていた。嘘は言っていないだろう。

「友達つれてさっさと帰って。次に顔を見たら、ゴム弾じゃなくて10mmをぶち込む。いや、12ゲージのスラッグ弾かな」

 男が小刻みに首を縦に振る。ジェニーはショットガンの銃口を離すと、流れるような動きで脇の拳銃を抜いた。

「こっちは実弾。妙な動きをしたら撃つから」

 男は泣き出しそうな顔で後ずさると、まだ横たわっている仲間二人を引きずっていく。もうひとりはなんとか立って歩けるようで、よろめきながらそれを追った。

 四人が薄汚れたワンボックスカーに乗り込み、荒い運転で去っていくのを見届けてから、ジェニーはようやく銃をおろした。拳銃をホルスタに収め、ショットガンをカウルの内側に戻す。

 店の中に戻ると、ケリーは店の床に直に座って、三杯目のシェリーをあおっていた。

「それ気に入ったの?」

「悪くない。ボトルでもらって帰ろうかな」

「あんたカフェインもカプサイシンも除けるのに、アルコールは好きだよね」

 ケリーは肩をすくめるだけだ。

「で?」

「何が?」

「さっきのチンピラはどっから湧いてきたのかって聞いてんの」

 ジェニーはああ、と言って外を眺める。

「朝からあたしを尾けてたよ。ド素人だからすぐわかったけど」

「はぁ!?」

 ケリーが床から立ち上がった。すでに相当飲んでいるはずだが、足元に乱れはまったくない。

「それを撒きもせず、ここまで連れてきたってのか!?」

「依頼人を聞き出したかったんだけどね。下請けでなんにも知らなかったよ」

「そういう事を聞いてるんじゃない!」

 ケリーが興奮して声を荒げる。

「あたしも顔見られただろうが!」

「ヘルメットしてたから大丈夫だよ。まあでも、しばらくはちょっと気をつけたほうがいいかな。署に話通して、パトロール増やしてもらうよ」

「辞めたんだろ、警察」

「善意の市民の要請だよ。このくらいは」

 顔を覆ってため息をつくケリーの肩をぽんぽんと叩く。

「大丈夫だとは思うけど、まだ監視がいるかも知れない。あんたも記憶屋の逃げたルートで出たほうがいいね。頼んで使わせてもらおう」

「…あんたは自宅も割れてんじゃないの」

「あそこは平気。署の推薦で入った部屋だよ?何かあったら二分で戦術チームがなだれこむ立地だもの」

 ジェニーはカウンターに歩み寄ると、先程から黙念と状況を見守っていた店主に、輪ゴムでまとめた現金を差し出す。店主はしばらくジェニーの顔を見ていたが、やがて黙って厨房のドアを指してみせた。

「これももらうね」

 ジェニーは棚からシェリーの大瓶を一本取ると、ケリーの胸に押し付けた。自分のキャスケットを脱ぐと、それを目深にかぶせる。

「さ、行った行った。モノレール使って、人通りの多いところを歩いて」

「あんた、なんでそんなテンション高いの?」

 ケリーがうんざりしたような口調で聞いた。

「そりゃ仕事が大きく進展したんだし。それに…」

「それに?」

 ジェニーはにやりと笑って、答えた。

「今日の件をタテにすれば、危険手当もぶんどれるでしょ?」

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