第31話 本業


「ああ・・・素晴らしい力、これが生まれながらに備わっている存在、それが神なのか、ああ」


男にはどこかに怒りにいた感情が湧き上がった。自分がこう生まれてこなかった事が悔しく思えたからだった。


「だが、とにかく・・・神鬼の所にもどるしかない。」


そう考えたとき、かなりの恐怖が龍の長い体を流れるように走った。だが自分の力に変化はなく、尽きるような感も全くない。あれから数時間はゆうにたっているのに、疲れもない。


「まあ、とにかく何が起こっても受け入れるしかない。神に毒を盛った男として、地獄に行く覚悟もあるのだから」


龍は急降下して、神鬼の目の前に自分の姿として立った。


「心をお決めになりましたか? 」

「何の心でしょうか? 」

「神になる事をです」

「え? 」


男は驚いた。罰を受けるとしか思っていなかったからだ。


「神の力は十分に感じられましたか? 」

「はい・・・本当に私が神に? 」

「受け入れられますか? 」

「もちろんです!! 」

「わかりました。それでは始めましょう」

「何をですか? 」

「神の仕事の手順をお教えしなければなりません」

「手順? 」

「まずは簡単な事から」


神鬼は前と同じように彼に手をかざすと、


男は龍になる力を与えられた時とは真逆で、同じと所にずっと立ったまま、何を見ているわけでもなく、力が全く抜けたようになっていた。


その様子がしばらく続いたあと、急に


「やめろ!! 何故そんな小さな子を殺すんだ!! 」


叫び始めた。








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