第516話 認知戦からの空想

 今回はちょっと打ちのめされた話。

 本当は見る気がなかったのですが、冒頭だけチェックしたらそのまま最後まで見てしまったテレビ番組があった。NHKの、中国企業から流出した文書に関するレポートです。冒頭はサイバーテロ的な様相についての内容なのですが、終盤になるとSNSを使った「認知戦」に関する内容になった。

 僕もXを使っていて感じたけど、何故そこまでリポストやいいねがつくか分からないポストが散見される。その全てではないけど、一部はbotによる相互評価による偽装であるのはリアルに想像できる感触だった。

 僕もできるだけ注意しているけど、海外の事情に関するSNSでの情報は、かなり注意しないと容易に乗せられてしまう気がする。まず、現地の実際がわからない。相手の話している言語もわからない。もちろん相手の顔も見れない。全てが信じられない、全てを信じない、という姿勢はそれはそれでまずい状況ですが、間違った情報を信じたり、拡散したりするのもやはりまずい。

 これはまったくの僕のこの場でのテキトーな創作ですが、「ネット小説陰謀論」としても認知戦のロジックは当てはまりそう。例えば同じジャンルを書いている人が相互評価していくと、決定的な爆発力はないものの、ある種のストリームを形成することはできそう。他にもランキングは相互評価で支配できそうな気もする。まぁ、それはルール違反ではないわけだけど。たまにカクヨム上での読者選考のコンテストの「中間選考通過」みたいなのをアピールする人がいるけど、相互評価が当たり前になると読者選考の中間選考はそのまま社交の結果になってしまうようにも見える。

 ネット上でのネット内におけるトレンドや評価は、数の力で何とかなってしまうとすると、ネットと現実の乖離が起こりそうではある。「スノウ・クラッシュ」が想像された時代にはあり得なかったのか、botとかゾンビとかがネット上に現れたことは、かなりネットそのものの根本を揺るがす事態と思われる。誰が真実を口にしているのか、というのを担保するものがなかなか見当たらない。個人的にはネット上のアカウント、全てのサービスのアカウントを実際の個人と紐付けていかないといけないのでは、と思うほど、ネット上でもある種の「認証」が必要になる。そうなるとTwitter時代の認証マークは意味があったな。お金を払って認証してもらうのは、かなり危険と言える。仮に発言内容を審査せずに有料で認証マークを単純に配布すると、botやゾンビが認証マークを持ったり、悪意のあるアカウントが認証マークを手にしてしまう。

 ネットというのは何者でもない普通の人が自由に表現できる場だったけど、結局は何らかの立場を持つ責任のある人間だけが発言できる場になるのかもしれない。よくマスコミを「マスゴミ」と表現する人がいるけど、残念ながら大多数の何者でもない人より、マスコミの中の人の方が重い責任を負っている。一般人は匿名で自由に発言できても、マスコミは社名が明らかなら発言者も責任を求められるし、スポンサーを背負ってもいる。

 僕もとにかく、情報には注意しよう。迂闊なことはしないように。



2024/9/23

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