　ついに待ちに待った瞬間が来た、というのが今回のお話。

　藤井聡太さんの八冠独占、ではなく、永野護さんの漫画「ファイブスター物語」のことです。

　説明を思い切り端折りますが、二十年以上前に連載された部分で、ヨーンくんという少年がいまして、この少年が美少女生体コンピュータの「バーシャ」と出会うことで、人生が捻れていくのです。少年期の最後は、「バーシャ」こそが、黒騎士のパートナーである「エスト」だと分かり、バーシャは、ヨーンくんの前に現れ、重傷を負わせたデコースこそを黒騎士と認めて、ヨーンくんの元から去るのでした。それからヨーンくんは色んな人と会いつつ、青年になり、ついに黒騎士デコースと一騎打ちになるものの敗北。もはや再起不能かと思われたところで、最新の連載分で、バーシャと決別し、正式に剣と「GTM」と作中では呼ばれるロボットを受け、騎士となる決意をしたのでした。

　これも説明が難しいんですが、「ファイブスター物語」は常に先に起こることがおおよそ分かっていながら、それが実際に漫画になるのを待っている、というところがあります。現時点ではヨーンくんとデコース、もしくはエストとの決着も気になりますし、すでにエストは次にジークという青年をパートナーにするのが分かっているので、どういう経緯でそうなるのかを待っている形です。他にも、ジークはどうやってフィルモア帝国の新しい皇帝になるのか、とか、いずれ来るスタント遊星における戦闘とはなんなのか、とか、天照帝が星団を全て平定する理由はなんなのか、とか、とにかく話題には事欠かない。そう、魔導大戦のハスハを解放する戦いの場面で何が起こるのか、も気になる。誰がマキシの乗るGTMを破壊するんだろう？　カイゼリンに乗るデプレだろうか。

　というわけで、二十年近く、ヨーンくんがいつミラージュ騎士になるのか、待ち続けたのがやっと解消された。このまま早くデコースと決着をつけて欲しい。というか、早く魔導大戦が終わって欲しい。ボスヤスフォートって、どうやったら死ぬんだろう？　いやいや、それはそれで気になるけど、もはやそれは些事というか。他にも、黒騎士がどう継承されるかとか、詩女に関する設定とかも非常に気になる。そう、デコースとマドラの息子のヴェルベットがどう成長するかも気になる。

　こうやってまた二十年くらい待って、漫画になった時に安堵するのかな。果てしないな。

2023/10/12