第429話 他人に夢を見る依存

 今回は自分自身に呆れた話。

 乃木坂46の四期生の北川悠理さんの卒業が発表されまして、信じられなかったし、愕然とした。これが気落ちか、というほど、今まで感じたことのない、まさに「気落ち」を自覚した。

 説明が難しいんですが、北川悠理さんが最推しだったわけではないんです。ちなみに最推しは弓木奈於さんです。で、なんで北川悠理さんの卒業がそんなに心に重く響いたかといえば、そろそろ選抜に顔を見せるだろうな、と思っていたからです。単純なようですが、僕の中では、僕の勝手なストーリーがあって、四期生の金川沙耶さんや弓木奈於さんが選抜に入ったり、林瑠奈さんも選抜に入ったりして、ここまで来た時に勝手に僕の中で、次は北川悠理さんが来る! というところがもう、確定的な未来だったわけです。それがもう起こり得ない、となってしまうと、ちょっと、言葉にならない。

 僕はここのところアイドルが好きだし、同時に名前を理解した人がどんどんと卒業しているわけですが、今回は今までにないショックだった。どうやら僕は北川悠理さんの未来を勝手に組み立て、その時が来るのを夢見ていたらしい。無意識、無自覚の依存があった、というか。それに気づいてしまったことも、ショックだった。自分自身に呆れたというか。

 もっと自分自身に夢を見ろよ、と思いましたね。本当に、切実に思った。

 誰を応援してもいいし、そこに夢を託しても良いんだろうけど、それが雲散霧消した時、ただ呆然と立ち尽くすしかないなら、もっと自分自身に期待をかけて、手間も暇もかけて、自分自身で何かを成し遂げた方が良いと、やっと実感として分かった。

 それにしても、ここまで女の子に何かを任せている自分がいるなんて、想像もしなかった。自分では、もっとドライで、きっちり割り切っているつもりだった。まったく、嘆かわしい。知らず知らずのうちに身勝手な未来を、アイドルの女の子に押し付けているなんて、度し難い。

 ともかく、北川悠理さんの今後のご多幸を願って、ということになります。夢を見させてもらったことには感謝しかない。残念ではあるけれど、それこそ、そこらにいるおじさんの妄言です。誰だって、自由に選択できる未来があるのですから。

 いやはや、僕も弱くなったな。もっと自分の中にあるものを大事にしたい。



2023/5/21

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