第427話 世界が変わる時
今回は、ぼんやり考えたこと。
最近、なんとなくAKB48の一枚目のアルバム「SET LIST」を聞いていて、記憶が蘇ってきた。最初、「Dear my teacher」という曲が引っかかって、そこからハマったのですが、今になってみると曲も歌詞も素朴だし、ダンスの振り付けも簡単に見える。
あれからもう二十年近いけど、アイドルの概念というか、エンタメの感覚がガラリと変わったように思う。アイドルに関して言えば、歌も変わっただろうけど、ダンスの振り付け、衣装、MVなど、かなり変化している。似た感じでは、K-POPが、というかBTSが爆発的に売れた辺りから、男性アイドルのテイストも変わったように見える。
それってライトノベルにも言える気がして、僕の感覚での「節目の作品」はあるけど、それよりも大きなスケールで、ゴリッ! と何かがずれたようにも思える。
僕の中でのライトノベルは実はもう存在しない、ような気もする。それは寂しいけど、個人的な感傷だし、他人の共感が欲しいわけでもない。こんなライトノベルがあったんだぜ! とか、これこそが真のライトノベル! とか、そんなことを言う気もない。ライトノベルが読みたいと思えば、手元にあるボロボロの文庫本をひらけば、それで事足りるので。
ライトノベルに起きた変化の最たるものは、「無料」になったことと、「作品が溢れた」ことですが、変な話ですが、ライトノベルこそが「一般」になった、という気もしますね。誰が読んでいるか、が変化したような、しないような、不自然な感覚がありますが、ともかく、ライトノベルは普通になった。
近いものを探すと、アニメ、ですね。今の時代、アニメをまったく見ない、という層はかなり硬派か、偏見の持ち主になってしまう。個人的に、昔はそれこそ「名探偵コナン」がある種の分水嶺にも感じられたけど、必修科目的なアニメが、「鬼滅の刃」や「呪術廻戦」、「チェンソーマン」、「僕のヒーローアカデミア」などなど、枚挙に暇がない。アニメは娯楽として市民権を得たし、もしかしたら基礎教養になるかもしれない。
不思議なことにアニメも「無料」で、「作品が溢れて」います。アイドルもやはりあるところまでは「無料」で摂取できるし、いろんなグループが「溢れて」いる。
これはあるいは、ハードルがほとんどなくなったことで、それまでになかった消費者が流れ込んで、その流れの中で、コンテンツが変わった、ということだろうか。しかし、うーん、音楽やアニメはともかく、小説は作品を摂取するのに時間と手間がかかるけど、どうなんだろうか。
もう一点、アイドル、ライトノベル、アニメに関して、共有されている要素があります。それは、「恥ずかしくなくなった」ということです。大人が十代のアイドルに必死になるのも、ライトノベルを読むのも、アニメを視聴するのも、何ら恥ずかしくない時代になった。これを考えると、かつてはエンタメというものには常に新規の人を尻込みさせる何かがあった、と思われる。縄張りのようなものです。それがなくなった時、エンタメは変化するのかもなぁ。
2023/5/17
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