第412話 手順を踏むか、踏まないか

 今回は将棋の手順の話、ではなく、順番の話。

 村上春樹さんの新刊が出まして、まぁ、いつかは買うだろうな、という態度です。

 これをいきなり買うことにならないのは、「騎士団長殺し」を読んでいないからです。しかし「一人称単数」は読んでいる。つまり、順番はすでにガチャガチャです。ちなみに村上春樹さんの作品で初めて読んだのは「アフターダーク」で、そこから「世界の終わりのハードボイルドワンダーランド」か「ダンス・ダンス・ダンス」へ行こうとして失敗して、「風の歌を聴け」から仕切り直した気がします。ただ「ノルウェイの森」はかなり早く読んだかな。

 例えば塩野七生さんなんかも好きで読んでいますが、「チェーザレ・ボルジア あるいは優雅なる冷酷」が面白いと聞いたり、「ローマ人の物語」が面白いと聞いたりして、結局、「チェーザレ・ボルジア」で様子を見て、それから「ローマ人の物語」へ行き、その後はかなり順番を無視して読みました。本来的には早めに「海の都の物語」を読むべきなんでしょうけど、まだ読んでません。

 そんな順番の乱れは音楽にもあって、ヨルシカを「だから僕は音楽を辞めた」から入り、「エルマ」、「盗作」に進んでから、ミニアルバムの「負け犬にアンコールはいらない」、「夏草が邪魔をする」を後から買いました。

 音楽はともかく、小説、あるいは作家を追いかける時、刊行順に読むかどうかは、かなり悩ましい。シリーズだったら絶対に一巻から読むしかないのですが、例えば小野不由美さんの「十二国記」みたいに入れ替えた方が理解しやすくなる作品もあって、うーん、どこかにそういう本もあるのだろうか。

 村上春樹さんはどうにも、ひときわ、難しいようにも思う。テイストが少しずつ違うので。しかし、意外に一本の筋のような流れはあるような気もする。春樹の進化、というよりは、春樹の迷走、という筋が。

 これは僕の中での絶対なのですが、森博嗣さんのS&Mシリーズからの世界観の作品は、刊行順に読むのが良いと思う。S&Mシリーズ、Vシリーズは良いのですが、Gシリーズ、Xシリーズは順番が入り組んでいって、しかし、その入り組んだままに読むのが良いと思う。森博嗣さん自身は、読者のお好きなように、という姿勢だと思うけど、読者としては、順番通りに、が良いと思う。いきなり脱線しますが、「オメガ城の惨劇」が気になっている。文庫になるのをひたすら待ちます。

 とにかく村上春樹さんはなんとか、順番通りに読みたいところ。と言いつつ、本音を言えば文庫化を待つ間に「騎士団長殺し」を読もうかな、という感じです。



2023/4/23

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