第392話 予想外にすごい音楽
今回はまた音楽の話。
最近のガンダム熱の高まりに合わせて「機動戦士ガンダム 水星の魔女」を確認してますが、エンディングテーマがシユイさんの「君よ 気高くあれ」という曲で、これが意外に強い、良い曲です。オープニングテーマがYOASOBIということで注目されがちですが、シユイさんもなかなか良い。歌詞も響く。夢が呪いになる、というのは作品と絡めてるとは言え、共感できるし、ラスサビ前の、夢は憎しみになるのも、分かるぅ! という感じです。この曲は久しぶりにぶつかった、もっと評価されるべき! という曲です。
僕はなんとなくTikTokから距離を取ってるので、何が流行ってるかとか、あまり知らなかったのですが、HoneyWorksさんの作った「可愛くてごめん」という曲があって、早見沙織さんが歌ったこともあり、なんとなく聞いたら、とんでもない部分があった。なんというか、この曲のほとんどは何でもない、軽い内容に見えるんですが、周りとは趣味が違う自分に対して「自分の味方は自分でありたい、一番大切にしてあげたい、理不尽な我慢はさせたくない」と表現するところがあって、それ! まさにそれ! と思った。周りに理解されないと、自分で自分を疑うこともあろうかと思うけど、自分で自分を認めるのは必要なことなのでは。世間では自尊心なんて表現もあるけど、そんな堅苦しくて大袈裟なものじゃなくて、素朴で簡単なことからでも、自分を守ることは必要だな、と思いましたね。
僕はアニソンを聞く場面が多いけど、歌詞表現はジャンルなんて簡単に横断していて、それはすごく興味深い。これはきっと小説でもそうなんだけど、文体とか語彙とか、形容詞云々とか、それぞれのジャンルにふさわしいスタイルはあるものの、結局は何を描きたいか、何を提示したいか、というところが最も重要なんでしょうね。
作家に何かしらの限界が存在するのか、という議論はよくあるけど、ミステリ作家もいつかはトリックを出し尽くし、SF作家は空想の井戸が枯れ、文学者は言語表現に行き詰まるとしても、おそらく小説で描かれるべきものは尽きることがない。描かれるべきものは、感情、ということになるけど、あるいは、感動、かもしれない。これは人間の精神がある限り、存在するし、新たに切り拓かれると思う。
何かを描こうと思った時、何が残っているかよりは、何が自分の中にあるのか、何が隠れているのかを考えた方が、あるいは面白いかも。夢が憎しみになることを、僕は理解できたし、自分の趣味を守る感情も、やはり僕に理解できたように。
2023/3/3
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