第391話 言葉を弄する方法に言葉を弄する
今回はたまたま目にして、ちょっと引っかかった話。
ツイッターで好きなプロの作家の人が、よく分からない編集者のツイートを引用してて、それが「バトルシーンの書き方」についてだった。
あまり深入りしなかったけど、もしかしてミステリ界隈だと、「トリックの作り方」とか「ミスリードのやり方」とか、あるのかな。SFだと「世界説明のやり方」とか「宇宙船らしく見せる専門的っぽいワードはこれ」とか。
僕が最初からしてこの「○○の○○する方法」に懐疑的でお勧めできないのは、まずSNS上でそういう発言する人の何割かは、ネット小説で遊んでいる素人の意見です。そして、もしそこからその人が書いたものを読んで勉強しようとするのも、やはり危険だと思います。
これは今でも常識的な見解だと思いたいけど、「バトル描写」というものに限っても、古今の作品で、徹底的に模索され、実行されている。それが実際に本になり、商業的な試練にさらされ、仮に評価されれば、特一級の教材になった、と言えます。
僕はコツを押さえて手法を学ぼうとするより、効率云々を度外視して、とにかく本を読む、というのが良いと思う。評価されている本をです。バトルシーンを勉強したいなんてことは、本を読めばまったく容易にできます。その系統のライトノベルの文庫本を古本ででもなんでも二十冊くらい読めばおおよそのディテールはわかる。もちろん、それで完璧ではなくて、とにかく興味、好奇心が向く限り、全てを読んで勉強するのが良い。ライトノベルだけではなく、時代小説、歴史小説に行っても良い。ロボットモノでもいいし、飛行機関係でも良い。
誰かがわかりやすく書いた解説は、短い時間でコツのようなものを示せる。示せるけど、具体的かはだいぶ怪しい。
誰もが名作という小説の中身は、読んで理解するのに長い時間を必要とするけれど、文章に実際に何が可能なのか、その効果を理解するとっかかりになる。
つまり僕は、ネット上に溢れる手法などより、自分が読んだものを理解して、自分なりの方法を実作の中で模索し、なんらかの形でそれが成功か失敗かを分析して、また実作する、ということを一番、お勧めします。
表現手法は無限にある。なので、無料のネット小説からも何かしらは学べると思いますが、僕の個人的な意見からすれば、例えば、僕の書いた作品から何かを学ぶのは愚かなので、まったくお勧めはできません
とにかく読んで、とにかく書いていくこと、ひたすら読んで、知らない世界に踏み込んで、その世界の住人になること。それが技術を学ぶ道筋じゃないかな。少なくともちょっとした説明や図解で技術が身につくなら、誰も苦労しないのでは。
技術を身につけるにはおそらく、近道はない。
若くて世に出る才能は、まるで近道をしてるように見えるけど、それはまさに天才だからです。
2023/2/27
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