第384話 決闘的ネット小説世界

 今回は久しぶりにどうでも良い話。いや、毎回、どうでも良い内容ですが。

「機動戦士ガンダム 水星の魔女」では、MS同士の決闘が行われるのですが、その決闘開始前に口にする口上があります。それが以下です。


「勝敗はモビルスーツの性能のみで決まらず、

 操縦者の技のみで決まらず、

 ただ結果のみが真実」


 さて、これをネット小説世界に置き換えると、


「評価はレビューのみで決まらず、

 書籍化の実績のみで決まらず、

 ただPV数のみが真実」


 みたいになるのかな。いや、かなり適当、いい加減ですが。

 ちなみに「機動戦士ガンダム 水星の魔女」においては、主人公の乗るモビルスーツはやや性能が突き抜けているので、僕の感覚では「モビルスーツの性能で勝ってるような……」と思わなくもない。ついでに書くと、決闘はブレードアンテナを破壊することで勝敗が決まるのですが、主人公機のブレードアンテナが短いのはいかがなものかと思ったりした。的が小さすぎる。

 それにしても、ネット小説に触れていると、何をもって「名作」とするかが分からないというか、全体的な評価には大した意味はなくて、それぞれの読み手が、自分が好きなものを自由に読む、という形が普通なのかな、と思いますね。読み手がレビューや応援をするのはその作家に続きを書かせるためで、もちろん中にはその作家を有名にしたい、正当に評価させたい、という意図もあるでしょうけど、もはやそういう声は響きづらいのでは、と思ったりする。

 本来的な出版物は、売れないと打ち切りになるわけで、売れる=人気がある、という形になるし、売れる=人気がある=続きを出版するor新作を書かせる、という出版社の戦略が成立した。ネット小説は大半の書き手が趣味で、無償で書いていて、読み手も趣味で無償で読んでいるので、最近流行りの「持続可能」という要素がどこまで成立するか怪しい。昔は書籍を出せる人が限られたけど、最近では書籍を出すことは珍しくなくなった。僕の感覚では、書籍化はそのまま「売れる」だったけど、現状はどうやらそうではないらしい。

 なんとも、ネット小説では、ガンダム世界の決闘のような割り切りは成立しないらしい。レビューが多いのも勝ちなら、書籍化も勝ちだし、PV数が多いのも勝ちだ。こうやって何事も勝ち負けで判断しようとするのも愚かしいけど、ネット小説と公募が重なった時から、その結果には勝敗が含まれていたし、そもそも出版社がネット小説の中から書籍化することを選んだ時点で、勝者と敗者が生まれてしまった。

 全く脱線しますが、大昔、ホームページのトップページにカウンターを設置するのが当たり前で、それを見ると、こんなに閲覧している人がいるのか、と思ったりした。でもその時代には、そのカウンターの数で勝敗のようなものは感じなかった。

 いったい、僕は誰に敗北して、誰に勝利しているのだろう?


2023/2/15

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