第382話 新しいものにこそ手を差し伸べるべき
今回はふと感じた、エンタメを消費することに関する私感。
僕はここのところ、古いと言っても良い小説を読んでいて、二十年前とか三十年前の作品です。もちろん、面白いし、名作です。個人的にも、その筋が好きな人にとっても、名作。一方で、僕が新しい作品を読まない理由が何かあるかと言えば、あまりなくて、単純に、名前が通ってる作品や作家が完全だろう、というくらいの理由になります。
あまり真剣に追ってないのですが、明治SUBさんという、賞を取った新しい作家の方がいて、この方が三枝零一さんの「ウィザーズ・ブレイン」に触れているのを見た時、エンタメは新しい作品を追うことが正しい消費ではないか、とぼんやり思った。
僕も「ウィザーズ・ブレイン」が好きで、かなり初期から追っている。この作品が僕に与えた影響は確かにある。だけど、今から僕や、もっと若い人がこの作品を追うことが、どれだけ重要かは判断が分かれる。不朽の名作として読むべき、とも思うし、この作品の影響を受けて作られた新しい作品を読むべし、とも思う。
エンタメはどこかに積み重ねの要素があって、いろんな人が作ったものを下敷きにして、また新しいものが作られていく。下敷き、足場になる作品は古くても新しくても良いのだけど、個人的には新しいものを応援するべきのような気がした。その方が全く新しい場所に、次の世代の作品を押し上げられるような気がしたわけです。まさに「気がした」で、確信があるわけではありません。まったくの感覚です。
僕が今、必死に摂取しているものは、すでに時代遅れで、もしかしたら何の栄養にもならないのでは、という不安もある。そんなことはないはずだし、何かしらを生み出せる下地になるはずだけど、やはり確信はない。これもまた、感覚のお話。僕にはとにかく、自信が不足している。
はっきりしていることが一つあって、古い作品にお金を使うより、新しい作品にお金を使うべき、ということです。今まで長い時間を生き延びている本は、すでに大量の資金が流れ込んで、その作家を実際に支えている。でも、今の作家、デビューしたばかりの作家は、まさに今、たった今、この瞬間にお金を必要としている。エンタメを消費する、エンタメを支援するのは、間違いなく古い本ではなく新しい本を買うことにある。そのことを考えた時、僕自身は背信行為をしている気分になった。
しかし僕も、愚かにもすぐには動けない。偽善者だなぁ、とも思いますね。我がことながら。
2023/2/11
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