第379話 言葉と思考の乖離
今回は政治家の失言から考えてみた話。
森喜朗元首相がまた失言をしたそうで、「ロシアが負けることはない」という趣旨の発言をして、だいぶ反発があったらしい。
さて、ウクライナの戦争の決着がどういう形になるのか、僕はたまに考えるけど、ウクライナの国土を回復する、ロシアは賠償金を払う、軍備を制限される、というあたりではないか、と想像している。まさかロシアの国土を切り取ることはないと思われる。
つまり今の戦争のウクライナ側から見た目的は、ロシアという国を解体することでも、逆侵略するわけでもないわけで、その考えでは西側の国々も同じ認識だと思う。つまり、ロシアに勝つ必要はないが、ロシアに勝たせてはいけない、と表現するしかないところが、着地点になる。森喜朗さんが口にした「負ける」は、その辺りの「負ける=ロシア全土が制圧される」みたいなものを妄想したのかな、と思ったりしたけど、ただ老人が錯乱して口を滑らせたのかもしれない。まぁ、よく分からない。
それにしても、もしこの森喜朗発言が変な風に受け止められると、ロシアをなんとしても罰するべし、という世論になるし、その罰の重さが際限なく重くなると、着地点を失う。森喜朗さんはともかく、総理大臣や外務大臣は、表には見せないだけで、この国際問題の着地点を探っていると思う。欧米の兵器の供与も、ロシアを破滅させるためではなく、着地点へロシアを誘導していると言える。で、ロシアはそれに対抗している。仮に停戦が成立するとしたら、その時の最大のテーマであろう、ウクライナとロシアの国境をどこにするか、という議論の地ならしが今の戦争で、世界中がなんとか優位に立とうとしているように見える。少なくとも、現状ではウクライナがいきなり国土を全て失うことはほぼないので、泥沼化したものの、交渉の余地はある、という、悩ましい形に見える。
とりあえず西側はさかんに「力による現状変更」は認めないと口にしているので、ウクライナの国土を守ることしか出来ない。もしロシアの国土を切り取っちゃったら、それもある種の「力による現状変更」になると僕は思っている。相手を負かせなくてはいけないが、相手を叩き潰してはいけない、というのが現代的な戦争とは、実に複雑である。
まったくの妄想ですが、ウクライナを支援することで、戦後に何か便宜を図ってもらう交渉とかも国際政治の場ではあるのだろうか。そこまで行ってしまうと、これはもはや、創作の世界です。
2023/1/28
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