第377話 名前を失う宿命

 今回はアイドルから考えた「名前」の話。

 22/7の宮瀬玲奈さんが卒業するとのことで、送り出す気持ちになれない、まだ割り切れてないのが僕の気持ちです。宮瀬さんは言葉を知っている、良識のある人というイメージです。

 さて、この宮瀬玲奈さんの卒業に関して、ファンの方が、「宮瀬玲奈」という名前で応援できなくなることを嘆いていた。22/7のメンバーは卒業すると名前が変わるのが通例です。例えば「海乃るり」さんは「吉宮瑠織」さんになり、「倉岡水巴」さんは「倉丸莉子」さんに、という感じです。ちなみに一番最初に卒業した「花川芽衣」さんは、「浅倉唯」さんです。

 僕の個人的な価値観では、名前にそれほどの重さを感じない。自分の名前にも、特段、重いものがない。「和泉茉樹」というペンネームも、適当に作りました。「森茉莉」と「桜庭一樹」から一文字ずつ取ったりして。この名前を長く使っているのは、たまたまこの名前で結果が出たからで、それが無ければ、もう使ってなかったはずです。ちなみに、今のペンネームの前にもいくつかのペンネームを使って、公募の一次選考の通過作のところに載ったりしてました。ラジオネームも同じで、今は二つを適当に使い分けてます。それ以外にも使って電波に乗ったラジオネームはいくつもあります。今のラジオネームも、たまたま馴染んだだけで、やはり適当につけました。

 僕は子どもがいないので、実際の、生身の人間に名前をつけたことはない。あるいはそんなことが実際にあれば、名前に対する価値観も変わるかもしれない。

 名前とはただの記号ではなく、個人と結びつく何かだとは、件のファンの方の意見を見るまで、考えもしなかった。それはもしかしたら、物語を作る中で無数の名前を、無数の空想上の存在に与え続けたことによる、ある種の麻痺状態なのかもしれない。もちろん、自分にペンネームやラジオネームをつけたことで、より深刻な麻痺が生じたとも考えられます。まったく、業が深い。

 人が人を認識する時、それぞれにいろんな要素で認識している気はする。それは顔かもしれないし、声かもしれない。もっと小さな要素、表情や喋り方という要素もある。そんな要素の一つが名前なんだろうな、と思ったりした。僕自身は、声、喋り方が一番強いかも。ダメ絶対音感みたいなものもあるので、尚更、そうなる。

 名前なんてどうでも良いような気がしてましたが、なんとなく、自分が乱暴すぎたような気もした、そんな経験でした。



2023/1/28

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