第357話 いよいよ終わりが見えてきた作品たち

 今回は僕の好きなライトノベルの話。

 まずは、浅井ラボさんの「されど罪人は竜と踊る」の新刊が出ます。三ヶ月連続刊行なんですが、その一本目の帯に「最終部」の文字がある。僕はこの作品を途中までしか追ってないのですが、いよいよ、一から読み直して、最後まで駆け抜ける時が来ているかもしれない。この作品は二十年近く前にスニーカー文庫から出た時から知っていて、実に興味深い、というか、スニーカー大賞で何かの賞を受賞したところから知ってるし、最初に読んだのも雑誌「ザ・スニーカー」に掲載された短編だった。なんか、果てしない時間が流れたな。

 もう一つは三枝零一さんの「ウィザーズ・ブレイン」で、ついに新刊が出る。この作品も二十年前から追ってます。第三巻が出たところからです。とりあえずエピソードⅧの最後まで読んであって、エピソードⅨの上巻は寝かせてある。この作品はエピソードⅩで完結すると予告されているはずですから、ついに最後が見えてきた。

 この辺りの作品を見ると、二十年が過ぎても全く色褪せない魅力があって、つまりそこには「唯一無二」の要素があると言える。それはきっと、二十年前では挑戦だっただろうし、きっと本当に深いところまで潜って潜って、ひたすら潜って考えた末に見つけた要素なんだと思う。僕もそれくらい思考することをやってみたいし、やらなくちゃいけない。それがやはり、公募やコンテストにおける最低限の礼儀かも。火花が散るくらい、小説のことを考えたいなと「されど罪人は竜と踊る」や「ウィザーズ・ブレイン」を前にすると思わずにはいられない。それは売れたいとかではなくて、良い作品を作りたい、という感じが近い。

 僕はたまに「正しい小説」というものを求めてしまうんだけど、「正しい小説」はおそらく存在しない。存在しないけど、それを求めないことには踏み込めない領域があると思っている。奈落に落ちることかもしれないし、際どい淵で踏ん張るようなことなのかもしれないけど、ともかく、足を踏み出す必要はあるな、と思っています。

 しかし、終わることなく消えてしまうのかと思っていた作品がまだちゃんと出るのは、ありがたい。作者さんにも出版社にも感謝です。作品が完結した時に、やっと僕の青春が終わるんだろうなぁ、と思ったりする。決着がつくというか。

 いずれにせよ、気長に待つとしましょうか。

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