第341話 ほとほと困ってしまった
今回は非常に収まりの悪い話。
いろいろありまして、親戚から謎のお金をもらってしまった。謎の、と言っても出どころが不明ではなく、一応、お金を渡す理由がわかるような、わからないような、そんな感じを「謎」と表現しました。
大人になったので、お小遣いをもらう場面はなくなり、今回のお金も、とりあえずはお小遣いではない。ないんだけど、では何なんだ? と問われると、答えが思いつかない。お小遣いではなく、しかし謝礼というわけでもなく、うーん、表現できない。
日常でこんなに表現が難しいものはなかなかない。いや、カクヨムとかネット小説をうろうろしていると、例えば「執筆」という表現や、「作家」を名乗ることに似た感じを受けるかもしれない。僕が文章を書くことは、執筆ではないし、僕は作家ではない。アマチュア作家、というのも何か違う。では僕は何をしていて、僕は何者かと言えば、ただ文を書いていて、そういう趣味人で、えーっと、つまり、何者でもない。今回のちょっとしたお金も、そういう、何者でもないお金、なんだろうけど、自分の肩書きならまだ曖昧なままで放置できるけど、しかし、お金というのはそんな形では置いておけない。いやはや、本当に困った、困り果てた。
他のところで何かあるだろうか、と想像すると、あるいは、お酒を飲んでも顔に出ない人は困ったりするかもしれない。こいつは酒に強い、と思われたり、周りからそういう目で見られてドンドンお酒を勧められたりするのは、やっぱり苦痛なんだろうな、と想像することはできる。そういう人は、自分は酒に強いわけではない、と思っても、顔に出ないという一点で、すれ違いに晒されるのではないか。他にも、全くの想像ですが、夫婦の間でもそれはあるのかも。例えば夫だけが働いている家庭だと、どちらの視点に立っても、すんなりいかないものが生じるかもしれない。俺は稼いでるんだぞ、という思考が生じたり、自分は金で雇われているわけではない、という思考が生じたり、そんなことがあるのでは。夫婦というものは、ある種の契約が結ばれた状態だけど、その契約に縛られるのが正しいのか、とかも、答えの出ない問いであり、曖昧で、はっきりと言葉にできない状態なのではないか。
これはこれこれこういうものです、とはっきりさせることができれば、かなり楽になる、というものは世の中に実は多いのではないか、と思ったりする。思うけど、それらのほとんど全部が説明不能、最適な表現が見当たらない、中途半端な場所にあるんだろうな、とも思う。
分からないものは分からないままにしておくべきなんだろうけど、まったく、居心地が悪いというか、そわそわする。それにしても、使いづらいお金だな……、どうしよう……。
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