第327話 ど、「どくしょのあき」だと……!

 今回はたまたま見た趣向に関して。

 少し前に「どくしょのあき」のあいうえお作文みたいな感じで、それぞれの文字から始まるタイトルの本を挙げる、みたいな趣向がありました。で、ちょっと考えてみた。ルールが不明でしたが、読んだことのある本に限定してみました。


 まずは「ど」ですが、いきなりこれが挙がらない。で、じーっと考えて思い出したのが、

「泥の銃弾」(吉上亮)

 でした。これはなかなかいい作品。渋い。


 次は「く」で、これもやっぱり挙げがらない。ただ、なんとなく見つかったのは、

「クイーンズ・ギャンビット」(ウォルター・テヴィス)

 でしたね。この作品は映像を見ずにいきなり小説を読みましたが、あまりにも重すぎて苦しくなった。結びの後の世界で主人公はどうなるのか、と考えずにはいられない。


 次は「し」ですが、

「少女七竈と七人の可愛そうな大人」(桜庭一樹)

 が真っ先に浮かびました。しかし、同じ桜庭一樹さんの作品の「少女には向かない職業」も「し」から始まりますね。この辺りの桜庭一樹さんの初期作品の空気感はなかなかいいものがある。


 その次は「よ」です。これは、

「ヨハネスブルクの天使たち」(宮内悠介)

 が、最初に浮かんだものの、考えてみれば、森見登美彦さんの「四畳半神話大系」とか、「夜は短し、歩けよ乙女」とかも、「よ」から始まります。「ヨハネスブルクの天使たち」は宮内悠介さんの作品の中でもやや暗いかな。森見登美彦さんでは、「恋文の技術」も読み直したい。おや、脱線しましたね。本筋に戻すとガルシア・マルケスの「予告された殺人の記録」もありますが、これは本当に好きな人が読むものです。遊びでは読めません。


 で、次は「の」で、ものすごく苦労して、実はカンニングしました。「のぼうの城」が浮かびましたが、未読です。で、僕が読んだことがあるのは、

「ノルウェイの森」(村上春樹)

 でした。あまりにメジャーなので、触れるべきことはありません。


 次は「あ」で、

「アルテミス」(アンディー・ウィアー)

 なんですが、他にも宮内悠介さんの「あとは野となれ大和撫子」も強い。ただ、反則として神林長平さんの「アグレッサーズ 戦闘妖精・雪風」とか「アンブロークン アロー  戦闘妖精・雪風」という挙げ方も出来ましたが、やめておきました。桜庭一樹さんの「赤朽葉家の伝説」も良い。


 最後の「き」は、もはや大胆に、

「機龍警察」(月村了衛)

 です。これはシリーズ第一作がとにかく良くできている。シリーズ全体でもかなり高品質で、オススメです。住野よるさんの「君の膵臓をたべたい」も強い。この作品は作中の時間の使い方がすごく巧みで、ハッとさせられます。あとホルモン食べたい。他には「銀河英雄伝説」を挙げたいですが、ルールを厳密に適用して、「ぎ」は除外しました。


 というあたりが僕の「どくしょのあき」です。本当は本棚がちゃんとあればもっと簡単にいろいろ挙がりそうですが、とりあえずはこんな感じになりました。

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