第325話 言葉の裏にある本音

 久しぶりに髪の毛を切りに行きました。あまりにも不精なので滅多に切りに行かないので、まぁ、なかなか床屋にも慣れない。

 で、髪の毛はいいのですが、髭を剃るのをしばらくせずに、床屋で一気に剃ってもらう計画でした。で、床屋についてみて、順番を待ちながら料金表を何気なくチェックしたのです。そこには、髪の毛を切るだけ、とか、髭を剃るだけ、みたいな項目があって、うーむ、という感じだった。髪を切って、髭を剃って、洗髪して、という普段の一般的なコース(?)を洗濯するわけですが、あまりにも髭が伸びていて、床屋さんからしたら不愉快な客だったかもしれない。

 そう思ったのも、僕が床屋さんの前に座った時、「髭を作った?」とまず聞かれた。もちろん、作ったわけではない。決定的だったのは僕が「髭を全部、無くしちゃってください」と言ったら、「剃るのがもったいないな」と冗談めかして返された場面。これは暗に、剃るのが大変、という意味だったと思われる。面倒臭いというか、手間をかけさせるな、というような。

 実は今回、床屋に行く前に、もしかしたら値上げしてるかもな、と想像していた。だけど、お値段据え置きで、うーん、商売はすごく難しいと改めて感じた。この物価高の時代において、サービスを売る仕事はどうやってお給料を上げることが出来るだろう。床屋さんは僕の感覚だと比較的、値段設定に幅がある。学生時代は三千円程度の店に行っていて、その前はなんとなく母が行っていた美容院に連れて行かれてたので四千円くらいは払っていたのではと思われる。今の店は三千五百円くらいで、しかし内容としては値段の割にしっかりしてるというか、安すぎる。しかし想像するに、ちょっとでも値上げすると即座に客足に影響するのかなぁ。妙な表現になりますが、全く想像できない世界だ。

 髭を剃るだけのことでも、楽して儲けたい、という表現は少しずれてますが、やっぱりしっかりとお金を取りたいのが本音だろうな、とはっきり感じた。髪の毛を切るだけのことでも、やっぱり責任はあるし、評判という問題もある。

 そう、今回、なんとなくバリカンを使うことを提案されて、じゃあ……、ということでバリカンを使ってもらいましたが、個人的な感覚ではちょっと短すぎる。しかしもう短くしてしまったものは元には戻せないので、別に文句はない。それに、まぁ、単純に短くても問題ない立場でもある。でも仮に、ここで文句を言う客がいて、それへの対処を誤った時に、それだけでも大きなダメージになりかねないとなると、ただバリカンを使うだけでもかなり複雑になる。うーん、安いから仕方ない、みたいな理屈もありそうだけど、そう思わない客もいるはずで、商売は本当に難しい。

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