第316話 本来的に存在しないもの
今回は住宅事情について。
僕の実家には壁本棚があります。両親の趣味の一部です。で、僕は現在、書棚に困っている。全部箱詰めで、探すのが大変。しかし考えてみれば、書棚がいくつもある家ってあまりないのかも。一人一台とかかな。
僕が意外に思っているのは、「オーブン」です。オーブンレンジがある家は想像できても、ガスオーブンや電気オーブンがある家は、あまり想像できない。少し前までは似た感じで、食洗機がある家が想像できなかったけど、もう普通になりましたね。あとはウォーターサーバーも一部の人しか使わないイメージが、徐々に一般的なものになったかな、という印象です。
地方だと一つの家庭に乗用車が二台とか三台とかあるので、家には駐車スペースがほぼ必ず付属します。他には、生ゴミを捨てるコンポットがある家も多いのかな。都会の人は知らないのかな、コンポットは。あれ? コンポットで名前は合っているのかな……。
都会ではあまりないものといえば、ど田舎の古いアパートとかだと、洗濯機が家の外にあったりしますね。あれはユニークかもしれない。田舎育ちの僕でも、あれは違和感がある。
自分が家を建てる未来は想像できないけど、書棚は欲しい。ただ、普通に部屋に大量に積み上げておいて、床がこんなに沈みました! というのはやってみたい。少し前に、僕の本が積まれている場所の床が抜けるのでは、という指摘というか、苦情があって、僕の本は今は土間に積まれてます。土間といっても、四畳くらいあるんですけどね。四畳の土間がある家はほとんど想像できないと思いますけど、築九十年の家で、その土間も適当な壁で本来の半分になっていて、本来的には全部では八畳を超える広い空間があるのです。どこまでが合法的なリフォームだったかは不明ですが。
住宅に関するコマーシャルをテレビでよく目にしますが、住宅は本当に趣味が露骨に出るように思います。森博嗣さんがガレージにこだわったり、庭を用意したりするように。或いは昔、桜庭一樹さんの部屋が本で溢れたように。そういうことを考えると、コマーシャル的な住宅はいかにも平均的、映えるような構造で、本当に趣味に走った家とは違いますね。本好きが最も気にするのは、間違いなく南や西に窓を作るか、ですね。日差しで本が日焼けするのを避けたいので、僕は北側に窓を作るでしょう。これの別の形が、オーブンをキッチンに設置したい、とか、そういうことになるのでしょう。他には、防音室が欲しいとか、スクリーンを広げられる広い壁が欲しいとか、そんな辺りでしょうか。酒を保存するための部屋が欲しいとかも、ありそうな気がする。
もっとも、こだわり始めるとキリがないので、間取りだけで終わらずに、戸棚さえもオリジナルで発注する人もいそう。唯一無二の空間は居心地がいいだろうけど、いやはや、やりすぎると狂気じみてるかもな。
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