第296話 どれだけ辛抱できるか、が問われてるような……
今回は少し考えさせられた話。
ツイッター上でおそらく雑誌の企画で「SF小説の書き出し」を募集する奴を見て、電話がテーマか……、と考えながら、ちょっと書いてみたりした。
さて、これが、130字でどれだけ興味を引けるか、と見始めると、ちょっと難しくなる。例えば本を買う時、あらすじから入る人はいると思うし、最初をちょっと読んで買う人もいると思う。しかし、130字というのは、ほんの四行か五行で、大抵の小説はたぶん助走の助走のそのまた助走なのでは。僕の感覚では、冒頭五行に極端に求めるものはあまりない。読みやすければ良いし、最初は、読もう! 読みたい! と思ってるので、読むのに抵抗があったりストレスを感じたりはしない気がする。
物語における最大の見せ場はほぼ終盤にあるのは間違いないので、最初の130字にこだわるのは、なかなか難しいし、どれだけ意味があるのかは、僕にはすごく判断が難しい。
これは前に書いた気がしますが、もう十年以上前の音楽の制作手法として、ヒャダインさんが、とにかく早めにサビに入るように曲を構成する、というようなことを言っていた。これはアニメのテーマソング的な手法で、60秒くらいでサビに入り、90秒で一番のサビが終わる、みたいなことに近いと思われる。それから時間が流れて、最近ではもはやイントロなどなく、可能な限り早く歌が始まるように曲を作る手法が強いそうな。例えば「紅蓮華」みたいに。僕の世代だとKOTOKOさんが、というか、I'veが、体感1分のイントロの曲をガンガン発表してたけど、隔世の感がある。まぁ、当時の僕も「いったいいつ歌が始まるのかな」と思いながら聞いていた。
というわけで、冒頭130字で強い力で読者を惹きつけるのは、あるいは必要な手法に思える。思えるけど、小説が仮に全部で五千字で、ほんの短い冒頭のみで読者を惹きつけ続けられるかは、あまり分からない。
というわけで、どんな感じか知りたかったので、自分で130字の冒頭を作り、そこから物語を書いてみる、というのをやってみました。プロットも設定もないので、一万字に達しない程度ですが、書いてみて分かったのは、全体が出来上がってみると、冒頭130字には全く関係ない要素が大半だな、ということです。130字に盛り込めるものは少ないなぁ、と実感した。この企画に参加している人は、試しに物語として発展させてみると面白いのでは。
まったくの個人的な意見ですが、「冒頭130字で興味を惹けるかどうか」は試してみる価値はありますが、「冒頭130字で興味を惹かれるかどうか」はやって欲しくないかなぁ。物語を読むことは、ツイッターのツイートを眺めるのとは違うし、じっと文字をひたすら追う、追い続けることの面白さが重要では、と思った。
余談として、近日公開予定の件の冒頭130字から書き始めた短編は櫻坂46の「摩擦係数」の歌詞からインスパイアされて、極端に謎な内容です。この曲の世界観でどうしても書きたかった^^;
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