第289話 現代社会と「超能力」

 コメントをいただいたのですが、読む前に消えてしまったので、通知のメールに残った断片からの返答として、というのが今回の話。

 現代ファンタジーと「超能力」というと、すぐに「とある魔術の禁書目録」が浮かびます。これは学園都市という形でおそらく、特殊な環境を用意してあるように見える。見える、というのは、超能力開発が常識で、その超能力を無制限に自由に開放できるとなると、これはもはや実質的には無法地帯です。ジャッジメントですの! の風紀委員みたいなのがあるあたりが、逆説的に無法地帯だと証明しているような。

 魔法、と聞くと論理とか系統とか、技術的なイメージが僕にはありますが、超能力はどことなく個人の才能、それも希少な才能に見える。そうなると、一般人はなんらかの形で際立って強力な超能力者に枷をかけないといられないのでは。それがもしかしたら環境を限定して、そこに事実上、軟禁する、という形なのかも。「禁書目録」の学園都市はどんな設定だったか、忘れてしまったけれど。

 そもそもからして現代社会では、民衆が過激に武装することがないと思われる。まぁ、アメリカとかにいくと家に銃器が自然とあるはずなのでなんとも言えない。中東とかにもAK-47のコピーが溢れてたりするし。

 仮に、あなたの隣に住む人が超能力者です、と言われた時の反応を想像すると、なかなかスリルがある。例えば揉め事になった後の報復が怖い、くらいならいいけど(良くないけど)、自分の精神、心の内を隣人が自在に読んでいる、と分かったら、どんな人でもそばにいられないのでは。もっとも、他人の心を覗ける方の超能力者も下手に自分の力を暴露すると、周囲にいる一般人に何をされるかわからなくて打ち明けられない。これは黙っていれば良いわけではなくて、なんらかの当人の意思とは別のところで管理される装置が必要になりそう。

 魔法使いでもそうですが、僕の考える現代ファンタジー世界は、異能者になんらかの歩み寄りが存在する世界に落ち着いてしまうけど、実際の社会で人間を超越した人間がいたら、まずその存在の防波堤が必要になり、もしもの時に対処する力が必要になりそう。

 変な話ですが現代ファンタジーにおいて魔法使いや超能力者の犯罪には、裁判の場で一般人より重い罰が下されることになりそう。それは魔法使いや超能力者には、その能力に見合った責任が自然発生しなくてはおかしいように思うからです。もっとも、本当に強い力があれば法律だの権力だの暴力だのをねじ伏せるかもしれない危険はあるものの……。

 一番の難問は、超能力者にどういう形で人権を保障するかです。心を覗ける人に「人の心を覗くな」と言うことは、さて、どうなのでしょうか? これはちょっと、わからないな。超能力云々の前に、人が正直かどうか、が問題になるな。

 こういう設定作りは楽しいけど、ストーリーを作らないとなぁ……。

 僕が現代ファンタジー風のものを書くときに困るのは、これは異世界ファンタジーでは? と気づいてしまった瞬間です。まぁ、公募だとジャンルを決める必要はないのだけれど。

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