第277話 イラストレーター願望と寂しさ

 今回はちょっと感覚が変わった自分の話。

 どこかにずっと前に書きましたが、僕が物語を書こうと思ったきっかけの一つには「イラスト」がありました。ライトノベルに触れる少し前、僕はとにかく漫画が好きで、なかなか買ってもらえないので立ち読みしまくってました。それこそ塾に行く前に立ち読み、塾が終わってから立ち読み、みたいに。

 なんですが、とにかく僕は絵が描けない。やり方がわからない。なので、練習する努力を放棄して、「ライトノベルを書いて、プロのイラストレーターに絵をつけてもらおう」と考えた。そこから文章を書くことに熱中して、なんだかんだでライトノベルから離れつつ、今に至ります。

 僕はカクヨムで七野りくさんをチェックしてるのですが、近況ノートに挙げられるイラストを見た時、僕が求めているものが、いつの間にか変わったようだとしみじみ感じます。僕はライトノベルをほとんど読まないのに、ライトノベルが好きだと思っている。思っているけど、自分がもうイラストは求めていないのかもしれない、と思ったりもする。僕が読んでいる本にはもう、ほとんどイラストはついていない。僕は、僕自身が欲しいと思っていたイラストとは、全く違う世界を描き出そうと躍起になっている。

 僕はツイッターを情報収集のために使ってますが、たまにアマチュアらしいイラストレーターで、なかなか好みの絵を描く人に出会う。そのイラストは、僕の中のライトノベルのイメージにはそぐわないけど、もし僕が本を出せることになったらこのイラストを使いたい、と思わせるものがある。もちろん商業で出せるなら、それは僕の同人誌ではないから、僕の一存で決まるものではないのだけど。

 僕が十代の時、「萌え」というものが唐突に爆発して、それが僕の始まりの一部にはなっている。なっているけど、僕が好んだ本はどうだっただろう。

 僕はもしかしたら、ライトノベルの過去を見ていて、ライトノベルの過去に生きているのかもしれない。現在進行形のものとはまるで違う、化石、それも生き物の化石ではなく、ただの泥の化石みたいな存在になったのかも。

 僕が憧れた「イラスト」は、いつの間にか「文章」に変化して、僕はイラストへの欲求、願望を失ってしまったらしい。これはだいぶ、寂しい。全てを失ったわけではなくて、過去から今へ続く道の一部にそれはあるのだけれど。

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