第261話 SFアイディア その1
今回はSFのアイディアですが、僕なりの解釈で使用した後のアイディアです。ただ、かなり万能な気がします。
今回は僕がVR空間に付け加えて使用した要素の話。ですが、これは現代の科学、メディアにも通じる話。
VR空間の学校の話題があって、さて、そこで生じる人間関係とはどんなものだろう。僕の感覚では、現代のSNSの繋がりに近い。相手の姿は見えず、しかし考えや意見は見て取れる。
このテーマの軸は、「個人」とは何か、という部分にあります。いつか実現するだろうVR空間におけるアバター、現代におけるハンドルネームやアカウント名、それはどうやら脆弱な「個人の確定」しかできないのでは、と僕は感じている。
この「個人の確定」は、現実世界では視覚や触覚で強固にできる。話をするだけではなく、見て、触れて、相手を認識できる。では情報上ではどうなのか、というと、見えるのは「映像」であり、聞こえるのは「音声」、触れられるとしても「擬似的な感覚」になりそう。映像はいかようにも作れる、音声も作れる、疑似的な触覚も作れる、となると、「個人」が持っている「固有のもの」はいかにようにも操作できるし、逆に「固有なもの」に見せかけた、「本体を持たない個人」が生み出せる。
例えばあなたがツィッターで交流している相手は、独自の意見を持ち、独自の思考をしているように見えるはず。しかし、それが本来のアカウントの持ち主であるかは、容易には検証できない。人工知能が成りすましていない、という検証も難しい。これに対して、オフ会を開けば分かる、という反論ができそうだけど、今度は文章、言葉で成り立つ「個人」と実際の「個人」の齟齬が、容易に見つかるかは疑問。オフ会に出る以上、その異なるだろう二つの別の「個人」は、細かくすり合わされていることになると思う。
こうなると、「攻殻機動隊」の冒頭にある「国家や民族が消滅していない」という段階の前に、「個人の確実性が消滅する」という段階があるかもしれない。ただ、「攻殻機動隊」においてはこの「個人」の証明が「ゴースト」であると思われる。
このカクヨムのアカウントで公開している文章は全て、僕一人で書いてます。でもそれを証明できるかは分からない。仮にどこかのSNSに「和泉茉樹」という人がいて、仮にその人がオフ会に出席し、その時に僕がカクヨムにアップしている内容を徹底的に頭に叩き込むことで、オフ会でなんの支障もなく会話して、周りに「この人は和泉茉樹だ」と認められたとしたら、その人こそが「和泉茉樹」になるかもしれない。僕が「そいつは偽物だ!」と指摘しても、何をもって偽物と出来るだろう。当然、僕のアカウントにログイン出来るのは僕だけだけど、それが漏洩すれば、この要素は使えない。
ちょっと前にテレビで、フェルメールの贋作を作った、メーヘレンという画家の番組があった。彼は裁判において、衆人の前でフェルメールの贋作を描いたらしい。
僕が僕であることの証明は、カクヨムの上では不可能である、というところからさえも、SFが作れそう、というのが今回のお話でした。
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