第254話 ちょっとした「侮辱」
今回は身近にあった「侮辱」のようなものの話。
たまに行く大きな病院で投書が貼られてる掲示板を見るのですが、そこにたまにあるのが「看護師が子供を相手にするような喋り方をしてて不愉快」というもの。つまり「侮辱」なんですが、僕自身、看護師にそういう態度をされることはある。あるけど、不愉快ではない。丁寧に伝えたいんだろうな、という程度の感覚しかない。
さて、近くにある和菓子屋へたまに行くのですが、そこで若い女の子が店番をするようになった。年齢は二十歳前後で、おそらく今の店主と夫人の間の娘と見える。いきなり脱線しますが、その女の子は僕からするとちょっと場違いに見えて、地味な和菓子屋には眩しすぎる。
先日、買い物をしに店に入ると先にいたお客がお釣りと商品を渡してもらうところで、店員はその女の子だった。お客は四十代くらいの男性。で、その男性が商品を受け取る時、「ありがとう」と言ったのですが、おや、と僕は思った。
その「ありがとう」が、まるで子供に向けるような発声の仕方だったからです。
これは容易ではないな、とさすがに思った。僕としては相手が年上だろうと年下だろうと、公平な態度でいたいけど、それがいつか困難になるのだろうか。子供を相手にするように甘やかしたり、変に馴れ馴れしくなったりするのだろうか。相手をみくびって?
ただ、僕自身の行動を振り返ってみると、その和菓子屋の店主には別に友人でも知り合いでもないのに、苺大福を頼む時に「苺をひとつ」とか注文していて、逆に、年上に対する変な態度、客という立場からの変な態度を取っていたかもしれない。それはちょっと、反省するべきかもしれない。
色んな人にそれぞれの立場があって、それは役目のようなものもあれば、性別の違い、年齢の違いもあって、どこからどこまでが許されるかはなんとも言えない。もちろん、環境というものもある。書店では僕は東京とかの大型書店のお淑やかな方が好きだから、近場の書店で店員が声を張ったりすると、何か違うな、と感じたりする。
僕は年寄りの相手はなんとかこなすけど、子供の相手はできない。幼児はもちろん、十歳もダメ。中学生もわからない。大学生くらいなら大丈夫になるかもしれないけど、そこまで行くともう大人だ。年下はそもそも苦手だな。この苦手は、あるいは僕の中にある「侮辱」の感覚から来るのかもな、ふと思った。子供にも大人みたいに接したいけど、それが不可能なので、では接しないでおこう、となるのかも。大人みたいというか、目上の人に対するように、か?
僕は相手に猫撫で声を向けたくはないな。
しかし和菓子屋の女の子は、なかなか、美人だった。(と、「カウボーイ・ビバップ」の劇場版のセリフを引用してみる)
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